インフォーマルコミュニケーションとは?会話を増やすオフィスのポイント

新型コロナウイルス感染症の拡大以降、インフォーマルコミュニケーションの注目度が高まっています。しかし、インフォーマルコミュニケーションとは何か、いまいちわからない方もいるのではないでしょうか。 そこで今回は、インフォーマルコミュニケーションの概要やインフォーマルコミュニケーションをうながすメリット、ポイントなどについて解説します。

この記事は約10分で読み終わります。

インフォーマルコミュニケーションとは「非公式なやり取り」のこと

インフォーマルコミュニケーションとは、偶発的に発生する「非公式なやり取り」のことです。といっても、非公式なやり取りとは具体的には何を指すのか、よくわからない方もいるでしょう。

そこでまずは、非公式なやり取りの具体例と、フォーマルコミュニケーションとの違いについて解説します。

「非公式なやり取り」の例

「非公式なやり取り」とは、社内や道端で偶然始まる日常会話などのコミュニケーションのことです。たとえば以下のような場面は、すべてインフォーマルコミュニケーションに該当します。

・職場における雑談
・食事や飲み会
・帰り道での会話
・部活動

業務上必要とされるコミュニケーション以外のコミュニケーションは、すべてインフォーマルコミュニケーションと考えて良いでしょう。

フォーマルコミュニケーションとの違い

フォーマルコミュニケーションはインフォーマルコミュニケーションの反対で、「業務上必要となるコミュニケーション」を指します。

・会議
・業務連絡
・プロジェクトの解説
・経営戦略討論会

上記のような、業務を進めるために取らなくてはならないコミュニケーションは、すべてフォーマルコミュニケーションに該当します。

インフォーマルコミュニケーションをうながす3つのメリット

業務とは関わりのない雑談などを「無駄」と感じる方もいるでしょう。しかし、社内でインフォーマルコミュニケーションをうながすことには、さまざまなメリットがあります。

続いては、インフォーマルコミュニケーションによって得られるメリットについて見ていきましょう。

1.業務効率化や生産性アップにつながる

インフォーマルコミュニケーションをうながすメリットのひとつが、業務効率化や生産性アップにつながることです。

フォーマルコミュニケーション中心の環境にすれば、「業務外のことに無駄な時間を使わないので業務効率が良くなるだろう」と考える方もいるかもしれません。

しかし、業務上必要な会話しか許されない環境では、相談・報告がしにくくなったり社内に活気がなくなったりして生産性が落ちることがあります。

報連相が滞ってトラブルが多発し、かえって業務が非効率になることもあるでしょう。

インフォーマルコミュニケーションをうながすことで社員の間に業務以外のつながりができると、信頼関係が生まれます。すると、コミュニケーションが密になり、業務効率化や生産性アップにつながるのです。

2.新たなアイデアや解決策の創出につながる

インフォーマルコミュニケーションの多い職場では、新たなアイデアや課題解決の施策が生まれやすい傾向にあります。

会議などのかしこまった場では「批判されたくない」、「自分の意見を評価されるのが怖い」などの理由で、社員が自由に自分の意見をいえなくなることが多いものです。

しかし、休憩中の雑談や飲み会などのリラックスした場であれば、やり取りが活発になりやすく、自分の意見を発信するハードルが低くなるでしょう。何気ない会話のなかから、良いアイデアや気づきが生まれることもあります。

3.社員のメンタルケアができる

企業でのメンタルヘルスの根本的な課題は、コミュニケーション不足にあることが多いものです。そのため、インフォーマルコミュニケーションが活発な組織は、社員のメンタルケアがしやすいメリットもあります。

たとえば、上司と部下のコミュニケーションが不足していて、部下一人ひとりのパーソナリティが理解できていないと、部下の価値観や個性に合ったマネジメントができなくなるでしょう。

信頼関係が構築されていなければ、注意や指摘をしたときに必要以上のプレッシャーをかけてしまうこともあります。

このような状態が続けば、プレッシャーを感じすぎてかえってミスが増えたり、精神的に追い詰められて休職・退職につながったりすることもあるかもしれません。

インフォーマルコミュニケーションの促進によって社員のパーソナリティやストレス傾向などが把握できれば、コミュニケーション不足による問題が起こりにくくなります。

社員のメンタル状況は業績に影響するため、社員の状態を常に適切に把握しておくことが大切です。しかし、企業としての課題は、社員数が増えるほど、社員一人ひとりの状態を把握するのがむずかしくなることです。

社員のメンタル状況を把握するには、ツールを利用するのがおすすめです。組織改善サーベイ「ココエル」なら、社員のストレスチェックや要因分析ができるだけでなく、対策方法まで提示できます。

