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2011.10.1

From VIS

機能をデザインする、ビジネスをデザインする

株式会社インスパイアは、新しいビジネスを創出することを事業テーマにしているプロフェッショナル企業です。 今回、赤坂のオフィスから青山に移転されるということになり、引っかかったことが「なぜ青山か?」ということ、しかも「なぜFROM1stビルを選ばれたか?」ということでした。

1976年 浜野安宏氏(浜野総合研究所)がプロデュースし、山下和正氏が設計した、建築の歴史からも有名なこのビルは"Work, Live with Joy"をテーマに、商業施設とオフィス、SOHOとを組み合わせた複合施設になっています。

【バックグラウンド】

ヒアリングを進めるなかで、高槻社長から希望された内容が二つでてきました。

「空間を生かす」こと「機能をデザイン」すること。

正直なところ、その意味するところが何なのか、あやふやなまま、ヒアリング後に青山のFROM1stビルに向かいました。そこで、移転先となる現場を見ることではじめて高槻社長の思いが理解できました。

6mにも及ぶ吹き抜けとメゾネットのフロアー。天窓からの明るい採光。複雑で起伏の有る非常に素晴らしい空間です。FROM1stビルのもつ存在感やこの空間に漂う空気感をオフィスに来られる来客者やスタッフと共有したいのだと思いました。

【機能をデザインする】

そして、この「空間を生かす」ことと「デザインに機能性を持たせる」ことが、今回のプロジェクトでは絶対条件になることが理解できました。

しかし、建物全体が一つの芸術作品のようなこのビルは、最近のオフィスビルのように机が並びやすいような柱間寸法・構造になっていないため、柱や壁が邪魔をして、まっすぐに机を並べる事を拒否してきます。

最も頭を悩ませたのは、2つの閉じた会議室の取り方とメゾネット下の空間の使い方です。

セキュリティやワークスペースの構成を考えれば、会議室はエントランスに近い部分に固めてしまうのがセオリーでしたが、それでは来客者に吹き抜けの空間を感じてもらう事ができません。そのうえ、メゾネット下にワークデスクを設定しなければならなくなります。天井高は確保されているとはいえ、階段で仕切られた空間はやはり圧迫感があります。

そこで、思い切ってメゾネットの下に会議室を設けました。

寸法的には若干狭い空間でしたが、壁をガラスにして開放感をだすことと、扉を引き戸にすることで解決できると考えました。そうすることで、来客者にもすばらしい空間を感じてもらうことができ、ワークスペースも一つの空間として成立させることができるからです。

そして、デスクは既製の四角い形から離れ、120°の角度と曲線を持つオリジナルの形になりました。これによって、自由空間のなかで自在にレイアウトができる構成になったのです。

【インスピレーション】

FROM1stのデザインはエントランスのデザインにも影響をあたえました。

一見ランダムでありながら整理されたFROM1stの外壁の凹凸にインスパイアされ、空間を壁で仕切るのでは無く積み上げたボックスで空間を分ける方法をとりました。箱の上部と天井の間は開放することで、外部と内部の境界を曖昧にして、空間的な広がりを持たせるとともに、空気の流れを作りだすという機能性を持たせました。

一つ一つのボックスはワークスペースからは個人用のロッカーとして活用する形になっており、ここでもデザインだけで終わらない機能性を持たせることに成功しました。

今回のデザインテーマは「A TOY CHEST(おもちゃ箱)」。

おもちゃ箱から取り出したおもちゃを子供が思いのままに自由に遊ぶように豊かな発想で新しいビジネスのデザインをしていただけるよう思いを込めました。

私たちの提案させていただいたこの空間が、株式会社インスパイアの発想や創造に貢献できれば嬉しく思います。