オフィス改装に補助金は使える?対象制度・申請要件・活用時の注意点をわかりやすく解説

オフィス改装に使える補助金・助成金の対象制度や申請要件、活用時の注意点をわかりやすく解説します。

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オフィス改装を検討する際、レイアウト変更や内装工事、家具・設備の入れ替えなどにまとまった費用がかかるため、「補助金や助成金を活用できないか」と考える企業担当者も多いのではないでしょうか。特に、働き方改革や生産性向上、職場環境の改善を目的としたオフィス改装であれば、制度によっては申請の対象となる可能性があります。

一方で、補助金・助成金は制度ごとに対象経費や要件、申請時期、採択の考え方が異なります。単に「オフィスをきれいにしたい」という目的だけでは対象外となる場合もあるため、制度の趣旨を理解したうえで改装計画を立てることが重要です。

本記事では、オフィス改装に活用できる補助金・助成金の考え方や、働き方改革推進支援助成金、地方自治体の支援制度、申請時の注意点をわかりやすく解説します。補助金を活用しながら、自社にとって最適なオフィス改装を進めるための参考にしてください。

この記事のまとめ

【この記事の結論】

オフィス改装で補助金・助成金を活用するには、制度の要件を確認し、働き方改革や生産性向上につながる改装計画として整理することが重要です。

【3つの要点】

  • 補助金・助成金は、対象経費や申請要件、採択条件が制度ごとに異なります。

  • 働き方改革推進支援助成金や地方自治体の制度は、職場環境改善に活用できる可能性があります。

  • 交付決定前の着工や書類不備は対象外になるため、早めの準備が必要です。

【この記事で解決できる悩み】

オフィス改装に使える補助金の種類、申請時の注意点、採択されやすい改装計画の考え方が分かります。

 

オフィス改装に補助金・助成金は使えるのか

オフィス改装に補助金や助成金を活用できるかどうかは、改装の目的や工事内容、申請する制度の要件によって異なります。単なる内装の刷新やデザイン変更だけでは対象になりにくい一方で、生産性向上、労働環境の改善、テレワーク対応、バリアフリー化、省エネ化など、制度の目的と合致する取り組みであれば、対象経費として認められる可能性があります。

オフィス改装は、働き方や組織運営を見直す大きな機会です。実際に、WORK DESIGN JOURNAL内でも、オフィス改装は単なる内装工事ではなく、業務効率や社員エンゲージメント、コミュニケーション、採用力の向上につながる施策として紹介されています。オフィス改装の基本的なメリットや進め方を先に確認したい方は、以下の記事も参考になります。

参考記事:オフィス改装のメリット|流れと注意点について解説

補助金と助成金の基本的な違い

補助金と助成金は、どちらも企業の取り組みに対して費用の一部を支援する制度ですが、仕組みには違いがあります。

一般的に補助金は、申請内容を審査したうえで採択される制度が多く、予算枠や募集期間が決まっているケースが一般的です。要件を満たしていても、必ず採択されるとは限らない点に注意が必要です。

一方、助成金は、定められた要件を満たせば支給対象となる可能性が比較的高い制度です。ただし、こちらも申請書類の不備や実施時期の誤りがあると、対象外となることがあります。オフィス改装で制度活用を検討する場合は、「どの工事が対象になるか」だけでなく、「いつ申請し、いつ着工すべきか」まで確認しておくことが大切です。

特に、オフィス改装では見積取得、社内承認、業者選定、工事スケジュールの調整が同時に進むため、補助金・助成金の申請タイミングと工事開始時期がずれやすくなります。制度によっては、交付決定前に契約や着工をしてしまうと対象外になる場合もあるため、早めの情報収集が欠かせません。

オフィス改装が対象になりやすい理由

オフィス改装が補助金・助成金の対象として検討されやすいのは、働く環境の改善が企業の生産性や人材定着に直結するためです。近年は、テレワークやハイブリッドワーク、フリーアドレス、ABWなどの働き方が広がり、従来の固定席中心のオフィスでは業務実態に合わなくなるケースも増えています。

