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2021.12.8

CULTURE

【2022年オフィスデザイントレンド】オフィスは「多様なはたらき方」を実現する場に

ヴィスでは、2022年のオフィスデザイントレンド予想を発表しました。 2021年のオフィスデザイン提案内容の分析、ヴィスのオフィス設計デザイナー(53名)を対象としたトレンドに関するアンケート調査の回答をまとめました。

【1】2021年のオフィス振り返り
 1-1) データで振り返る2021年のオフィスデザイン
 1-2) 2021年オフィストレンド予想振り返り
 1-3) 2021年オフィス業界を表す漢字 『変』『動』
 1-4) テレワークでの工夫
【2】2022年のオフィスは「多様なはたらき方」を実現する場に。オフィスデザインは個性、オリジナリティ重視へ
 2-1) 多様な働き方が実現できるワークスペース
 2-2) コミュニケーションをデザインするオフィス
 2-3) アジャイル、フレキシブル。変化に対応できるオフィス
 2-4) 個性、オリジナリティをデザインで表現

【1】2021年のオフィス振り返り

2020年、新型コロナウイルスの影響で働き方が大きく変化しました。テレワークの浸透、オフィスの最適化、シェアオフィスやコワーキングの拡大など、多様化が一気に進みました。

2021年もその流れが続いています。オフィス出社とテレワークを併用した「ハイブリッドワーク」が定着し、サテライトオフィス活用など選択肢が広がり、オフィスの役割や出社の意味を各企業が定義するようになりました。

これまで“様子見”をしていた企業も、アフターコロナを見据えたオフィスリニューアル、オフィス移転など、動きが出てきています。

1-1) データで振り返る2021年のオフィスデザイン

ヴィスでオフィスデザインを提案している年間1,000件以上のデータから、提案内容の比率の推移を調べました。

2020年4-6月はオフィス移転の提案が減少。計画を進めていた企業も一時的に中止するなどの動きがあり、オフィス移転件数は2019年同期間と比較し半分程度になりました。一方で、コロナ禍に対応したオフィスレイアウトへの変更など改装が増加し、移転の割合を大きく上回りました。

2021年は、新型コロナウイルスの影響が落ち着き、オフィス移転の割合は増加傾向にあります。2021年7~9月には、移転と改装(レイアウト変更・増床含む)は同割合になっています。

1-2) 2021年オフィストレンド予想振り返り

昨年度公開した「2021年オフィストレンド予想」に対して、実際はどうだったか、実際にお客様への提案も行う設計デザイナーに振り返ってもらいました。

■予想1: コミュニケーションを主軸としつつ、それを発展させた空間づくりが進む。

コミュニケーションを主軸としたスペースの提案は「増えた」が72%と、5つの予想の中でも最も高い割合となりました。

■予想2: 働く場所は分散化、流動化する。(シェアオフィス、サテライトオフィスが拡大)

「働く場所は分散化、流動化した」と思う割合は66%にのぼりました。


■予想3: 「フリーアドレス」「ABW」が増加する。

「フリーアドレス」や「ABW」の提案は「増えた」が72%。以前から増加傾向にあり、今年もさらに増加しています。

■予想4: 可変性があるデザインを用い、常に最適解を見つけていく「アジャイルオフィス」が増える。

「アジャイルオフィス」は、「増えた」が47%、「増えていない」が38%と、「増えた」と考える割合が最も低い結果となりました。一方、「アジャイル、フレキシブル、変化に対応できる」というキーワードは来年2022年の予想にも入っており、来年のトレンドになる可能性が高いです。


■予想5: オフィスづくりを通したSDGsへの取り組みが増加する。

SDGsの観点を取り入れたオフィスは「増えた」が55%と、半数を超えました。環境負荷低減を目的とした床材や壁材、廃材の再利用、サステナブルな素材を使ったオフィスの事例も増えています。

■まとめ【2020年から2021年の変化】
最も変化が大きかったこととして、テレワークとオフィス出社の併用「ハイブリッドワーク」の拡大、フリーアドレスなどへのレイアウト変更、オフィス出社の意味を考えるようになった、の3つが大半を占めました。

<設計デザイナーコメント>
・「2020年同様テレワークの増加によるフリーアドレス導入、ワークスペースの使い方の変更というニーズはありながら、2021年はより具体的にそれを進めていく企業が多かったように感じます。それぞれの企業が事業と向き合い自分たちに合わせた働き方を探そうとしている傾向を感じます。」

・「リモートワーク推進をするにあたって、現状のオフィスをどう改装して使っていくのか。段階的にどのように社員の働き方に対する考え方を変えるのか。そのようなことを考えているお客様が多くなりました。」

・「2020年はオフィスを離れる傾向(縮小)、2021年はオフィスに戻る傾向(増床)があったように思います。テレワークの導入により、全社員の人数分の席を持たないスタイルが増加しました。」

・「こちらが提案する内容は大きく変わっていませんが、提案が受け入れられやすくなりました。お客様側のオフィスへの意識が高くなり、知識も増えたと思います。」

これまでデザインだけが求められていたところから、働き方やオフィスの運用なども含めた「はたらくこと」全般に関心が強く寄せられていることがうかがえます。

1-3) 2021年オフィス業界を表す漢字 『変』『動』

2021年のオフィスを漢字一字で回答してもらいました。
昨年が『変』27%だったのに対し、今年は『変』『動』が各8.5%、『進』『考』が各6.4%と、考えが分かれました。変化はありつつ、今年はオフィス業界が『動』き、先に『進』んだということを示していると感じます。

