オフィス用タイルカーペットの必要性と選び方を徹底解説!

オフィスの床にタイルカーペットに設置すると、床を保護できる上、空間の印象やデザインを簡単に変えることができます。ただ、家庭用カーペットと異なり、機能性や法的な兼ね合いなど考慮した上で取り入れる必要があります。 本記事では、オフィス用タイルカーペットの特徴や設置する目的、選び方のポイントなどについて解説します。オフィス移転やレイアウト変更に伴い、タイルカーペットの導入を検討する際に役立つ情報をまとめていますので、ぜひご覧ください。

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オフィス用タイルカーペットとは?

オフィス用のタイルカーペットは、1枚のサイズが50cm角のものが主流です。一般的なオフィスは土足で使用される場所であり、多くの人が歩くことを想定しているため、耐久性に優れています。また、社員が1日快適に働ける空間を維持するために、制電機能や防汚機能などさまざまな機能性を備えたものが見られます。

表面のパイルと呼ばれる部分はナイロンやポリプロピレンなどの素材が多く、裏面はポリ塩化ビニル(PVC)が一般的です。また、使っているうちにズレる、剥がれるといったことのないよう、ボンドや専用の吸着テープなどで固定されます。

柄や色のバリエーションも豊富で、スペースごとの空間デザインや用途に合わせて使い分けることが可能です。同じ部屋の中で、違った印象を与えたい場合にも役立ちます。

家庭用カーペットとの違い

オフィス用タイルカーペットと家庭用のものとでは、いくつかの違いがあります。まず、オフィス用は1枚あたり50cm角が多いですが、家庭用では30cm角や40cm角が見られます。

また、オフィス用では正方形や長方形でシンプルなものが中心ですが、家庭用ではパズルのようなジョイントタイプや階段用の細長いタイプなどもあります。加えて、使われる素材の種類も、家庭用の方が豊富です。

オフィスにおけるタイルカーペットの必要性

コロナ禍や働き方の多様化の流れを受けて、オフィスのあり方や求められるものが変化してきています。柔軟な対応ができるオフィス環境を整える上で、機能性の高いタイルカーペットが役立つ場合があります。

オフィスにタイルカーペットを導入することで、床の汚れや騒音の軽減に加えて、保温性や制電性、防炎性の向上といった効果が期待できます。また、オフィスのゾーニングにも役立ちます。

ここでは、オフィス用タイルカーペットの採用によって見込まれるメリットや効果について解説します。

オフィス床の汚れ・劣化を防ぐ

タイルカーペットを敷いてあるオフィスでは、床の汚れや劣化を防ぐ効果が期待できます。社員や来訪者が土足で歩く上、キャスター付きの椅子の移動も多いオフィスでも、部分的に取り外して交換できるため、きれいな状態をキープしやすいでしょう。

騒音の軽減

タイルカーペットは、人の足音やキャスターの移動音、床に荷物を置く際の音などの床に伝わる衝撃を吸収するため、騒音の軽減に役立ちます。

特にクッション性に優れたものや防音性や遮音性に優れたカーペットは、応接室や会議室など音を立てたくないスペースにおすすめです。また、Webミーティングやリフレッシュエリアに設置することで、スピーカーの音声や人の会話の反響を軽減できるでしょう。

タイルカーペットによって遮音効果が高まれば、室内が静かに保たれ、集中しやすい環境を構築できます。オフィスにおける生産性の向上にも、タイルカーペットが役立つでしょう。

埃の飛散軽減

タイルカーペットは、埃が舞い上がるのを防ぐ役割があるため、飛散軽減にも効果的です。オフィスの床がフローリングやタイルの場合、椅子の移動や人が歩くたびに埃が空中に舞いがちです。

空気中の埃やハウスダストは、室内で過ごす人の健康状態にも影響を及ぼす可能性があります。タイルカーペットの設置と日々の掃除により、健康的かつ快適に働きやすいオフィスづくりにつながるでしょう。

保温性の向上

タイルカーペットの素材によっては保温効果が期待できるため、冬など寒い時期でも快適な室温を保つことができます。フローリングやタイル張りの床は冷えやすく、暖房で室温を高めても空気が下にいくことで温度が下がってしまうでしょう。

そこで、タイルカーペットを敷くことで温度が下がりにくくなり、オフィス内の室温をキープできます。結果的に光熱費の節約にもつながるでしょう。

制電性の向上

パソコンやコピー機などのOA機器を多数扱うオフィスにタイルカーペットを設置すると、制電性を高められます。制電性とは、静電気を制御する性能のことで、静電気が発生する原因を排除する、あるいは静電気を放電することで向上します。

