厚生労働省が注目するワークエンゲージメントと働きがいのある職場づくり

やりがいのある職場を実現するために、厚生労働省がワークエンゲージメント向上を推奨しています。厚生労働省が注目するワークエンゲージメントの概要と、必要な取り組みについて解説します。

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やりがいのある職場を実現するために、厚生労働省がワークエンゲージメント向上を推奨しています。ワークエンゲージメント向上のためには、基本的な意味を理解したうえで、自社に合う形で適切に取り組むことが大切です。しかし、ワークエンゲージメントの正しい意味や効果を理解しておらず、具体的にどのようなことに取り組んだらよいのか分からないケースもあるのではないでしょうか。

本記事では、従業員がやりがいを持てる職場を実現するために、厚生労働省が注目するワークエンゲージメントの概要と、必要な取り組みについて詳しく解説します。

厚生労働省が注目する「ワークエンゲージメント」とは?

ワークエンゲージメントとは、仕事にやりがいやワクワクを感じつつ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ている状態のことです。活力・熱意・没頭で構成され、働きがいや意欲を高めるために必要な概念として厚生労働省が注目しています。

活力・熱意・没頭のそれぞれの具体的な意味は以下のとおりです。

・活力:仕事をしていると活力がみなぎるように感じている状態
・熱意:自分の仕事に誇りを感じている状態
・没頭:仕事をしていてつい夢中になってしまう状態

現在、人手不足が職場環境に影響を及ぼすと考えられており、その影響の一つに従業員の働きがいや意欲の低下があげられています。働きがいや意欲の低下は、従業員のストレスや疲労感、離職率を高めるおそれもあります。そうした背景から、ワークエンゲージメントを活用しながら、「働きがい」を概念化して分析し、働きやすい環境を実現することの必要性が高まることとなりました。

ワークエンゲージメントと従業員エンゲージメントの違い

ワークエンゲージメントと似た言葉として従業員エンゲージメントがあります。従業員のエンゲージメント向上のためには、それぞれの意味の違いを適切に理解することが大切です。

ワークエンゲージメントは、仕事と個人の関係を指します。一方で、従業員エンゲージメントは企業などの所属組織への貢献意欲を指し、個人と組織との関係を意味する点で区別されます。組織が目指す方向性と自身が目指す方向性とが重なることで組織への貢献意欲が高まることは、仕事そのものへのやりがいや誇りと同じように重要なことです。

厚生労働省が推奨する働きがいのある職場づくりで必要なこと

ワークエンゲージメントの概要を理解したところで、具体的に必要な取り組みを確認することが大切です。

ここでは、厚生労働省が推奨する働きがいのある職場づくりに必要な取り組みについて解説します。

自社の働きがいの現状を確認する

職場の働きがいの現状を確認するためには、定期面談や職場内での話し合い、エンゲージメントサーベイが効果的です。

まず、定期面談の実施で、従業員のやる気の変化を確認します。そして、改善状況について職場で話し合い、エンゲージメントサーベイで取り組みに対する検証を行います。上司と部下、同僚などと対話する機会を確保できれば、コミュニケーションの場が増え、相互理解を深めることが可能です。そして、検証結果に基づく対話や取り組みを一連のサイクルとして実施しましょう。

継続して確認することで、働きがい向上の進捗状況を把握でき、結果として新たな課題や取り組むべきテーマが見えてきます。

株式会社ヴィスでは、社員の働く環境・働き方に関する満足度を数値化し、データを用いてワークプレイス構築を行っています。自社の働きがいの現状を確認するところからオフィス造りをサポートし、オフィスごとに異なる課題の解決と、エンゲージメントの改善を実現します。

ワークプレイス構築に根拠をもたらす、ヴィスの『WORK DESIGN PLATFORM』はこちらのページでご確認いただけます。

柔軟・多様・快適な労働環境を整備する

柔軟性かつ多様性を重視した、快適で働きがいのある職場づくりも重要です。

例えば、テレワークや時差出勤など個々の状況に合わせて働き方を選択できれば、キャリアを維持できるため意欲的に働き続けられます。また、身体的な快適性には、オフィス内の設備や機能を再構築し、動線を最適化するなど、オフィス環境を改善する取り組みが欠かせません。併せて、従業員同士のコミュニケーション不足の解消を図ることで、社内交流も促進でき、心理的に働きやすい環境を構築できます。

