目次
コワーキングとは
ここではコワーキングの意味や、その歴史について解説します。
コワーキングとは「Co(共同で)」「Working(仕事をする)」こと
コワーキングは「Co(共同で)」と「Working(仕事をする)」を組み合わせた造語です。コワーキングスペースとは、さまざまな年齢や職種、所属も違う人たちが集まり、共同で仕事をするオープンスペースを指します。
多くのコワーキングスペースでは、決められた料金を支払い、一定期間場所を借りる月額契約が設けられています。月額契約のほか、時間単位や日単位で場所を借りられるドロップインと呼ばれる利用形態を設けているところもあります。
つまり、会員でなくても料金を支払えば誰でも利用できるので、作業する場所が欲しいときや他の利用者と情報交換をしたいときに役立つスペースです。
会員になると、24時間利用できたり専用ロッカーが与えられたりと、利用者ならではの特典が得られるのが嬉しいポイントです。
コロナ禍によりコワーキングスペースが増えている
コワーキングは、2006年ごろにアメリカのシリコンバレーで始まったとされています。日本では2010年に東京や神戸に誕生したのが始まりです。
近年、コロナ禍によりテレワークが普及し、全国各地にコワーキングスペースが急速に増えています。社内にコワーキングスペースを設ける企業も増えており、その認知度も高まってきました。
なかには、テレワーク中心の社員が集中して作業したいときに、コワーキングスペースを利用できるよう有効活用している企業もあります。
コワーキングスペースとシェアオフィス、レンタルオフィスとの違い
コワーキングスペースと混同されやすいものとして、シェアオフィスやレンタルオフィスがあります。いずれも「フレキシブルオフィス」と呼ばれる類型のひとつです。
フレキシブルオフィスとは、一般的な賃貸オフィスよりも、柔軟な契約形態ができるオフィスのことを指します。働き方の多様化にともない、総じて需要が高まりつつあります。
フレキシブルオフィスを利用するメリットについては下記の記事も合わせてご参照ください。
「コスト削減にもつながる!フレキシブルオフィスを利用するメリットを紹介」
シェアオフィスはオフィス機能が重視される
シェアオフィスは作業空間の共有を目的としているため、オフィスとしての機能が重視される空間です。そのため、集中して作業ができるようテーブル席を壁で区切ったり、個室を設けたりしています。
同じ空間にいるものの複数の企業がそれぞれ独立して仕事をしているため、オフィス同士の関わりやコミュニケーションはほとんどありません。
一方コワーキングスペースは、その空間でのコミュニティや協業を目的としたスペースです。そのため、どんな人とでも偶発的なコミュニケーションが起こるよう、フリーアドレスを採用しているところが多くあります。
レンタルオフィスは基本的に個室
レンタルオフィスは集中して作業できる場として提供されているため、個室スタイルが一般的です。お互いのコミュニケーションや関わりを前提としていません。共有部分は、会議室をはじめ一部の設備に限られています。
そのほか、コワーキングスペースは法人登記用の住所として利用できないケースがありますが、レンタルオフィスは基本的に法人登記が可能です。法人登記の必要性によって、どのタイプのオフィスが適切かを選ぶのもおすすめです。
コワーキングスペースのメリット
ここではコワーキングスペースの利用により得られるメリットを紹介します。
低コストでオフィスを利用できる
コワーキングスペースの利用は低コストで済むことが多々あります。コワーキングスペースの利用料金の相場は、ドロップイン(ビジター利用)なら1時間300~800円、1日1,500円程度で、月額プランなら15,000円~20,000円程度となっています。
賃貸オフィスの契約ではインフラ整備やオフィス家具で数十万の初期投資が必要となりますが、それに比べると安価で利用可能です。
組織外の人と交流ができる
コワーキングスペースは、自社と異なる業種の人や、さまざまなバックグラウンドをもつ人と関わることができます。
普段自分の周りにいない人たちと交流することで、新しい情報や知見を得たり、アイデアが生まれたりするのが大きなメリットです。
また、ビジネスパートナーとの出会いやビジネスチャンスの創出にもつながります。そのため、これから事業を拡大したい方や、新たなビジネスを模索している方に適しています。
作業内容に合わせて利用できる
コワーキングスペースには、オープンスペースだけでなく個室や専用の会議室を利用できるところもあります。個室なら雑音や情報漏洩を気にすることなく作業に集中でき、オンラインミーティングをはじめ打ち合わせがしたいときも利用可能です。