例えば、集中ブースの設置、会議室の再配置、リフレッシュスペースの整備、動線改善、オンライン会議に対応した設備導入などは、社員の働きやすさや業務効率の向上につながる取り組みです。こうした目的が明確であれば、制度の趣旨と結びつけて説明しやすくなります。

また、働き方改革や職場環境改善を目的とする制度では、労働時間の削減や生産性向上、従業員の負担軽減といった成果が重視されます。オフィス改装を単なる「空間の刷新」としてではなく、「働き方を改善する施策」として位置づけることで、申請時の説得力が高まります。

すべてのオフィス改装が対象になるわけではない

一方で、すべてのオフィス改装が補助金・助成金の対象になるわけではありません。例えば、見た目をきれいにするだけの内装変更や、制度目的との関係が説明しにくい装飾工事は、対象外と判断される可能性があります。補助金・助成金は、あくまで政策目的に沿った取り組みを支援する制度であり、企業の任意の改装費用を幅広く補填するものではありません。

そのため、申請前には「自社が解決したい課題は何か」「改装によってどのような効果が見込めるか」「制度の対象経費や要件に合っているか」を整理する必要があります。改装目的が曖昧なまま進めてしまうと、申請書類上でも効果を説明しにくく、採択の可能性を高めることが難しくなります。

オフィス改装にかかる費用や補助制度の考え方を把握したい場合は、費用相場や内訳、コストを抑える工夫を解説した記事も参考になります。補助金・助成金を検討する前に、まずは改装費用の全体像をつかんでおくと、制度活用の可否も判断しやすくなります。

参考記事:オフィス改装費用の相場と内訳を徹底解説|リフォーム・工事のコストを抑えるポイントも紹介

オフィス改装で活用されやすい主な補助金・助成金制度

オフィス改装に関連して検討されやすい制度には、国が実施する助成金・補助金と、地方自治体が独自に設ける支援制度があります。代表的なものとしては、働き方改革や労働時間短縮を目的とした「働き方改革推進支援助成金」が挙げられます。また、自治体によっては、事業所の改修、省エネ設備の導入、バリアフリー化、テレワーク環境整備などを支援する補助金が用意されている場合もあります。

ただし、補助金・助成金は年度ごとに制度内容や公募期間、対象経費が変わることがあります。2026年度の働き方改革推進支援助成金についても、厚生労働省が令和8年4月13日から申請受付を開始し、交付申請期限を令和8年11月30日午後5時としていますが、予算の都合により期限前に受付を締め切る可能性があると案内されています。制度を活用したい場合は、最新の公募要領や自治体の公式情報を確認しながら、早めに準備を進めることが大切です。

働き方改革推進支援助成金の概要

働き方改革推進支援助成金は、中小企業が生産性を向上させながら、時間外労働の削減や年次有給休暇、特別休暇の取得促進に向けた環境整備を行う際に活用できる助成金です。厚生労働省の案内では、労働時間短縮・年休促進支援コースについて、中小企業における時間外労働の上限規制への対応や、生産性向上を支援する制度として位置づけられています。

厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

オフィス改装との関係で考えると、単に壁紙を変える、床を張り替えるといった美装目的の工事ではなく、労働能率の増進や業務効率化につながる設備・機器の導入、労務管理の改善、就業規則・労使協定の整備などと組み合わせて検討することが重要です。厚生労働省は、支給対象となる取組として、労務管理担当者への研修、外部専門家によるコンサルティング、就業規則・労使協定等の整備、労務管理用ソフトウェアや機器の導入、労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新などを挙げています。

つまり、オフィス改装そのものを目的にするというよりも、「なぜ改装するのか」「改装によって労働時間や業務効率をどのように改善するのか」を明確にする必要があります。例えば、無駄な移動を減らすレイアウト変更や、Web会議・集中作業に適したスペースの整備、業務分担を見直しやすいワークエリアの再設計などは、働き方改革の文脈と結びつけて検討しやすい取り組みといえるでしょう。