<設計デザイナーコメント>
・『動』:「ABWやフリーアドレスのようなオフィス内を動く提案だけでなく、コワーキングやシェアオフィスなどのオフィス外の案件も増え、人の動きを考えることが増えました。」
・『進』:「2020年の停滞した状況から進化したオフィスを求めるお客様のニーズが多かった。」
・『考』:「コロナ禍で働く環境に多くの変化が起こりました。今年はその変化を受けてより深く「考察」することや「思考」することが求められました。どの企業もこの状況を未来にどう活かしていくかを深く考えた一年であったと思います。」

1-4) テレワークでの工夫

クリエイティブな仕事をする人はテレワークではどのような工夫をしているのでしょうか。傾向は大きく2つありました。
(1) 自宅の環境整備
・「作業と休憩を明確化する空間づくり」
・「自宅の中でもずっと同じところで作業をせず、いろんなスペースで仕事をするようにしている。」
・「ワークチェアを購入し、概ねオフィスとの環境差を少なくしている。」
・「作業を始めるときに、アロマを焚いていつもとは違う環境を意識的に作る。」

(2) 業務内容の明確化
・「テレワーク時は作業に集中、オフィスではコミュニケーションができるようにスケジュール調整している。」
・「単純作業は自宅で集中、打ち合わせや直接のコミュニケーションの方がスムーズにいくものは社内で行う。」

その他、「チームで予定を共有する」「タスク管理を頻繁に行う」などコミュニケーションの取り方にも工夫が見られました。

【2】2022年のオフィスは「多様なはたらき方」を実現する場に。オフィスデザインは個性、オリジナリティ重視へ

2022年のオフィスについて、どのようなデザイン・機能・特徴を持ったオフィスが増えると思うか、またどのようなオフィスを提案していきたいかをオフィス設計デザイナーに自由記述で回答してもらいました。

2-1) 多様な働き方が実現できるワークスペース


「働く場所」の選択以外にも、社内外との共創、副業、週休3日制の導入、時短勤務など、「働き方」の選択肢が複合的に広がっています。

<設計デザイナーコメント>
・「働く方々に合ったワークスペースの提案が増える。」
・「自分で働く場所を選べるオフィス。いろんな機能があり、その時の気分で変えられる。特にWEB会議をするときに周りが気にならないレイアウトや機能が重要視されそう。」
・「自分に合った働き方をする“きっかけ”がつくれるオフィスが増えていく。」
・「リラックスと集中を行き来する仕掛けが必要になる。創造と機能が共存なオフィス」

自ら選択できること、多様な働き方に対し柔軟に対応できることが重要という考えが多く集まりました。
2020年から2021年にかけて、サテライトオフィスやシェアオフィスの活用など働く場所の分散化が主に検討されてきました。2022年は、場所の分散だけではなく、外部や副業の活用など、より複合的で柔軟な働き方が広がっていくと考えられます。

この流れの中で、自社センターオフィスの役割をどのようなものにするか、働き方も考慮してデザインすることが求められていくでしょう。

2-2) コミュニケーションをデザインするオフィス

テレワークなどで働き方や働く場所を選べるようになったことをうけ、オフィスに出社する意味が各社で定義されています。企業ごとで異なりつつも、オフィス出社時に重視されるのは「コミュニケーション」です。

<設計デザイナーコメント>
・「リラックスして休憩するだけではなく、部署間やチーム内でのコラボレーションを促すスペース」
・「コミュニケーションから新たなアイデアが生まれるイノベーションオフィス」

コミュニケーションを通して、イノベーションやコラボレーションをどのように促すかまでオフィスデザインには求められています。「コミュニケーション」をどうデザインするか、2022年も引き続き大きなテーマとなるでしょう。

2-3) アジャイル、フレキシブル。変化に対応できるオフィス

フリーアドレスの導入が増加し、オフィスレイアウトの可変性が重要視されています。

<設計デザイナーコメント>
・「コロナ禍を経験し、作りこむよりもどのような場面にも対応できるオフィスが求められる。」
・「働き方が変わる中で、各社方向性が定まったとしても、少しずつ異なる働き方を試せる場を入れることが良い場づくりに繋がる。」
・「働き方が今後も変わることを念頭にレイアウト変更等がしやすく柔軟な対応が可能なオフィスが増える。」

2021年のトレンド予想でも「アジャイルオフィス」が増えると予想していました。今後も働き方は変化していく可能性は高く、変化に対応できるオフィスはさらに増えていくのではないでしょうか。

2-4) 個性、オリジナリティをデザインで表現

出社しなくても業務が進められる一方、「オフィスに出社する意味」「オフィスに行きたくなる理由」がより重視されています。

<設計デザイナーコメント>
・ 「社会活動が戻る中、採用面では人材獲得の競争が始まっている。他社との差別化のため、デザイン面では各社個性を追求してより派手な装飾やビビットカラーが流行する。」
・「よりオフィスで働く意味が問われる。オリジナリティが求められる。」

これまでもオフィスデザインには各企業「らしさ」の表現は考えられていました。2022年は、社員にとってより愛着がわくデザイン、出社したくなるスペースなど、他の会社にはない「プラスα」が求められるでしょう。

以上4つがヴィスの2022年オフィスデザインのトレンド予想です。

ヴィスは今年、オフィスデザインを通した企業ブランディング構築から、「はたらく」に関する企業の課題を解決し、継続的な企業価値向上を支援する「ワークデザイン」へと事業領域を広げています。

2021年3月にワークプレイス可視化レポート『wit(ウィット)』、4月に組織改善サーベイ『ココエル』など、「はたらく」の課題を解決するサービスの提供をはじめました。
2021年1月にオープンしたオフィスビル『The Place(ザ プレイス)』は、各社のオフィススペースに加えてフリースペースも自由に使えるなど、新たな働き方を実現できる場となっており、すでに多くの方に利用いただいています。

ヴィスは、今後もオフィスや「はたらく」に関する最新のトレンドをつくり、発信してまいります。