「オフィス=新しい価値創造の場」社員の働きやすさを追求した一大オフィス改革プロジェクト

2018年から2019年にかけて、東京・五反田にあるオフィスの増床・改装プロジェクトをお手伝いさせて頂いた株式会社シー・エス・エス様。生まれ変わったオフィスにお邪魔し、オフィスについての考えを代表取締役社長佐川様、社員の皆様に伺いました。

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モノづくりの時代から新しい価値を創造する時代に。それに合わせたオフィスをつくりたかった。

Y.K(インタビュアー):
今回、オフィスの増床と改装をされた際に、デザインを取り入れようと思ったきっかけは何でしょうか?

佐川社長:
グーグルのオフィスの写真を見たのがきっかけです。元々ビジネスモデルが先進的で面白いなと感じていましたし、オフィスの写真を見ると素晴らしい環境で社員の方々が働いていて、とても衝撃的でした。

グーグルのような会社は、利益が上がっているからオフィスに投資できるという理由もあると思いますが、それ以上に従業員に対して働きやすい環境を提供し、その中でクリエイティブなアイデアが生まれることを狙っているのだと思います。
環境が良いからいい仕事ができるのだと感じたのがきっかけです。

Y.K:
以前のオフィスはまったくデザインを取り入れていなかったのでしょうか?

佐川社長:
そうですね。本当に昔の会社って感じで(笑) グレーの机やロッカー、壁も無機質で、無駄なものがまったくない、いわゆる昔からある会社のイメージです。

かつては、社長が会社の方針を社員に伝えて、とにかく無駄な考えを排除してひたすら働いて、色々なものが不足している中でいかに効率的に新しいものを生み出せるかという時代だったので、そのようなオフィスで十分だったと思います。

しかし現在は、日本が豊かになって足りないものがなくなり、新しい価値を生み出す必要があります。そのような時代に、旧来のオフィスではクリエイティブな仕事ができないのではないかと感じて、オフィスを変えようと決心しました。

つくって終わりではなく、運営方法を考えることも重要。

Y.K:
社員の皆様は新しいオフィスで実際に働いてみてどうですか?

宮本様:
私は産休明けで新しいオフィスに変わってから復帰したのですが、産休中にSNSで写真を見て、オフィス変わったなぁと思っていました。

Y.K:
実際に出社してみてどうでしたか?コミュニケーションの取りやすさなどで、何か感じましたか?

宮本様:
最初はエレベーターが開いたときに「おぉー!」と驚きましたね。仕事をしていても、ちょっとした打ち合わせがすぐにできるスペースがあるので、そこでいろんな人が打合せをしているのはよく見ます。

佐川社長:
以前は仕事をするデスクの真横に打ち合わせスペースがあったので、場所が近すぎてうるさいという声がありました。会議室も2つしかなくて、会議が自由にできないという課題がありました。

以前まで固定席で、PCもデスクトップだったのですが、今回打ち合わせスペースを増やし、フリーアドレスに変更して同時にノートパソコンに変更しました。集中スペースやオープンなMTGスペース、チームでの作業時など、PCの持ち運びしやすさを改善したこともよかったと思います。
会議でも、以前は毎回資料を紙に印刷していましたが、パソコンをモニターにつないで映すのに切り替えて、生産性や効率は上がりました。

Y.K:
大きく変わりましたね。フリーアドレスにしたことによって戸惑いや抵抗などはありませんでしたか?

佐川社長:
いろんな席に座る社員もいるのですが、やはり以前の名残で固定化してしまっている人はいますね。なので、オフィスをつくってフリーアドレスにして終わりではなく、新しい使い方を伝えていく必要があると思います。試行錯誤しながらも伝えていくことを心掛けています。

内布様:
具体的には、「オフィス改善プロジェクト」として、月一回ミーティングを行っています。オフィスでの働き方について、問題点などを挙げて話し合いながら試行錯誤を繰り返しています。

今の問題は、まさに開発チームの固定席化をどうするかですね。改善のための資料を集めたり、まずはグループアドレスから始めてみたり、1席ずつずれたりなど試験しています。
そのおかげか、最近は集中スペースで働く人も出てきてようやく機能し始めたと感じています。