国の制度と地方自治体の制度の違い

国の補助金・助成金は、全国共通の政策目的に沿って設計されている点が特徴です。働き方改革推進支援助成金のように、中小企業の労働時間短縮や生産性向上を支援する制度では、対象となる事業主の要件や成果目標、対象となる取組が明確に定められています。申請先は制度によって異なりますが、働き方改革推進支援助成金では、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)への申請や、働き方改革推進支援センターでの相談が案内されています。

一方、地方自治体の補助金は、地域ごとの課題や産業政策に合わせて設計されることが多く、対象事業や補助率、募集期間が自治体によって大きく異なります。例えば、事業所改修、省エネ設備導入、創業支援、商店街活性化、テレワーク推進、バリアフリー化など、地域の方針に応じた制度が設けられるケースがあります。ミラサポplusでは、地域を選択して補助金・助成金等を探せる仕組みが用意されており、自治体ごとの支援策を調べる入口として活用できます。

国の制度は比較的制度設計が大きく、要件や手続きが厳密な傾向があります。地方自治体の制度は、地域や年度によって内容が変わりやすいものの、自社の所在地や事業内容に合致すれば、オフィス改装の一部費用を補助できる可能性があります。どちらを使う場合でも、併用可否や同一経費への重複申請の扱いは必ず確認しましょう。

比較項目国の補助金・助成金地方自治体の補助金
主な目的働き方改革、生産性向上、省力化、雇用環境改善など、全国的な政策課題への対応。地域産業の活性化、事業所改修、創業支援、省エネ化、地域課題の解決など。
対象範囲全国の対象事業者。業種・企業規模・成果目標などの要件が細かく定められる。自治体内に事業所を持つ企業など。地域要件が設定されることが多い。
申請の特徴公募要領や支給要領に基づき、書類審査や交付決定を経て実施する。自治体ごとに申請方法や受付期間が異なる。予算に達すると早期終了する場合がある。
確認先厚生労働省、中小企業庁、Jグランツ、ミラサポplusなど。都道府県、市区町村、商工会議所、産業振興センターなど。

地方自治体の補助金を活用する際の視点

地方自治体の補助金を検討する場合は、まず自社の所在地で利用できる制度を確認することから始めましょう。同じ「オフィス改装」でも、自治体によって対象となる内容は異なります。例えば、省エネ設備の導入を重視する制度もあれば、地域の中小企業の事業継続や人材確保、働きやすい職場づくりを支援する制度もあります。

注意したいのは、地方自治体の補助金は募集期間が短い場合や、予算上限に達した時点で受付が終了する場合があることです。また、申請時には見積書、事業計画書、工事内容が分かる資料、施工前の写真などが求められることがあります。オフィス改装の計画が具体化してから制度を探すのではなく、改装方針を検討する段階で並行して情報収集を進めると、申請準備に余裕を持ちやすくなります。

工場リフォーム向けの記事ではありますが、補助金制度の種類や申請の流れ、地域別支援策の考え方を把握したい方には、以下の記事も参考になります。オフィス改装とは対象施設が異なるため、そのまま当てはまるわけではありませんが、補助金制度を調べる際の視点や申請準備の流れを理解するうえで役立ちます。

参考記事:工場リフォームに使える補助金制度とは?費用相場・申請方法・地域別支援策まで徹底解説

補助金・助成金の対象となるオフィス改装内容と要件

オフィス改装で補助金・助成金を活用するには、「どのような工事を行うか」だけでなく、「その改装がどのような課題解決につながるか」を整理することが重要です。補助金・助成金は、企業の自由な設備投資を幅広く支援するものではなく、制度ごとに定められた目的や要件に沿った取り組みを支援する仕組みです。働き方改革推進支援助成金でも、生産性向上や時間外労働の削減、年次有給休暇・特別休暇の取得促進に向けた環境整備が目的として示されています。

そのため、オフィス改装を申請対象として検討する場合は、「社員の移動時間を減らす」「会議室不足を解消する」「集中作業とコミュニケーションの場を分ける」「テレワークと出社を組み合わせた働き方に対応する」など、改装後に期待できる効果を具体的に言語化しておく必要があります。

