【オフィスぶらり】WISE・WISEの新作展示会に行ってきました!
今回のぶらりは、株式会社WISE・WISE様の新作展示会にお邪魔してきました。木材を使った家具を扱うWISE・WISE(ワイス・ワイス)。ひとくちに「木製家具」といっても、実はいろいろと奥深いストーリーがあったりするのです。
表参道から少し入った閑静な通り
5月16日。夕刻になると、まだ少し肌寒い風が吹く表参道。
休日や昼間のそことは違い、平日の夜は人の波が比較的穏やかです。
表通りからさらに路地に入ると、そこが東京の真ん中とは思えないほど閑静な街並みに。その一画に、今回の会場である、WISE・WISE(以下ワイス・ワイス)のショールームがありました。
今回は、新作照明の展示会
今回ワイス・ワイスさんを訪れたのは、新しい照明器具が発表されると伺ったから。
まずは、ワイス・ワイスを少しご紹介しましょう。株式会社ワイス・ワイスはオリジナルブランドの家具、インテリア商品の企画、開発、製造、販売する会社であり、インテリアショップの運営もされています。
六本木の東京ミッドタウンに「WISE・WISE tools 」というショップがあり、素材感を活かしたシンプルな器やカトラリーなど、日々の生活をほんの少し豊かにしてくれる上質な「暮らしの道具」が見つかりますよ。
ワイス・ワイスの特徴は、国産の木材を使った家具をつくっていること。
国産材を軸に、「人と自然の関係を結び直す家具作り」 「多様な日本の森の在り方や子どもたちのことを考えた家具づくり」に取り組んでいらっしゃいます。ワイス・ワイスのオリジナル家具は、全て森林資源の再生が管理されている木材(フェアウッド)を使用し、そのうち国産材の使用率は70%以上を占めています。
木材生産地まで足を運ぶことをいとわず、トレーサビリティ(木材の伐採地を追跡し把握する)を重視し、家具のメーカーとして木材や木材製品を取り巻く環境リスク・社会リスクにとても意識の高い企業様なのです。
今回の照明器具は?
今回の新作の照明器具「a piece of forest」ももちろん、素材は木材でできています。
「a piece of forest」 …森のかけらは、「隠岐の島(島根県)」の森を守り育ててきた、創業128 年の歴史を誇る(有)池田材木店のスギを使い、出雲大社の伝統を受け継ぐ島大工を擁する島内の吉崎工務店が製作されたとのこと。しかも、プロダクトデザインは世界的に活躍するインテリアデザイナーの橋本夕紀夫氏がてがけられ、「木の温もりを感じる灯り」がテーマです。
実際の照明器具がこちら。3つのデザインのバリエーションがありました。
どれも、シンプルでかつ繊細なデザイン。ソリッドな印象のデザインながら、やはり素材が木材であることから、温かみのある空気感を感じることができます。
安定的でどこか懐かしさを感じる直方体の骨組みデザイン。
物体とその光の印影が印象的なT字デザイン。
クールでありながらも木目がもっとも美しく感じられる門型デザイン。
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どのデザインの照明器具もLEDを使用していますが、その灯りはまるで行灯(あんどん)のようにとても温かみがあります。
また、素材であるスギの木目が美しく、どの形も縦と横の木目をうまく組み合わせたデザインです。
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照明器具に隠されたストーリー
隠岐の木材を使用しているとのことですが、隠岐がどこにあるかご存知ですか?
