「オフィス」に関連のあるSDGs目標
まずは、持続可能な社会の実現のために策定されたSDGsの目標17のうち、企業やオフィスに関連が深い7つの目標について紹介します。
参考:「SDGグローバル指標」(外務省)
目標5 ジェンダー平等を実現しよう
目標5におけるジェンダー平等とは、男女差別をなくすことです。女性や女児に対する暴力や傷害をなくし、経済や社会で能力を発揮し活躍できるような社会を実現することで、経済や社会の成長が期待できます。
目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
目標7は、すべての人が安価で安全なエネルギーを利用できるようにすることです。エネルギーの効率を上げるほか、限りある資源を維持するために再生エネルギーの利用割合を高めることも含まれます。
目標8 働きがいも 経済成長も
目標8は、経済成長を進め、誰もが人間らしく働ける社会を作ることです。具体的には、GDPの年7%成長や技術の向上などによる生産性の向上、働く人の権利を守ることなどが挙げられています。
目標11 住み続けられるまちづくりを
目標11は、持続可能なまちづくりを目指すものです。すべての人が安全に暮らせるための環境の保全や住居の確保、自然災害に対する強靭な環境の実現などを掲げています。
目標13 気候変動に具体的な対策を
目標13は、気候変動に関する対策です。気象災害への対応力や気候変動とその影響に対して緊急対策を取ることを求めています。
目標14 海の豊かさを守ろう
目標14は、海の資源に関する内容です。近年問題となっている海洋汚染を防止して海の生態系を守ることや漁獲量管理などが挙げられています。
目標15 陸の豊かさも守ろう
目標15は、陸上の豊かな自然を守り多様な生態系を維持していくことです。森林の減少を食い止めたり、砂漠化した土地を回復させたりして、生物の絶滅を防ぐことを目標としています。
オフィスでできるSDGs達成に向けた取り組み
オフィスに関係するSDGs目標について、達成のためにできる取り組み例を紹介します。
目標5:評価体制を見直す/育児休暇取得を促進する
ジェンダー平等のために企業が行えることとして挙げられるのが、評価体制の見直しです。
性別にかかわらず能力で評価する制度を整えることで、女性であることによる昇進や昇給の差別をなくすことができます。制度の改革と同時に、社員に対するジェンダー教育を行うことで、意識改革が図れるでしょう。
また、育児休暇取得の促進も有効です。出産や子育てのためにキャリアを犠牲にせざるを得ない女性は少なくありません。育児休暇取得と職場復帰までを企業が積極的に支援することで、女性が安心してキャリアを継続できます。
目標7:省エネ対策をする/カーボン・オフセットに取り組む
エネルギーの持続利用のためには、省エネ対策やカーボン・オフセットへの取り組みが必要です。カーボン・オフセットとは、地球温暖化の要因となるCO2をはじめとした温室効果ガスの削減を可能な限り行い、削減できない分については排出量に応じて削減活動に投資して埋め合わせを行う取り組みです。
電気については、以下の取り組みが挙げられます。
・省エネモードなどを活用して不要な電気を使わない
・空調の温度設定を適切な範囲にする
・電力消費の少ないLED照明に切り替える
ただし、SDGsの達成を目指すには、資金を投入すれば良いという安易な姿勢になるのは避けましょう。前提として、削減努力を怠らないことが重要です。
目標8:オフィス環境を整備する
働きがいを持って働き、生産性を向上させるためには、社員が働きやすいようにオフィス環境を整えることが効果的です。
具体的には、以下のような施策があります。
・緑化率を高め空気の浄化やストレス緩和効果が期待できるオフィスグリーンの設置
・社員が業務から離れ、休憩やリフレッシュできるオフィスカフェの設置
・仕事内容に応じてスペースを選べるオフィスレイアウト