対象になりやすい改装内容の考え方

補助金・助成金の対象になりやすいオフィス改装は、制度の目的と改装内容の関係を説明しやすいものです。例えば、業務効率化を目的に動線を見直すレイアウト変更、会議やWebミーティングを円滑にするためのスペース整備、集中作業を支援する個室ブースの設置、社員の休憩環境を整えるリフレッシュスペースの整備などは、働きやすさや生産性向上との関連を示しやすい取り組みです。

また、働き方改革推進支援助成金では、支給対象となる取組として、労務管理用ソフトウェア・機器の導入、外部専門家によるコンサルティング、就業規則・労使協定等の整備、労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新などが示されています。そのため、オフィス改装を単独で考えるのではなく、労務管理や働き方のルール整備、業務プロセスの見直しと組み合わせることで、制度趣旨に沿った計画にしやすくなります。

たとえば、フリーアドレスやABWを導入する場合も、単に席を自由にするだけではなく、出社率や業務内容に応じて必要な座席数を再設計し、コミュニケーションエリアや集中スペースを適切に配置することが大切です。こうしたオフィスリノベーションの目的設定や社内ヒアリング、ゾーニングの考え方について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になります。

参考記事:オフィスリノベーションで働き方を変える:目的・進め方・事例から学ぶ空間づくりのヒント

対象外になりやすいケース

一方で、補助金・助成金の対象外になりやすいのは、制度の目的との関連性が弱いオフィス改装です。例えば、来客時の印象を良くするためだけの装飾工事や、単に内装をおしゃれにするための美装工事、経年劣化した箇所を通常の維持管理として修繕するだけの工事は、制度によっては対象外と判断される可能性があります。

もちろん、デザイン性の高いオフィスにすること自体が悪いわけではありません。企業ブランディングや採用力向上、社員エンゲージメントの向上につながるケースもあります。しかし、補助金・助成金の申請では、「デザインを良くしたい」という表現だけでは不十分です。改装によって働き方や業務効率、労働環境がどのように改善されるのかを具体的に示す必要があります。

また、制度によっては、汎用性の高いパソコン、タブレット、スマートフォンなどの更新は原則として対象外とされる場合もあります。働き方改革推進支援助成金の労働時間短縮・年休促進支援コースでも、原則として乗用自動車やパソコン、タブレット、スマートフォンの導入・更新は対象とならない旨が示されています。そのため、設備や什器を購入する際も、対象経費として認められるかを事前に確認しておくことが重要です。

申請時に求められる主な要件

補助金・助成金を申請する際は、制度ごとの対象者要件や成果目標、対象経費、申請期限を確認する必要があります。働き方改革推進支援助成金の労働時間短縮・年休促進支援コースでは、労災保険の適用事業主であること、中小企業事業主の要件に該当すること、年休管理簿を作成していること、一定の事業場では年次有給休暇の時季指定に関する就業規則を作成し、交付申請前に所轄労働基準監督署へ届け出ていることなどが対象事業主の要件として示されています。

さらに、成果目標の設定も重要です。働き方改革推進支援助成金では、時間外・休日労働の上限設定、年次有給休暇の計画的付与制度の導入、時間単位年休や特別休暇の導入など、制度ごとに成果目標が定められています。オフィス改装を行う場合も、こうした成果目標の達成にどのようにつながるのかを説明できるようにしておく必要があります。

申請に向けては、少なくとも以下のような情報を整理しておくとスムーズです。

整理すべき項目確認する内容
改装の目的労働時間削減、生産性向上、コミュニケーション改善、集中環境の整備など、制度趣旨と結びつく目的を明確にします。
現状の課題会議室不足、動線の悪さ、集中スペース不足、Web会議環境の不備など、改装前の問題を具体的に整理します。
改装内容レイアウト変更、設備導入、什器更新、スペース新設など、実施する内容を見積書や図面とあわせて説明できるようにします。
期待される効果業務効率化、移動時間削減、残業抑制、社員満足度向上など、改装後に見込める変化をできるだけ具体的に示します。
申請スケジュール申請期限、交付決定時期、契約・着工・完了報告のタイミングを確認し、制度上の手順に沿って進めます。

