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自席でのWeb会議がうるさいなら。オフィスの騒音対策を紹介
2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の流行以降、テレワークやWEB会議が広く普及しました。感染リスクを抑えつつ通常通りの業務を遂行できる一方で、オフィスではさまざまな悩みも生じてきています。そのひとつが、周囲の会話や雑音といった「音」の問題です。
WEB会議中に周囲がうるさいとマイクで音を拾ってしまうため、「話に集中できない」「会議に参加している相手の言葉が聞こえにくい」など、いくつか不都合が起きてしまいます。 この記事では、WEB会議中に周囲がうるさい場合の解決策などについて解説します。
オフィスの自席でWeb会議がうるさいと感じている人は多い
コロナ禍によりWeb会議が普及し、オフィスにおけるWeb会議の実施頻度は増加傾向にあります。
2021年にブイキューブが行った調査によれば、オフィスの自席やフロア内でWeb会議をしたことがある人の割合は、第1回目の緊急事態宣言時(2020年4~5月)で66.7%だったのに対し、第2回目(2021年1~3月)では71.2%に上昇していました。また、自席を使う理由については「会議室が足りないから」が4割越えでトップとなっています。
さらに、周囲でWeb会議している人をうるさいと感じた経験がある人の割合は、第1回目で47.9%、第2回目で46.5%という結果でした。
自席で行われるWeb会議に対して、半数近い人がうるさいと感じているものの、会議室が足りず自席やフロアで実施せざるを得ない状況が明らかになっています。
自席でWeb会議をするときの「音」の悩み
自席でWeb会議を実施する側にとっても、周囲の音は気になるものです。実際に、以下のような音に対する悩みの声があるそうです。
- ・新商品に関する機密情報を含む会議なので、周囲に聞かれていないか心配
- ・会議室で行いたいが、部屋数が足りなくて借りられない
- ・喫茶店などでは社外の人に会議内容が聞かれてしまうためWeb会議はできない
- ・プライベート空間を見られたくないので、自宅からのWeb会議は避けたい
- ・自宅では個室がなく、共有スペースを占拠してしまうので家族に迷惑をかけてしまう
- ・自席でWeb会議せざるを得ないが、周囲にうるさく思われていないか気になる
WEB会議をしているときに周囲がうるさい場合の解決策
いくらWEB会議中に周囲がうるさいからといって、急にオフィス全体を改装することは難しいでしょう。「スペースが限られていて個別の部屋を作りにくい」という事情もあるかもしれません。
この項では、すぐに導入できる「音」問題の解決策を紹介します。
コワーキングスペースを活用する
オフィス環境をすぐに改善することが難しいなら、社外のスペースを活用すると良いでしょう。コワーキング(co-working=一緒に働く)スペースとは、複数の人が共同で利用するシェアオフィスのことです。以前はフリーランスや個人事業主の方、起業したばかりのスタートアップ企業などが多く利用していましたが、現在はテレワークに対応するためサテライトオフィスとして活用する企業も増えています。
コワーキングスペースは、本来交流を目的とした施設であるため、落ち着いて仕事ができるイメージがない方もいるかもしれません。しかし、最近では会議室や個別ブースなどを整備しているところも多く、そういった施設であれば静かな環境も整っています。
コワーキングスペースのほかにも、テレワークの普及によって設置数が増えている、個室ブースもおすすめです。個室ブースとは、デスクや椅子、電源などが内部に設置された個室型のワークスペースで、PCさえ持ち込めばすぐに仕事ができます。一見すると狭そうで窮屈に感じられるかもしれませんが、快適に仕事ができるよう配慮されており、遮音性にも優れています。公共施設や駅などに多く開設されているので、オフィスの近くにあれば活用してみると良いでしょう。
機能付のマイク・スピーカーに変える
どれだけ気を付けていても雑音やノイズが入ってしまうのであれば、マイクやスピーカーの性能も見直してみましょう。
PCやスマートフォンの内蔵マイクを使っていると、広い範囲から音を拾ってしまうため、ノイズが発生しやすくなってしまいます。できるだけマイクを口に近付けて声だけを拾うことができるよう、ヘッドセットを使うのがおすすめです。
また、ノイズキャンセル機能が付いたマイクやスピーカーであれば、周囲の雑音などが遮断され、クリアな音質で聞き取ることができます。マイクがスピーカーの音声を拾うことでハウリングやエコーが起きてしまう場合は、エコーキャンセル機能が有効です。
マイクやスピーカーには、マイクが音を拾う角度を示す指標である「指向性」があります。いくつか種類がある中で、WEB会議におすすめなのは単一指向性のものです。特定の方向の音をよく拾うという特徴があるため、声をしっかり拾って周囲の雑音などは拾いにくくなります。
ノイズキャンセルアプリを使う