Y.K:
社内に改善プロジェクトがあるのは良いですね。

内布様:
社内で主要なメンバーがプロジェクトに参加しているので、話し合いのフィードバックを共有しています。

例えば、同じ室内でも暑い寒いの温度のムラがあることで、まずは設備に問題がないかをヴィスさんと調査して、裏付けを取って、それで解決できなければサーキュレーターを導入してみようなど、より良い空間になるように進めています。

佐川社長:
弊社は44年目の会社なので昔からの働き方が染みついてしまっているんですよね。前からいる社員にとっては、少し戸惑ったところも正直あったのではないかと思います。

他社さんのオフィスを見ていると集中スペースの方が人気というのも聞きますので、用途や気分に応じて、使い分けてくれるといいなと思います。

シー・エス・エスから世界へ発信していけるような場所に

Y.K:
シー・エス・エスさんにとって「オフィス」はどのような位置づけですか?

佐川社長:
私たちは、オフィスが「世の中の中心的な存在」になったらいいなと思っています。オフィスの中でいろいろなアイデアが出て、シー・エス・エスから世界に発信していけるような場所になればいいと思います。そのためには、働きやすい環境へアップデートして、様々な発想が生み出されるように変化していく必要があると。

6階は改装して大きな会議室ができたので(※)セミナーやイベントなどを開始したり、ラウンジのスペースでケータリングを頼んでパーティーをしたりもしました。参加された方からの反響も良かったです。

(※)……3つの会議室をスライディングウォールで仕切り、セミナーなどの際は大人数を収容できる部屋に設計した。

Y.K:
今まではイベントなどしていなかったのでしょうか?

佐川社長:
まず社内にパーティーができる空間もありませんでしたし、お客様を呼びたくなるデザインでもなかったので、やったことはなかったです。大きい会議室になったことでクライアント先に常駐しているメンバーが帰ってきて状況報告や顔合わせをする場にもなり、一体感も出せるようになりましたね。

Y.K:
オフィスが変化したことで社内の雰囲気も変わったということですよね。

佐川社長:
そうですね。これからは6階のラウンジスペースにビールを置こうかなとも考えています。ルールを作る必要はありますが(笑) あとはキッチンなど料理ができる場があると、お客様にもふるまえて良いですよね。次はキッチン作ろうかな(笑)

仕組みだけでなく、会社全体で変化することで浸透していく。

Y.K:
働く場づくりで注意していることはありますか?

佐川社長:
お子さんがいる方にはテレワークを推奨していますが、PCもノートパソコンに変えて、オフィスもフリーアドレスに変えて、外とシームレスに仕事ができる環境を整えました。在宅勤務の仕組みだけ作ってもダメで、会社全体で変えないと浸透していかないと思います。

宮本様:
私は子供がいるので、例えば午前半休で保育参観に参加して、午後は在宅などでテレワークを利用して、ということができるので、本当にありがたい仕組みですね。短時間出社して仕事がほとんどできないということもなく、時間を有効に使えます。

Y.K:
採用などにもかかわってくるような気がします。寺本様は新卒1年目ということですが、今回のオフィスの印象はいかがでしたか?

寺本様:
採用面接時はオフィスが変わる前で、入社したらオフィスがかなり変わっていてとても開けた印象を受けました。普段はファミレス席でランチを食べているのですが、管理部の方や他部署のあまり会わない方とも話す機会があって、顔を合わせることのハードルが低いように感じます。

Y.K:
コミュニケーションが取りやすいと、新入社員の方も話しやすくなっていいですね。溶け込みやすさも変わってきそうです。

寺本様:
そうですね、フリーアドレスなので、わからないことがあってもいろんな先輩のところに気軽に質問に行きやすいので良いなと思います。

お客様ファーストから従業員ファーストに。予算だけを考えて中途半端にやらないで良かった。

Y.K:
今回、増床・改装の工事やプロジェクト進行の中で大変だったことはありましたか?