特に注意したいのは、補助金・助成金は「後から申請すればよい」というものではない点です。制度によっては、交付決定前に契約や着工を行った場合、対象外となる可能性があります。オフィス改装の計画段階から、制度の要件とスケジュールを確認し、社内承認や業者選定と並行して申請準備を進めましょう。

オフィス改装で補助金を活用する際の申請の流れと注意点

オフィス改装で補助金・助成金を活用する場合は、通常の改装プロジェクトに加えて、制度確認、申請書類の作成、交付決定後の実施、実績報告といった手続きが発生します。特に重要なのは、工事の契約や着工のタイミングです。制度によっては、交付決定前に契約や発注、工事を始めてしまうと対象外になる場合があります。働き方改革推進支援助成金でも、交付申請、交付決定後の変更申請、事業実施状況報告、支給申請、事業実施結果報告など、段階ごとの様式が用意されています。

そのため、補助金・助成金の活用を前提にオフィス改装を進める場合は、「改装計画」と「申請スケジュール」を別々に考えるのではなく、最初から一体で管理することが大切です。総務担当者は、社内承認、施工会社との調整、制度要件の確認、必要書類の準備を並行して進める必要があります。初めて改装プロジェクトを担当する場合は、業者選定や発注フローも含めて早めに全体像を把握しておきましょう。

オフィス改装の実務的な進め方や、総務担当者が押さえておきたい業者比較・発注フローについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になります。補助金申請を検討する前段階で、改装プロジェクト全体の段取りを整理する際に役立ちます。

参考記事:総務が知っておきたいオフィス改装の基礎知識―業者比較から発注フローまで、失敗しないための実務ガイド―

申請から採択までの基本的な流れ

補助金・助成金の申請は、制度によって詳細が異なりますが、基本的には「情報収集」「制度選定」「事前相談」「申請書類の作成・提出」「審査・採択または交付決定」「事業実施」「実績報告・支給申請」という流れで進みます。中小企業庁でも、補助金の公募・採択に関する情報を随時掲載しており、公募中・公募予定の補助金や採択結果を確認できるようになっています。

オフィス改装の場合は、まず自社の改装目的を整理し、その目的に合う制度があるかを確認します。働き方改革推進支援助成金を検討する場合は、厚生労働省の制度ページや都道府県労働局、働き方改革推進支援センターなどで最新情報を確認します。2026年度の労働時間短縮・年休促進支援コースでは、申請受付開始日や交付申請期限、申請様式、交付要綱、支給要領が公開されており、電子申請としてJグランツも案内されています。

申請前には、改装内容が制度の対象経費に該当するか、成果目標と整合しているか、社内規程や労務管理の要件を満たしているかを確認します。その後、必要に応じて施工会社から見積書を取得し、図面や事業計画、現状課題の説明資料を準備します。採択や交付決定を受けた後に工事や設備導入を実施し、完了後に実績報告や支給申請を行う流れが一般的です。

ステップ主な内容注意点
情報収集国や地方自治体の補助金・助成金を調べ、自社の改装目的に合う制度を探します。年度ごとに制度内容や公募期間が変わるため、必ず最新情報を確認します。
事前相談労働局、自治体、商工会議所、専門家などに相談し、対象可否を確認します。相談時には、改装目的や概算費用、実施予定時期を整理しておくと話が進みやすくなります。
申請準備見積書、図面、事業計画書、労務関連書類などを準備します。書類の不足や記載の不整合は審査に影響するため、早めに確認します。
申請・審査申請書類を提出し、審査や採択・交付決定を待ちます。採択制の補助金では、要件を満たしていても必ず採択されるとは限りません。
事業実施交付決定後、契約・発注・工事・設備導入を進めます。交付決定前の着工が対象外となる制度もあるため、開始時期に注意します。
実績報告工事完了後、領収書や写真、実施結果などを提出します。支給申請期限を過ぎると受給できない場合があるため、完了後の書類管理も重要です。

