離職率を改善する4つの施策!カギは社員の幸せに着目すること

離職率は、ある時点の在籍人数に対して、一定期間のうちに離職した社員の割合を指します。離職率の上昇は採用コストの増加や企業イメージの低下など、企業にさまざまなリスクをもたらします。少子高齢化による人材不足が深刻化する現在、人材定着のための施策を考えることは早急に対処したい課題です。 離職率の根本的な改善を目指すには、社員が幸せに働けているかどうかを一番に考える必要があります。 本記事では、離職率の高い会社の特徴を挙げたうえで、改善のための具体的な施策を紹介していきます。

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離職率が高い会社の4つの特徴

離職率の高さは、主に社員の働きにくさと定量評価が不足していることに起因しています。日々の業務を優先し、社員の定着を促す施策が後回しになってしまう企業も多いため、離職率の高さは日本全体の課題となりつつあります。

厚生労働省の「-令和3年雇用動向調査結果の概況-」によると、2021年の離職率は全体で13.9%でした。1年のうち、労働者100人当たり約14人が離職していることが分かります。前年と比べて改善傾向ですが、一般労働者においては0.4%上昇しています。

同調査によると、離職理由として多く挙げられているのは「人間関係」「労働条件」「収入」の3つでした。では、具体的にどのような企業で離職率が高いのか見ていきましょう。

出典:「-令和3年雇用動向調査結果の概況-」(厚生労働省)

コミュニケーションに課題がある

仕事においてコミュニケーションをとる機会は非常に多くあります。コミュニケーションがうまくいかないと、スムーズな情報共有ができません。その結果、本来は回避できたはずのミスが発生したり、社員同士の不信感につながったりすることもあります。

頻繁にそのような事態が起こると、社員にとってはストレスになりやすいでしょう。

加えて、上司や同僚との人間関係が良くない場合は、さらにストレスが大きくなるため離職の要因になることが多いです。

適切な労務管理が行われていない

労働時間や業務量などが適切でない会社も離職率が高い傾向にあります。残業が多すぎたり、定時までに終わらせるのが困難な業務量を抱えていたりすれば、ワークライフバランスが悪化するでしょう。

働き方に対してストレスを感じている場合、業務内容そのものに不満はなくても離職を検討する人が増えていきます。

適切な業務量が割り当てられていても、残業の常態化によって労働時間が長くなっている企業もあります。特に、上司が残業をしているため定時で帰りづらいといったケースは多いようです。

人事評価制度が整っていない

人事評価が適切に行われていない場合も社員が不満を抱きやすく、離職につながってしまいます。たとえば、人事評価基準が曖昧だったり、公表されていなかったりすると、社員は人事評価に納得感を得にくくなります。

改善点や目標を見出すことが難しくなるため、モチベーションも低下しやすく、離職を検討する社員も出てきてしまいます。

教育制度・フォロー体制が整っていない

会社の教育制度やフォロー体制は、社員の自立性や主体性を育む上でも重要です。特に若い社員にとっては、教育制度・フォロー体制があるからこそ、安心して挑戦できることもあるでしょう。

教育制度やフォロー体制が不十分だと、本来のパフォーマンスを発揮できません。自信をなくしたり、モチベーションが低下したりして離職につながることも多いです。

特に、入社直後に頼れる社員がいないと不安になりやすいでしょう。早期離職のリスクも高まります。

離職率を改善するカギは”社員の幸せ”を考えること

離職率を改善するうえで最も重要なことは、社員が幸せに働ける労働環境を作ることです。あらゆる施策を実行しても社員が幸せと感じられなければ、根本的な解決にはつながりません。表面的な施策にならないよう社員にとっての幸せを今一度考え直す必要があります。

ただし、幸せや働きやすさの定義は社員によって異なります。定性的な要素のため、企業側で適切に把握することが困難なケースも多いでしょう。

社員が悩んでいることや、どのようなことにやりがいや幸せを感じるかを可視化するには、サーベイツールの活用が有効です。

ココエルは、社員の心身の健康状態やエンゲージメントを可視化するサーベイツールです。現状把握やその分析結果を定量的に示し、明確に課題を特定します。課題解決へ向けたフィードバックコンサルティングサービスもご利用いただけます。