パソコンやスマホなどの電子機器は、静電気の放電によって誤作動やデータ破損といった問題を引き起こす可能性があり、オフィスの制電性を確保することは重要です。また、静電気によって埃が付きやすくなり、故障の原因となるリスクもあります。

制電性に優れたタイルカーペットは、オフィスで扱う機械の不調を予防できるだけでなくドアノブに触れてバチンとなる静電気の不快感も軽減できるでしょう。タイルカーペットの制電性の高さについては、後ほど詳しく解説します。

防炎性の向上

燃えにくい防炎カーペットを取り入れることで、防炎性を高めることが可能です。火災などの際に着火しにくいため、タバコやライターなどちょっとした火種が移っても、火が広がることを回避できます。

ビルの高さやオフィスのフロアなどによっては、消防法により防炎ラベルの付いた防炎カーペットの設置が義務付けられている場合もあります。防炎カーペットには性能を保証するために防炎ラベルが付いており、オフィスに導入するにあたって登録業者に施工を依頼する必要があります。

ゾーニングがしやすい

タイルカーペットは、オフィスのゾーニングにも役立ちます。ゾーニングとは、部屋を区切ることを指します。一般的には、壁やパーテーションを設置して空間を区切りますが、タイルカーペットを用途に合わせて設置するだけで視覚的にエリアを分けることも可能です。

また、タイルカーペットの色や柄を変更することで、オフィスのイメージを一新できるというメリットもあります。空調や防災などの大掛かりな工事が不要で、デザイン性や快適さを高めたい場合にもおすすめです。

オフィス用タイルカーペットの選び方

ここからは、実際にオフィス用にタイルカーペットを選ぶ際のポイントを解説します。

前述のタイルカーペットによるメリットや必要性を考慮した上で、用途や目的に合ったものを選ぶことが大切です。耐久性はもちろん、価格と品質のバランスや制電性、遮音性、防虫・防カビなどの機能を備えたものもあるので、敷く場所に応じて選びましょう。

また、オフィスのインテリアとしても重要なため、デザイン性も考慮する必要があります。応接室や社長室、エントランスといった来訪者が利用する場所は、踏み心地にも配慮しておくと良いでしょう。各ポイントについて詳しく見ていきましょう。

低価格&高品質

オフィス用のタイルカーペットは、限られた予算内で求める性能を満たしている必要があるため、価格と品質のバランスは重要です。タイルカーペットの価格は、使っている素材や性能により大きく変わる場合もあるので、設置する場所や目的に合わせて選びましょう。

代表的な素材には、ナイロンやポリエステル、ポリプロピレンがあります。ポリプロピレンは低価格ですが、耐久性がやや低めです。一方、ナイロンは耐久性がある分価格も高額になりがちですが、長持ちすることを考えるとコストパフォーマンスは高いでしょう。

耐久性(原着ナイロン100%)

品質に通ずるポイントとして、耐久性の高いものを選ぶ必要があります。というのも、オフィスは多くの人が行き来する場所であり、耐久性が低いタイルカーペットでは短期間でヘタってしまい、貼り替えによるランニングコストが高くつく可能性があります。

特に通路やエントランスなど、歩行量が多い場所には耐久性の高い素材のものを選ぶことが大切です。

耐久性が高いのはナイロン製のタイルカーペットですが、中でも紡糸工程の前段階で顔料を添加して作られる原着ナイロン100%のものが優れています。ナイロンはポリエチレンに比べて弾性回復力が高い上、強度があって擦り切れにくい傾向があります。

また、ナイロンは負荷がかかっても均一にヘタリが発生するため、部分的に痛みが目立ちにくい点も特徴です。そのため、製品寿命が長くコストパフォーマンスが高くなります。

高制電性

制電性能のあるタイルカーペットの中には、「制電マーク」が付いているものがあります。一定の静電気防止機能を持つタイルカーペットを設置することで、冬場の静電気や埃の吸着を避ける効果が期待できます。また、各商品の紹介ページなどに機能として制電性の有無が記載されている場合もあるのでチェックしてみましょう。

高遮音性

タイルカーペットの中には、遮音等級を表すマークが付いているものがあります。タイルカーペットを含む床材では、△L等級(旧等級のL値)による表示が一般的です。

△LLに続く数字には1〜5の5段階があり、数字が大きくなるほど遮音効果は高まります。ただしこの表記はあくまでも1つの目安であり、カーペットそのものが、フローリングなど他の床材よりも遮音性が高いため、遮音等級がなくてもある程度の音を緩和する効果が見込めます。