採択されるために意識したいポイント

補助金で採択を目指す場合は、制度の目的と自社の改装計画がどれだけ合致しているかを分かりやすく示すことが重要です。単に「オフィスを改装したい」「老朽化したため内装を変えたい」という内容だけでは、審査側に事業の必要性が伝わりにくくなります。改装によって解決したい課題、導入する設備やレイアウトの意味、期待される効果を具体的に整理しましょう。

例えば、働き方改革推進支援助成金では、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の取得促進、生産性向上に向けた環境整備が制度の目的として示されています。この目的に沿って考えるなら、会議室不足による打ち合わせ待ち時間の削減、Web会議ブースの整備による業務効率化、部署間連携を高めるレイアウト変更、移動時間を減らす動線改善など、働き方や労働時間への影響を説明することが有効です。

また、補助金では「なぜ今実施する必要があるのか」「どのような効果をどのように測るのか」も重要です。改装前後で会議室利用率、出社率、残業時間、社員アンケートの満足度、移動時間、コミュニケーション頻度などを比較できるようにしておくと、計画の説得力が高まります。採択を目的にした表面的な申請ではなく、実際に働き方を良くするための計画として整理することが大切です。

よくある失敗と注意点

オフィス改装で補助金・助成金を活用する際によくある失敗は、制度の確認よりも先に工事を進めてしまうことです。改装は社内の都合やビル側のスケジュールに合わせて進行しがちですが、補助金・助成金は申請、交付決定、契約、実施、報告の順序が重要になります。交付決定前に発注や着工を行うと、対象経費として認められない可能性があるため注意が必要です。

次に多いのが、対象経費の認識違いです。オフィス改装に関係する費用であっても、すべてが対象になるわけではありません。什器や設備、工事費、システム導入費、専門家費用など、制度によって扱いが異なります。働き方改革推進支援助成金では、労務管理用ソフトウェアや機器、労働能率の増進に資する設備・機器等が対象取組に含まれる一方で、原則として乗用自動車、パソコン、タブレット、スマートフォンの導入・更新は対象外とされています。

さらに、申請後に計画内容が変わる場合も注意が必要です。工事範囲、金額、設備内容、スケジュールなどに変更が生じた場合、制度によっては変更申請や報告が必要になります。厚生労働省の働き方改革推進支援助成金でも、交付決定後に事業内容を変更する場合の変更申請書や、事業を中止・廃止する場合の承認申請書が用意されています。

補助金・助成金を活用したオフィス改装では、申請に詳しい担当者、施工会社、場合によっては社会保険労務士や行政書士などの専門家と連携しながら進めると安心です。特に、働き方改革推進支援助成金のように労務管理や就業規則が関係する制度では、空間づくりだけでなく制度設計や社内運用まで含めて検討する必要があります。申請のためだけに改装内容を考えるのではなく、補助金をきっかけに、より働きやすいオフィス環境を実現する視点を持ちましょう。

【自社事例紹介】補助金活用を見据えたオフィス改装支援の考え方

オフィス改装で補助金・助成金を検討する際は、制度の対象になるかどうかだけでなく、「改装によってどのような働き方の変化を実現するのか」を明確にすることが重要です。補助金・助成金の申請では、改装内容そのものよりも、その背景にある課題や期待される効果、制度趣旨との整合性が重視されます。

そのため、実際のオフィス改装事例を参考にしながら、課題整理やコンセプト設計、改装後の効果をどのように言語化するかを考えることが大切です。ここでは、ヴィスが支援したオフィス改装・環境整備の事例を紹介します。なお、以下は補助金・助成金の活用を示す事例ではありませんが、申請時に求められる「目的の明確化」や「職場環境改善の説明」を検討するうえで参考になるプロジェクトです。

JFEミネラル株式会社

慢性的な打合せスペース不足やデッドスペースの有効活用を目的として、本社改装に取り組んだ事例です。同社には、社員の声を収集しながら、従業員エクスペリエンスを高めたいという課題がありました。課題を克服するため、「Mineral Park」というコンセプトのもと、ゾーンアドレス運用やアーチ形のデスクレイアウト、オープンミーティング、リフレッシュ、集中エリアなど多様なスペースを設計しています。これにより、社員同士の交流を促しながら、働き方の多様化に対応できる環境を整備しました。また、WORK DESIGN PLATFORMを活用し、プロジェクト前後で満足度を数値化している点も特徴です。

