人材の定着率を高める4つの施策を紹介!企業に必要な考え方とは

少子高齢化による人材不足が深刻化する中、定着率に課題を抱えている企業もあるでしょう。人材の定着率を高めるには、社内の環境や体制における問題点を解決することが必要です。今回は人材が定着しない理由や企業に必要な社員エンゲージメントの考え方、定着率の向上に有効な4つの施策を紹介します。

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人材が定着しない原因

人材の定着率を高めるには、まず定着しない原因を把握することが必要です。原因には大きく以下の5つがあります。

企業理念が浸透していない

企業理念や組織目標が曖昧な場合、社員は仕事に対して「何が達成できるのか」「社会にどんな影響を与えられるのか」が分かりにくくなります。目的意識が薄れ、業務に意味を見出せなくなってしまうのです。その結果、モチベーションを維持しにくくなり、離職へとつながることがあります。

人間関係が悪い

人間関係における課題は社員のストレスにつながりやすく、定着を妨げる根本的な原因になると考えられます。

また、人間関係が悪いとコミュニケーションエラーが起こりやすくなります。円滑な情報共有ができないことで業務にも支障が生じ、さらにそれが人間関係の溝を深くするという悪循環に陥ってしまうでしょう。

人事評価制度が整っていない

人事評価とは、社員の成果や貢献度を総合的に評価する制度です。基本的に、評価内容は報酬や待遇に反映するため、社員が成長の実感を得たり、モチベーションが高まったりする要素のひとつです。

ただし、人事評価が適切に行われていない場合、社員が不満を抱きやすく、離職につながってしまいます。たとえば、人事評価基準が曖昧だったり、公表されていなかったりすると、社員は人事評価に納得感を得にくくなります。評価者からのコメントがなかったり、マイナス面の指摘に終始したりと、フィードバックが不適切な場合も、社員の意欲を損なう要因になる場合があります。

人事評価制度が不十分で、「意見を聞いてもらえない」「正当に評価されていない」と社員が感じると、仕事にやりがいを感じられなくなることもあります。

職場環境・労働条件に問題がある

会社の労働環境が社員にとって適切でなければ人材の定着は困難です。例えば、長時間労働の常態化やサービス残業は、プライベートが犠牲になるばかりか心身の健康を損ねてしまいます。

また、悩みを相談できる窓口がないことや職場の雰囲気が悪いことも問題解決の糸口がつかめず、離職を考えるきっかけになるでしょう。

労働環境の悪さは多くの場合、企業風土として根付いてしまっています。そのため社員が自力で改善することは難しく、離職によって解決を図るほかない状況といえます。

採用のミスマッチが発生している

採用時点で応募者と会社のニーズが合っていないことも人材が定着しない原因です。

特に、採用基準が曖昧になっていると、ミスマッチが起こりやすくなります。現状に応じて求人広告や求人票の見直しを行っていない場合も同様です。

また、応募者に会社の理念や方針、社風などが十分に伝わっていないと、入社後のギャップが大きくなり早期離職につながることがあります。

人材の定着率を高めるポイント

幸福度の高い社員は、定着率が高いことが明らかになっています。人材の定着率を高めるには、社員の幸福度に着目することが重要です。

幸福(ウェルビーイング)とは、世界保健機関(WHO)憲章の前文では以下のように定義されています。

「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」

出典:「世界保健機関(WHO)憲章とは」(公益社団法人 日本WHO協会)

社員の幸福度を高めるうえで知っておきたいのが心理的安全性とエンゲージメントです。それぞれ詳しく解説します。

社員の心理的安全性を重視する

社員の幸福度を高めるには、社員の心理的安全性を向上させることが大切です。心理的安全性とは、社員が自由に発言・質問でき、安心して積極的に行動できる環境を意味します。

心理的安全性が確保されている環境では、意見が尊重されていると感じやすくモチベーションが高まります。組織に貢献している実感や責任感が生まれ、社員が自発的に挑戦しやすくなることもメリットです。

社員エンゲージメントを向上させる

社員エンゲージメントが向上すると、会社への帰属意識が高まり定着率の改善を見込めます。社員エンゲージメントとは会社の考え方や価値観などに共感し、自発的に会社に貢献したいと思う度合いのことです。

実は、社員エンゲージメントと離職率とは相関関係があることが、アメリカのコンサルティング会社CEBをはじめ、あらゆる研究機関から報告されています。

出典:「Driving Performance and Retention Through Employee Engagement」(CEB)