社内にオープンスペースを設けると社員が自分の働き方や予定にあわせて利用できるため、多様な働き方を支援することにもつながります。働き方改革の一環として導入するのもおすすめです。
息抜きの場として利用できる
コワーキングスペースの中には、フリードリンクやカフェスペースを設けている施設も多くあります。仕事だけではなく、息抜きしたいときにも利用可能です。
仕事にも息抜きにも使える空間があると、メリハリをつけやすくなります。
コワーキングスペースのデメリット
コワーキングスペースの利用には、メリットだけでなくデメリットもあります。
周囲の会話や音が気になることも
コワーキングスペースは、多くの人が利用するため作業中に周囲の会話や音が気になることもあります。適度な雑音が混ざる方が集中できるという人にはうってつけですが、静かな場所で作業したい人には向いていません。
静かに集中して作業できる場所、コミュニケーションを取れる場所、利用者の多様なニーズに合わせたレイアウトになっているコワーキングスペースを選ぶことが大切です。さまざまなタイプのコワーキングスペースがあるので、ご自身の作業環境に合うか比較検討することをおすすめします。
利用者が多いと席を確保できない
コワーキングスペースは基本的にフリーアドレスです。そのため混雑状況によっては席を確保できないことも。必要以上に早めに行く、ほかのコワーキングスペースを探すなどの手間が生じることもあるため、事前に利用者数や席を確保しやすい時間帯を確認しておきましょう。
プライバシーが確保しにくい
コワーキングスペースはオープンな場所であるため、情報の管理には細心の注意を払う必要があります。離席時の盗難リスクや、企業秘密が漏洩するリスクがあることはデメリットのひとつ。利用する際は情報の取り扱いに十分注意し、リスクヘッジの方法をあらかじめ考えておくのが大切です。
【オフィス事例】コワーキングスペースのデザイン・機能
ここではオフィスに設けられたコワーキングスペースの事例について紹介します。
【株式会社三栄】倉庫のフロアをリニューアル
三栄社が倉庫として使用していたフロアを大幅に改装してリニューアルした例です。コワーキングスペースにはオープンスペースのほかに、レンタルオフィスやキッチンスタジオ、会議室などバラエティに富んだスペースが用意されています。
木目調の床やタイル調の壁、クロスの壁などでメリハリをつけ、遊び心のあるデザインに。グリーンを絶妙に配置して、リラックスしながら働ける空間を実現しました。倉庫の床をそのまま活かした廊下もコワーキングスペースの雰囲気づくりに一役買っています。
【大和ハウス工業株式会社】非日常を体感できる『Villa』
大和ハウス工業社が手がけたVillaはワーケーションをイメージしたオフィスラウンジ・シェアオフィスです。ビルの11階建てのうち1階は入居者が共用で利用できるオフィスラウンジとなっており、天井が高く開放的な空間を活用して、スキップフロアを設けています。コワーキングスペースとして、その場所でしか体験できない価値を味わえるよう、多様な環境が作られているのが特長です。
また、オープンスペース以外にも契約者専用のエリアもあり、1人用の半個室や1人〜8名用の完全個室など人数や規模に応じて選択可能です。
【渋谷東プロパティ合同会社】人が集まるリフレッシュスペースに
こちらはコワーキングスペースとしては少し異なりますが、渋谷東プロパティ社のフレキシブルオフィスの事例です。コワーキングスペースの機能として、ワークスペースにはユーザーが自由にレイアウトできる余白が残されています。これにより、多様化する働き方に対応可能です。リフレッシュスペースには、多くの人が集まりやすいようアート風クロスとカウンターが設置されているのが特徴です。
明るく開放的に使えるよう設計されたナチュラルな空間で、多くの人が生き生きと働くことができます。
【The Place】知的創造性が高まる場所
The Placeは、働き方をデザインして発信することを目的とし、株式会社ヴィスの設計で建てられたオフィスビルです。コンセプトは「TSUMUGI」。企業や人、働き方が交わり、新しい創造的な価値が生まれるよう、洗練された高級感のあるデザインとなっています。
共用フロアは1階のコワーキングエリアに加え、植栽があしらわれたルーフトップやオープンスペース、集中ブースなども利用可能。働き方やその日の業務に合わせて作業環境を選ぶことができます。
まとめ
働き方の多様化とともに普及し始めた「コワーキング」という働き方。時代の変化に合わせて、さまざまなコワーキングスペースが増えてきています。ご自身の働き方や作業に求める環境を明確化し、ニーズに合うコワーキングスペースを選んでみてはいかがでしょうか。