内布様:
あまりなかったですね。プロジェクト進行はヴィスの担当R.Mさんがしっかりやってくれていたので。
ただ、社長に確認する時間取りが大変でした。床や壁の材料や家具などすべてを確認していました。2時間くらい時間を取ってヴィスさんのオフィスで打ち合わせしたときもありましたね。

佐川社長:
結構こだわりが強いので、一個一個確認しました。会議室も部屋を一つ一つ雰囲気を変えようと僕が言い出したので大変だったと思います。

R.M(担当プロジェクトマネージャー):
決めるマテリアルの数も多かったですし、家具も一新したので、それらを確認していただくのが大変でしたね。

佐川社長:
増床した2階は急に借りることになったのであまり時間がなかったというのもありますね。急いで決める必要があるところもありました。ただ、ヴィスさんがプロとして良い提案をしてくれるので、その選択肢の中から選べばよかったのはとても助かりました。

内布様:
あとは、予算内に収める調整が大変でした。最初の予算枠があって、管理本部長からは「いろいろ詰めていくと必ず予算オーバーになるから、そこは意識するように」と念を押されました。ヴィスさんから減額案を頂いて最後は納まりましたが、ここはやめようとか、ここは自分たちでやろうとか、そういった調整は大変でした。

Y.K:
最初からバジェットは組まれていたのでしょうか?

佐川社長:
正直、僕が想定していた倍かかりました。
ただ、予算を抑えて以前と変わりばえのないオフィスを中途半端につくるのでは、やる意味がないと思いました。変化するのであればみんなの満足するようなオフィスをつくりたかったですし、妥協せずにつくってよかったと今は思っています。

R.M:
簡単に「予算上げてください」とは言えなかったので、そう言っていただけて嬉しいです。

佐川社長:
今の時代は、「お客様ファースト」から「従業員ファースト」になりつつあると思います。労働人口が減って、従業員が確保できなければ会社の売り上げも落ちるので、社員の満足度を上げるために良い環境をつくって、そこにお金をかけるようにしていくべきだと思います。
そんなことよりもっと給料あげろ!とか思われそうですが(笑) でもこのオフィスのように会社のレベルを全体で底上げしないと、持続的な成長はないと思います。

時代も仕事の内容も変わってきている状況。オフィスもそれに応じて変えなければならない。

Y.K:
最後に、オフィス環境を変えることに躊躇されている会社さんへお伝えいただけることはありますか?

佐川社長:
これからの時代は、新しい価値を次々に創造していかなければなりません。それとは別軸で、社員の幸せも第一に考えなくてはいけない時代にもなってきていると思います。以前とは時代も仕事の内容も変わってきているので、オフィスもそれに応じて変える必要があります。以前と変わらないままでいると、仕事も考え方も変わっていきません。

自社の例を紹介させてください。私も実際に、オフィスを改装してから気付いたことがあります。
多くのお客様に来社いただくようになって、「会議室を貸してもらえませんか?」と聞かれることが増えてきました。

会議室もたくさんつくったので空いている時間も多く、それを活かすために、実は新しい事業として会議室を貸したい会社と借りたい会社をつなぐプラットフォームをつくる準備をしています。

 

 
「働き方改革」を進めていくと、会社ごとに無駄や不足が必ず出てきてしまうと思います。このサービスで会社同士をつなげてあげることで、世の中全体で働き方改革ができると思いますし、会社同士のコミュニケーションも深まると思います。

やってみないとわからないことはやはりありますが、想像だけだと一歩先しか見えなかったものが、行動に起こすとどんどん先が見えるようになります。時代に合わせて、まずは行動をしてみるというのが大事だと思います。

さいごに

増床のタイミングでオフィスデザインを導入し、「働き方改革」を図ったシー・エス・エス様。

従来の働き方をガラリと変えることは、環境をつくるだけでなく実際に使う社員の方への働きかけや改善など、運用方法も重要なポイントであるというのを伺うことができました。環境を変えたことで新しい課題や需要に気付き、すぐに行動を起こして新しい事業にまでつなげている点も印象的でした。

来社するお客様やクライアントだけでなく従業員の満足度も重要になってきた昨今において、満足度の追及に妥協をしてはいけないという佐川社長の強い想いを感じることができました。

シー・エス・エスの皆様、誠にありがとうございました。

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