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離職率を改善する具体的な施策

離職率を改善する具体的な施策を紹介します。現状を把握したうえで社員のニーズに応じた施策を実施しましょう。

社内のコミュニケーションを活性化させる

社内のコミュニケーション不足が課題となっている場合は、社員同士で相互理解や信頼関係を築ける体制を整える必要があります。

例えば、社会イベント・交流会・1on1ミーティングなどの定期実施が挙げられます。メンター制度の取り組みや社内SNSの導入なども効果的です。

自然なコミュニケーションを生む工夫は、オフィスに取り入れることもできます。具体的なアイデアは、以下の記事でご紹介しています。

社内コミュニケーションを活性化するオフィス改善のポイントとは?

社員同士のコミュニケーションが活性化すれば、情報伝達がスムーズになり、業務ストレスが軽減されます。自由に意見交換できる企業風土が生まれることで、新しいアイデアやイノベーションの創出にもつながります。

離職の要因となりやすい人間関係の改善も目指せるでしょう。

労働環境を整備する

長時間労働が常態化しており、社員がストレスを抱えている場合は、適正な労働時間になるよう労働環境を整備しましょう。

社員のニーズに合わせて、福利厚生を追加したり変更したりするのも効果的です。例えば、テレワーク・フレックスタイム制・時短勤務制度などの導入が挙げられます。

2021年版「働きがいのある会社」でベストカンパニーを受賞した株式会社ヴィスでは、ワークライフバランスを実現するために以下の制度を実施しています。

■バースデイ休暇

■VOYAGE(年1回、5日連続の長期有給休暇が取得できる制度)

■産前・産後・育児・介護休暇

■出産立ち会い休暇

■ノー残業デー制度

また、ITツールの導入も労働環境の改善に効果的です。例えば、社内における情報のやり取りをメールからビジネスチャットツールへ移行すれば時間のロスが減ります。拠点が離れていてもコミュニケーションがスムーズになるため、残業時間の削減につながるでしょう。

人事評価制度を見直す

社員のモチベーション低下が課題となっている場合は、人事評価制度を見直してみましょう。

見直しの際には、まず経営理念や将来のビジョンなどを明確にし、人事評価制度の軸を確立する必要があります。それを踏まえたうえで、社員に何を目指してほしいのか、どんな基準で評価を行うのかを明確にしましょう。

その後、人事ポリシーを定め人事制度を設計するといったステップで進めます。人事ポリシーとは、人事制度の指針となる基本的な考え方のことです。

人事評価制度は、等級制度や報酬制度などとの整合性も考慮し、矛盾のないよう設計します。成果に応じて給与をアップさせる制度や表彰制度を設けるなどの施策を加えると、モチベーション向上に効果的です。

学習・成長の機会をつくる

スキル不足や属人化に悩んでいる社員が多い場合は、教育・育成制度を充実させましょう。

新入社員向けには、OJTやOff-JT*に力を入れ、フォロー面接を定期的に実施することをおすすめします。新入社員に成長できる職場もしくは安心して働ける職場だと感じてもらえれば、エンゲージメントも高まります。早期離職のリスクを軽減できるでしょう。

既存社員向けにはマネジメント研修が効果的です。将来管理職になったときのビジョンを描きやすくなり、モチベーションの向上につながります。

裁量を拡大し、自分で判断する機会を増やすのも有効です。責任感が生まれ、創意工夫する意欲が育まれます。目的意識をもちながら、管理職に求められる能力を少しずつ身につけられるでしょう。

(*Off-the-Job Trainingの略称。職場や通常の業務から離れ、学習や教育の機会を設けること。)

まとめ

離職率の高い会社は、労働環境や人事評価制度など、何らかの課題を抱えている可能性が高いです。社員が幸せに働けていない状況では離職率の根本的な改善にはつながりません。施策を検討する際は、社員の悩みややりがいを定量的に把握しましょう。

離職率が改善し、人材が定着するようになれば、利益が伸びて会社も成長していくでしょう。給与や労働条件がさらに良くなり、社員が働くことにより幸せを感じるという好循環が生まれます。