株式会社コンフォートジャパンのオフィスでは、リラックスして働けるようにオフィスグリーンを配置し、社員個人が働きやすい環境を選択できるように、多目的なワークスペースを設置しました。また、環境に配慮し、リサイクル循環可能なサステナブルな素材を利用していることも特徴です。
自社が取り組むべきオフィス環境の改善ポイントについては、以下の記事をご覧ください。
SDGsというと自然環境に対する配慮について取り上げられることが多いですが、社員の心身についても配慮し、安心して働ける環境を整えることも重要です。
ヴィスでは、定期的にオンラインセミナーを行っています。オフィスでできるSDGsをテーマにしたセミナーのアーカイブ動画をご覧になれますので、気になる方はお申し込みください。
目標11:防災対策を強化する
災害に強く持続可能なまちづくりのためには、災害が起きたときのリスクを軽減させる取り組みや備えが必要です。
社内の防災マニュアルの見直しや、万が一の際の体制の整備などを行いましょう。防災訓練を通じて、社員の意識を高めておくことも大切です。
また、災害時に必要になる飲料や食料なども確保しておきましょう。
目標13:再生可能エネルギーに換える
CO2などの温室効果ガスは、地球の気候変動にも影響を及ぼします。CO2を排出する火力発電ではなく、太陽光や風力・水力、バイオマス燃料などの再生可能エネルギーを活用した電力会社を利用することは、気候変動対策に有効です。
再生可能エネルギーを100%使用する再エネ100%プランは、新電力系会社のほかさまざまな電力会社が提供しています。現在利用中の電力会社にも用意されていることもあるため、確認してみるのがおすすめです。
目標14:環境に配慮した商品を利用する
海の環境を守るためには、環境汚染の原因となるプラスチック廃棄物の削減が有効です。
プラスチック廃棄物は適切に処分されれば問題ありませんが、ポイ捨てや災害などによって流出することもあります。そのため、SDGs達成にはそもそもプラスチック廃棄物を排出しないことが重要です。
企業としては、以下のような取り組みで啓発活動を行うと良いでしょう。
・エコバックやマイ箸の推奨
・オフィス内でのプラコップやストローの使用を控える
上記の活動により、自社で排出されるプラスチック廃棄物を削減でき、SDGsの達成に貢献することができます。
目標15:ペーパーレス化(電子化)する
オフィス内のペーパーレス化は、紙の原料となる森林の保護につながります。さらには、印刷や廃棄、郵送などにかかるエネルギーやコストも削減可能です。
さきほど紹介した陸の資源保護に効果的なペーパーレス化に加え、クラウド化による生産性の向上など、さまざまな目標を達成できます。SDGsへの取り組みの最初の一歩としてもおすすめです。
「オフィス」関連の取り組みでSDGs達成を目指す際のポイント
オフィスでSDGsを進めていくには、社員の協力および企業に合った取り組みを行うことが重要です。自社に合っているうえ、全社員が実施できる取り組みであれば、社内に浸透しやすくなります。また、将来的に全社を挙げた取り組みを実施する際の意識付けとしても有効です。
現場社員の意見を聞く
SDGsへの取り組みには、社員全体に協力を仰ぐ必要があります。社員一人ひとりが当事者意識を持てるよう、現場社員の意見を聞きながらアイデアを吸い上げたり、担当者やチームを決めたりすると進めやすいでしょう。
企業の特色に合わせた目標を設定する
SDGsのそれぞれの目標と取り組みは、現実にはイメージしづらいものも少なくありません。取り組みが形式的なものにならないように、それぞれの企業のビジョンやミッション、テーマなどに沿った目標や目的を設定しましょう。
自社が行う取り組みや進捗状況について、社内で共有することも重要です。
まとめ
SDGsへの取り組みは企業の社会的責任を果たすだけでなく、業務効率の向上や社員が働きやすい環境の実現にも有効です。今回ご紹介した取り組み例を参考に、自社に合った施策を選択しましょう。
また、実施には社員の協力が不可欠なものもあるため、意義や問題について社内でヒアリングを行うとスムーズに進められます。