つまり、社員の幸福を実現して定着率を向上させるためには、社員の心理的安全性やエンゲージメントを第一に考える必要があるのです。

ただし、社員の心理的安全性やエンゲージメントは定性的な要素です。面談を実施しても可視化することは難しいでしょう。

社員エンゲージメントや社員の心身の健康状況の可視化には、ココエルをご活用いただけます。ココエルは、社員に対するサーベイの回答から現状の把握や課題特定を行えるツールです。社員のメンタル状態やエンゲージメントを数値で把握できるため、社員が幸せに働ける労働環境を作るためのヒントを得られるでしょう。

課題解決に向けたフィードバックコンサルティングサービスもご用意しており、定着率改善のための具体的な施策へとつなげることができます。

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人材の定着率を改善する施策

最後に人材の定着率を改善する施策を4つ紹介します。

定着率を改善する施策はリテンション施策とも呼ばれ、多くの企業で重要視されています。現在の組織課題や状況に応じて適切なアプローチを考えましょう。

インナーブランディングを強化する

帰属意識の低下や早期離職が課題となっている場合は、インナーブランディングを強化しましょう。インナーブランディングとは企業が自社の社員に向けて行うブランディング活動です。

社員が企業理念を正しく理解して共感し、企業の一員であることに愛着や誇りを持てるようになれば定着率向上につながります。社員が社内外に会社の魅力を発信することで、求職者に正しく自社の価値観が伝われば、採用のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。

具体的な施策には、社員の行動指針となるクレドの設定、価値観共有のための社内向けサイトやブランドブックの作成などが挙げられます。

オフィスデザインに工夫を凝らすこともインナーブランディングのひとつです。例えば、オフィスの壁や床にコーポレートカラーを使用したり、社員の目につきやすい場所にブランドメッセージを記載したりするなどのアイデアも有効です。

オフィスは社員が多くの時間を過ごす場所です。自社らしさを働く場所にデザインすることで価値観の共有を進めることも可能です。

インナーブランディングの施策事例は、以下の記事でも紹介しています。

インナーブランディングとは?実現する方法と企業の成功事例3選

コミュニケーションを促進する

社員のモチベーション低下やメンタル面での課題が見られる場合は、社員間のコミュニケーションを活性化させることが大切です。

メンター制度の導入や1on1ミーティングを定期的に実施すれば、社員が業務の相談をしやすくなるでしょう。適切なフィードバックや目標設定により、モチベーションの維持にもつながります。

社内行事やサークル活動、ランチ会などの推進なども有効です。リラックスした状態でコミュニケーションが取れるため、より打ち解けやすくなります。

また、社内で自然なコミュニケーションを創出するにはオフィスの動線設計を工夫することも重要です。

社内コミュニケーションを活性化するためのアイデアについては、以下の記事でも紹介しています。

社内コミュニケーションを活性化するオフィス改善のポイントとは?

ワークライフバランスを向上させる

仕事内容に満足していてもプライベートの幸福度が低ければ社員の離職につながります。定着率を高めるには、社員のワークライフバランスを向上させることが重要です。

残業や休日勤務を減らすだけでなく、休暇制度や福利厚生の充実、フレックスタイムやリモートワークの導入を検討しましょう。社員一人ひとりが理想の働き方を実現できる環境を整えることが大切です。

人事評価制度を見直す

社員のモチベーション低下が見られる場合は人事評価を見直しましょう。社員が「正当に評価されている」と実感できるような評価制度を整えます。

まず、現状の課題を把握して方針を定め、評価される人材を明確にするために求める人物像を設定します。そして、採用や評価の基準などを示した人事ポリシーを定め、評価制度を設計していきます。

評価制度が適切に見直されれば給与や評価に対する不満も解消されやすくなります。成果に応じて給与アップや表彰制度を設ける施策も社員のモチベーションアップに有効です。自社の状況に応じて検討してみましょう。

まとめ

人材の定着には、社員の心理的安全性やエンゲージメントを高めることがポイントです。社員が何に悩んでいるのか、何をやりがいとしているのかを定量化し、必要な施策を講じていきましょう。

社員の価値観やメンタル面などの定性的な要素を把握するには、サーベイツールの活用が有効です。社員エンゲージメントや社員の心身の健康状況を可視化し、解決策のヒントを得たい場合は、ココエルをご活用ください。