イヤホンのノイズキャンセリング機能とは別に、周囲のノイズを軽減するアプリを使う方法もあります。Web会議に利用するパソコンにアプリをダウンロードすると、周囲の雑音やキーワードのタイピング音、マウスのクリック音などがブロックされ、話し声がクリアに聞こえるというものです。アプリによっては、自分だけでなく相手の音声のノイズも除去してくれます。
有料のアプリが多いですが、設備導入などが必要なく、手軽に取り入れられる方法です。ただし、通話中にリアルタイムで使えるアプリは数が少なく、スマートフォンに対応しているものはほぼないため、パソコンでの利用に限られます。
Web会議システムのノイズリダクション機能を使う
ノイズリダクションは、音声や映像などの信号に含まれるノイズを低減する機能です。一般的なWeb会議システムには標準搭載されているので、こちらを利用するとある程度雑音をカットしてくれます。
ただし、ノイズリダクション機能は信号処理の過程で内部から発生するノイズを抑制する方法なので、周囲の騒音を多く拾ってしまうと処理が追いつきません。パソコンを置いたテーブルを振動させない、クーラーや扇風機の風がマイクに当たらない場所を選ぶなど、そもそも雑音を発生させない工夫が重要です。
防音カーテン・防音材を利用する
オフィスの防音性を高めたい場合には、防音カーテンや防音材を利用するのも一手です。
会議室や個室ブースの防音性を高めるなら、音の漏れやすいドアや窓に防音カーテンを設置するといいでしょう。比較的低コストで設置でき、手軽に取り入れられる方法です。
また、壁に防音材を設置しても、機密性を高められます。自分で壁に貼り付けられる防音パネルを利用すると、設置が簡単なだけでなく再利用が可能で、コストを抑えられます。
パーテーションを設置する
簡便にできる解決策としては、パーテーションの設置が有効です。吸音性の高い素材を利用したものであれば、完全に遮音できるわけではないものの、反響音を減らすことが可能です。
パーテーションの外にWEB会議中の音が漏れにくくなり、かつ外の音が吸収されるため、WEB会議中の方にとっても音声が聞き取りやすくなります。
組み立て・設置が簡単な製品も多く、大規模なレイアウトの変更も必要ないため、すぐに導入できる方法としておすすめです。
個別ブースを設置する
より仕事しやすい環境を整えるなら、個室ブースの設置を検討してみると良いでしょう。防音性が高く周囲に音が漏れる心配がなくなり、WEB会議をする人もそうでない人も快適に働けるようになります。機密情報を多く扱う企業にもおすすめです。
近年はオフィスに設置可能な個室ブースが多く販売されるようになっており、個人で使用する1人用のブースや、少人数のグループで使用できる2~4人用のブースなど、さまざまなバリエーションがあります。
費用や設置スペースなどが必要となるためパーテーションよりハードルは上がるものの、音対策としては高い効果を期待できるでしょう。移転をする際にも持っていけるので、部屋を作るよりもコストパフォーマンスが高いでしょう。
また、天井や四方の壁を完全に囲われた個室ブースではなく、天井や壁の一部がオープンになっている半個室ブースを利用する選択肢もあります。半個室ブースは、個室ブースよりも防音性がやや劣るものの、導入費用を抑えやすい傾向です。
オンライン会議を快適にするアイデアについて、下記リンクより資料をダウンロードできます。
オフィスのレイアウトを見直す
日常的な執務とWeb会議とは、どちらも企業運営に欠かせない大切な業務です。どちらか一方を重視するのではなく、それぞれが集中して臨める環境を整えなくてはなりません。そこで、双方が音を気にせずに業務を進められるよう、オフィスのレイアウト変更や改装を行うと、根本的な解決が期待できます。
具体的には、以下のような対策が考えられます。
- ミーティングスペースなど音が発生しやすいエリアと執務エリアを離して配置する
- Web会議を行うエリアの近くに集中スペースを置かない
これらの対策と合わせて、Web会議は執務エリアや集中スペースで行わないよう社員に周知すると、各エリアで集中できる環境を維持できるでしょう。
ハウリングを防ぐ方法
Web会議における雑音としては「ハウリング」への対策も必要です。
ハウリングとは、マイクを通した音声に「キーン」といった不快な音が混ざってしまう現象です。これは、マイクが拾った音をパワーアンプが増強し、スピーカーが拡声してその音をさらにマイクが拾ってしまうという、音のループによって発生します。
つまり、ハウリングが発生しないようにするには、スピーカーから出た音を再びマイクが拾わないようにすることが大切です。発言者以外はマイクをミュートにする、スピーカーの音量を下げる、イヤホンやヘッドホンを使用するなどの対策でハウリングを軽減できます。
オフィスの「音」にお困りならヴィスへ相談を
テレワークやWEB会議の普及は、仕事の効率化に寄与することが期待できます。しかし、それに対応したオフィス環境が整っていなければ、かえって生産性やモチベーションの低下を招いてしまうおそれがあります。今回取り上げた「音」に関することは、優先して解決すべき課題のひとつです。
「音」問題の解決策として、社外スペースの活用やパーテーションの設置など、まずはハードルの低いものから導入することを検討してみてはいかがでしょうか。