オフィス改装に補助金・助成金を活用する場合も、このように現状課題を把握し、改装によって得たい効果を具体的に示すことが重要です。単なる内装変更ではなく、打合せスペース不足の解消、コミュニケーション促進、集中環境の整備といった目的を明確にすることで、制度趣旨との整合性を説明しやすくなります。

事例の詳細はこちら:JFEミネラル株式会社

JFE商事株式会社

JFE商事グループ大阪支社において、グループ全体の機能最大化を目的として、より一体化したオフィス環境の整備に取り組んだ事例です。同社には、グループ各社がワンフロアに集まっている一方で、各社ごとの間仕切りによりコミュニケーションが十分に取れないという課題がありました。課題を克服するため、WORK DESIGN PLATFORMによる分析データをもとに、座席数、上長席、会議室、キャビネットを最適化し、コミュニケーションスペースを多く確保しています。さらに、グループ会社間の間仕切りを撤廃し、全体を回遊できる設計とすることで、会社や個人の垣根を超えた偶発的な出会いやつながりを生み出しました。

補助金・助成金の申請では、改装後にどのような業務改善や生産性向上が期待できるかを説明する必要があります。この事例のように、既存スペースの使われ方を分析し、会議室や座席、収納、コミュニケーションエリアを再配置することは、働き方改革や職場環境改善の文脈で説明しやすい取り組みです。

事例の詳細はこちら:JFE商事株式会社

株式会社朝日新聞社

来客対応のメインエントランスとして、空きスペースを活用した会議室や待合スペースを整備した事例です。同社には、安心して円滑なコミュニケーションがとれるように、遮音性を考慮したICT設備を備えた環境を実現したいという要望がありました。課題を克服するため、既存の間仕切り位置を活かしながら、リフレッシュスペース内の家具を回遊しやすいように配置し、ゆとりのある会議室や快適な待合スペースを設計しています。また、朝日新聞社の歴史や文化を感じられる素材やアートを空間に取り入れ、来訪者に企業らしさを伝える場としても機能するオフィスに仕上げています。

このように、空きスペースの活用や会議環境の整備、ICT設備の導入、遮音性への配慮などは、オフィス改装の目的を具体化するうえで参考になります。補助金・助成金を検討する際も、単に「空いている場所をきれいにする」のではなく、会議効率の向上、来客対応の質の向上、社内外コミュニケーションの円滑化といった効果まで整理しておくことが大切です。

事例の詳細はこちら:株式会社朝日新聞社

まとめ

オフィス改装に補助金・助成金を活用できるかどうかは、制度の対象や要件、申請時期、改装内容によって異なります。特に、働き方改革推進支援助成金のように、生産性向上や労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進などを目的とした制度では、改装そのものではなく、改装によってどのような職場環境改善や業務効率化を実現するのかが重要になります。

補助金・助成金の活用を検討する際は、まず自社の課題を整理し、制度の趣旨と合致する改装計画を立てることが大切です。あわせて、交付決定前の契約・着工が対象外となる場合があるため、申請から採択、工事実施、実績報告までの流れを早い段階で確認しておきましょう。

また、地方自治体の補助金は地域や年度によって内容が変わるため、国の制度だけでなく、自社所在地の自治体やミラサポplus、Jグランツなども確認しながら情報収集を進めることが有効です。

オフィス改装は、単なるコストではなく、社員の働きやすさや生産性、企業ブランディングを高めるための投資です。補助金・助成金の活用も視野に入れながら、自社に合った改装計画を検討してみましょう。

株式会社ヴィスは、『はたらく人々を幸せに。』というパーパスのもと、働く場を設計する「ワークプレイスデザイン」と、そこで生まれる体験を設計する「エクスペリエンスデザイン」という二つのアプローチを通して『ワークデザイン』を実現し、人と組織のエンゲージメントを高めながら、企業価値の持続的な向上に貢献します。
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