遮音等級が高いほど金額も上がるため、遮音等級がなくてもクッション性のあるものを選ぶといった選択肢も検討してみましょう。

防虫・防カビ

防虫・防カビ機能付きのタイルカーペットは、室内を清潔に保つ役割があり、快適な労働環境の構築に役立ちます。一般的なカーペットは湿気がこもり、カビや虫が発生する原因となる場合があります。

そこで、抗菌作用のあるものを採用すれば、害虫や菌の増殖を抑制する効果が期待でき、設置するだけでカビの発生を予防する効果が期待できます。ただ、湿気の多く換気がしにくいオフィスに設置する場合は、除湿器を設置して湿度をコントロールする必要があるでしょう。

デザイン性

タイルカーペットは、色や柄のバリエーションが豊富で、オフィスの雰囲気やインテリアデザインに合わせて選びやすいというメリットがあります。同じ部屋の中でも、執務スペースとオープンスペースでデザインを変えるなど、効果的なゾーニングに役立ちます。

ただし、デザイン性に富んでいるからといって、他のタイルカーペットより品質が劣るわけではありません。例えば、高制電性でデザイン性のある製品や、耐久性の高いおしゃれなものもあり、機能とデザインは両立します。

踏み心地

タイルカーペットの踏み心地は、表面に使われているパイルの形状で変わります。タイルカーペットのパイルには、ループパイル、カットパイル、カット&ループという3種類があります。

ループパイルはパイルが輪になっていて弾力性があり、さらっとした肌触りが特徴です。復元性も高いため、オフィスにもよく使われています。カットパイルは毛足を切りそろえたタイプで、寝室など裸足で歩く場所に適した柔らかさがあります。ただ、ループパイルよりも弾力性や耐久性に劣るでしょう。

カット&ループは、カットパイルとループパイルが混ざり合ったタイプで、両者の中間のような踏み心地を実現しています。応接室や社長室などでは踏み心地を重視して、カットパイルやカット&ループなどを選ぶと印象アップにつながるでしょう。

オフィス用タイルカーペットを設置する際の注意点

オフィス用のタイルカーペットを設置する際に気をつけたいポイントがあります。ここでは2つの注意点について解説します。

ゾーニング計画を徹底する

オフィスにタイルカーペットを導入する前に、まずはゾーニング計画をしっかりと立てることが大切です。ゾーニングとは、オフィスに必要なスペースを大まかに割り振りする作業のことを意味します。

ゾーニング計画を事前によく考えた上でタイルカーペットの設置を決めなければ、スペースの快適性や使い勝手が下がる可能性があります。また、社外からの来客時に不用意に執務スペースを通るようなゾーニングでは、機密情報の漏えいリスクなどセキュリティ的な問題も生じるでしょう。

部署や来訪者との兼ね合いを考慮して、業務効率化に役立つ場所の位置取りを考え、用途や目的に合わせてタイルカーペットを選びましょう。まずは、必要な機能スペースを一通りリストアップし、業務内容の特性なども考慮してエリアを分けるとスムーズです。

高湿度の場所を避けて設置する

タイルカーペットの特性として、湿度が高い場所に設置すると、ハウスダストやダニなどが発生しやすくなります。アレルギーの原因になる可能性もあるため、湿度の高い場所は避けて設置するよう意識しましょう。

通常、オフィスの清掃はビル清掃会社が行いますが、床材の種類によって清掃方法などが異なるなど、メンテナンス費用が別途発生する場合があります。埃や土、食べカスなどが溜まりやすくなるため、湿度の高い場所にカーペットを貼るのは避けましょう。

オフィス用タイルカーペットで機能性とデザイン性を向上しよう

オフィスにタイルカーペットを設置することで、騒音や埃の飛散を軽減できるといった効果が期待できます。また、カラーや柄のバリエーションが豊富で、間仕切りやリフォームなどの大掛かりな施工不要でゾーニング効果を得られます。

中には制電性や防炎性の高い製品もあり、用途や場所に応じて適切なものを選べばオフィスの快適性を高めることが可能です。ただ、湿度が高い場所ではカビやダニなどが発生しやすい点に注意が必要です。

タイルカーペットの施工は、ゾーニング計画や機能性などを総合的に考慮して決める必要があります。施工の質や総合的なオフィス環境への影響を加味し、実績が豊富なオフィスレイアウトのプロに相談することをおすすめします。