隠岐の島は島根県の北東、日本海に浮かぶ諸島のこと。総面積の実に8割以上を森林が占める自然豊かな島なのです。古くから林業が栄え、豊かな森林は生活の糧であり、人々はその森林に守り守られ生活をしてきました。
とりわけ国内でも希少なクロマツの名産地で隠岐の森林の3割を占めており、かつては皇居の材料として使われるなど、島を代表する資源だったそうです。
ところが、そんな隠岐の豊かな森林が失われようとしているそうです。
安価な外国産の木材が輸入されるようになり、さらには次世代の林業を担う後継者不足により盛んだった林業は衰退し、先人たちに守られてきた隠岐の森林はその維持が難しい状況に陥りました。
森林は、植えて、育てて、伐採するというサイクルがあるからこそ、美しく守られるものなのです。
加えて名産であるクロマツが、松くい虫という寄生虫の虫害により次第に枯れ果てるという事態が。多くのクロマツが感染し、森林は荒廃し、隠岐の林業に大きな打撃を与えています。
そんな隠岐の森林を守ろうというところから、ワイス・ワイスの「隠岐のクロマツ再生プロジェクト」が始まったそう。
被害にあったクロマツを使った家具を、付加価値を付けて都市部で販売し、その利益を隠岐のクロマツ再生のために還元するというプロジェクトです。実際に隠岐のクロマツを使った家具の製品化に向けて、試作品がいくつかできているそうで、そのひとつであるテーブルも展示されていました。
製品化に至るまでのプロジェクトのストーリーを知っているからこそ、そのテーブルの温かみと重厚感が増します。ひとつのプロダクトに込められている想いは、そのテーブルの単なる値段で計れない、素晴らしい付加価値へと変わります。
展示会では、隠岐の島の紹介もいろいろとされていました。
隠岐の島の林業の歴史や、木材の紹介、実際のクロマツや、加工の道具など、林業を取り巻く現在の環境などにも思いをはせながら、拝見させていただきました。
今回は隠岐の島の木材をつかった新作の照明器具の発表会でしたが、ワイス・ワイスでは他にも日本全国各地の木材を使った家具をたくさん扱っていらっしゃいます。
なかには隠岐の島のように、地方の林業再生に寄与するものがあったり、震災の復興プロジェクトの一環のものがあったりと、その背後にあるストーリーもとても興味深いものが。正直、木製家具の裏側にそんなエピソードがあるなんて、私は知りもしなかったのですが、それを知ると自然とその家具にとても興味が湧くものです。
また、木材と一言にいっても、その土地土地で名産の種類の木材があり、それぞれに硬さや木目、密度などに特徴があり、その用途も本当にさまざま。
例えば、「柔らかくて加工しやすいけれども強度がないので、柱や梁には向かない。」とか「木目がはっきりしていて美しいので、小さな家具を作りにも向いている。」とか。乾燥具合や日照状況など、いろいろな条件や特徴を踏まえて、木材の家具が作られているのですね。
地球のために。社会のために。地球人としてできること。
最近では「サステナブル」というキーワードがよく聞かれるようになりました。地球環境の持続可能性、人間社会の文明・経済システムの持続可能性などが問われるようになっているのです。
企業にとっても、CSR(社会的責任)が重要な課題の一つであり、事業で収益を上げることだけでなく、環境や社会のリスクにどれだけ取り組めているかという地球人としての責任が問われるようになっています。
森林の保護もそんなサステナブルな社会を目指す、一つの課題です。
日本ではヨーロッパに遅ればせながらも、2017年5月にはクリーンウッド法が施行され、合法的な木材の伐採と流通および利用が促されるようになりました。木材を取り扱い事業者にはデューデリジェンス(DD:木材を取り扱う事業者としての責任や努力)の実施を義務付けるように。ワイス・ワイスはそんなDDを実行する先駆け的な企業であり、木材の環境社会配慮を進め2009年に「グリーンカンパニー宣言」をされています。
企業によっては、CSRの一環で社有林(会社で所持している森林)を保持している企業様もいらっしゃいますし、地方創生を目指し所縁のある土地の森林を保護していらっしゃる企業様なども存在します。
企業においても日本の森林に対する意識が強まってきている証拠ですね。
森林の保護や、サステナビリティ―など、少々難しいことのように聞こえますが、大事なことは一人一人がそういった意識をもつこと。一人一人が、どこかの森をつくっているという意識を持つことによって、日本の環境や社会が守られるようになるのです。
例えばオフィス環境にも国産の木材を利用した家具などがあれば、さらにサステナブルな社会を目指すことができるのではないでしょうか?
そんな、オフィスと自然の可能性を感じたひとときでした。
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