多様な人材が柔軟に働ける環境を構築することで、従業員が心身ともに健康な状態で自身の能力を最大限発揮できるようになるでしょう。

自分が担当する仕事の意味や面白さを発見できるよう働きかける

自分の仕事が何の役に立っているのか、どのような意味があるのかを理解することで、仕事のやりがいを感じられるようになります。研修や面談を通して、担当している業務の意味や影響を従業員にきちんと伝えることが大切です。

また、日々の業務において、従業員同士が互いの仕事に対して褒め合ったり認め合ったりする機会をつくることも、働きがいを見つけることにつながります。結果として、従業員が仕事そのものに意欲的になり、楽しいと感じながら熱心に取り組んでくれるようになるでしょう。

従業員と組織の方向性を一致させる

仕事に対して熱心に取り組んでいても、組織との方向性がずれていては、成果や日々の努力が評価されにくく、従業員は働きがいを感じられません。方向性を一致させるために、社長のメッセージを発信する取り組みが効果的です。

組織が目指す姿を従業員に共有したり、話し合ったりする機会を設けることでも、組織の方向性を一つにまとめられるでしょう。具体的には、社員と管理職との1対1の面談の場を設けることなどがあげられます。

なお、従業員が組織と同じ方向を向きながら同時に仕事に対する自主性も高めたい場合には、手上げ制にして、従業員が取り組みたいことを業務につなげる方法もあります。これにより、従業員自身がやりたいことを実現したいという気持ちと、組織に貢献しようという意欲とを両立させられるでしょう。

納得感のある評価・処遇を用意する

自身の仕事に対して適正な評価をしてもらえるという実感も、働きがいにつながります。適正な評価制度を実現するためには、年功序列にとらわれないことが重要です。厚生で透明性・納得感のある評価基準を整備することで、従業員の「もっと高い評価を受けよう」というやる気を高められます。

具体的には、組織のビジョンや戦略を体現する行動を評価項目に盛り込み、目標を達成したら全社イベントで表彰するといった取り組みなどが考えられます。

納得感のある評価・処遇は、従業員が自身の仕事に自信や誇りを持ち、正当な評価をしてくれる組織に対する信頼を高めることにつながります。今後のやる気やモチベーションも高められるでしょう。

能力・キャリア開発を積極的に支援する

働きがいのある職場を実現するためには、従業員一人ひとりの能力アップやキャリア開発が欠かせません。研修や業務指導、資格取得支援などの機会を用意することは、スキルアップに効果的です。

また、個々のキャリア開発に必要な取り組みとして、キャリアデザインの支援があげられます。キャリアデザインとは、従業員が自身の将来のビジョンを持ち、達成するために必要なことを理解しながら、キャリアを形成していくことです。昨今、勤続年数より個々のスキルや仕事の成果が重視される仕組みが定着してきている中で、キャリアデザインの支援は従業員のモチベーション促進には不可欠だといえます。

能力・キャリア開発を支援することで、従業員のできること、やりたいことが広がり、自身のキャリアを充実させることにつながります。

まとめ

本記事では、厚生労働省が推奨するワークエンゲージメントの概要と、働きがいのある職場を実現するために必要な取り組みについて解説しました。従業員にとって働きがいを感じられる職場を実現するためには、ワークエンゲージメントの意味と効果をきちんと理解する必要があります。そして、ワークエンゲージメント向上のために、自社にとって適切な方法を模索することが求められます。

ワークエンゲージメントへの取り組みはさまざまありますが、オフィス環境の見直しも効果的な手段の1つです。

ヴィスは、空間づくりにおける知見を用いて、オフィスづくりにとどまらず、企業のニーズに合わせて「はたらく」を包括的に考慮したワークデザインを提供しています。ワークデザイン、オフィスデザイン、オフィス移転・改装・設計についてのお悩みは、お気軽にお問い合わせください。

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