ココエルに関するお問い合わせは、こちらからどうぞ。資料のダウンロードも可能です。

コロナ渦でインフォーマルコミュニケーションの機会は減っている

業務効率化や社員のメンタルケアなどに役立つインフォーマルコミュニケーションですが、新型コロナウイルス感染症の拡大によってその機会は減っています。コロナ対策の一環として、業務のオンライン化やテレワークを導入する企業が増加したためです。

業務で関係のある人としかコミュニケーションを取らない、飛沫感染が気になって声をかけづらいなどで、社員同士の交流の機会が大幅に減少して社内での人間関係は希薄になりつつあります。

そうした状態を快適に感じる人もいますが、中には質問や相談をする人がおらずストレスを抱えたままになったり、孤独感を抱いてメンタルヘルスに不調が出たりといった問題が発生してしまう人もいます。

そのため、企業側が積極的にインフォーマルコミュニケーションをうながし、社員が孤立しないよう工夫することが大切です。

【オフィス】インフォーマルコミュニケーションをうながすポイント

インフォーマルコミュニケーションの重要性が把握できても、具体的にどのような取り組みをすれば良いのかと悩む方もいるでしょう。

そこで、インフォーマルコミュニケーションをうながすポイントについて紹介します。まずはオフィスでできる取り組みから見ていきましょう。

マグネットスペースの設置

オフィスでできるインフォーマルコミュニケーション促進の方法のひとつが、マグネットスペースの設置です。マグネットスペースとは、カフェスペースや自販機、コピー機の前といった、人が何となく集まり会話が生まれる場所のことをいいます。

カフェスペースや自販機の設置がむずかしい場合は、オフィスの一画にテーブルや椅子を設置し、お菓子や雑誌などを置くだけでも良いでしょう。

人が自然と集まる場所にする必要があるため、ゴミ箱やコピー機など、社員が定期的に利用するものの近くに設置するのが効果的です。

フリーアドレスの導入

フリーアドレスの導入によっても、インフォーマルコミュニケーションをうながすことが期待できます。フリーアドレスとは、固定席を設けずに社員が好きなように席を使えるようにすることをいいます。

固定席の場合、ほとんど毎日同じ人が隣に座るため、社員同士の人間関係が広がりにくいデメリットがあります。対して、フリーアドレスは毎日異なる人が隣の席に座るため、社内のさまざまな人と接点をもち、コミュニケーションを活性化するのに役立ちます。

フリーアドレスの導入後、同じ社員同士で固まって席が固定化する、雑談が増えすぎて業務に支障が出るなどの問題が発生した場合は、それを防ぐためのルールを設けると良いでしょう。

フリーアドレス導入の際は、オフィスの内装から変えるのもおすすめです。たとえば、スマートシェア株式会社は、移転にともない「Smart Smile」をキーワードにした笑顔と考えをシェアすることができるオフィスを実現しています。

・オフィスの中央にL字型のソファ席を設けることで、社員同士が考えを共有する場を用意する
・レセプションエリア、カフェエリア、中央ベンチエリアを作る

これらのデザインを取り入れることで、移転前の課題であった社員のコミュニケーション不足解消を目指しています。

フリーアドレスの運用方法について、もっとくわしく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

フリーアドレスオフィスのルールとは?スムーズな運用に必要なこと

また、ヴィスではフリーアドレス導入成功のポイントについて、ウェビナーを定期配信しています。Peatixのページはこちらからご確認ください。

株式会社ヴィス | Peatix

デスク配置の工夫

オフィスの移転や内装工事が難しい場合は、デスクの配置を工夫するだけでもインフォーマルコミュニケーションの促進に役立ちます。

たとえば、デスクを対面に設置すると、社員同士の距離がデスク2台分離れてしまいます。デスクを横並びに設置すれば、隣の席の人と距離が近づくためコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。

デスクの引き出しの位置などに注意して、社員同士の椅子の距離が近くなるようにするのもおすすめです。オフィスのデスクの配置について、下記の記事でくわしく解説していますので、あわせてご確認ください。

働きやすいオフィスレイアウトとは?管理職の席次配置のポイントを紹介!

【テレワーク】インフォーマルコミュニケーションをうながすポイント

新型コロナウイルス感染症の拡大以降、テレワークを導入する企業が増加しました。テレワークはコロナ対策に有効であるほか、通勤手当などのコストを削減できたり、遠方に住む優秀な人材を確保しやすくなったりするメリットもあります。

育児・介護などで現場を離れることの多い人材にも柔軟な働き方を提案できるようになり、定着率向上にも効果的といえるでしょう。

一方で、社員同士が直接顔を合わせる機会が大幅に減るため、コミュニケーション不足に陥りやすいデメリットもあります。

特に、社内の人間関係を構築する機会がないままテレワークに移行した新入社員は、業務について気軽に質問したり悩みを相談したりする人が見つからず、孤立しやすい傾向にあります。

そのため、テレワークのなかでもインフォーマルコミュニケーションをうながす工夫が重要です。ここからは、テレワークでインフォーマルコミュニケーションをうながすポイントについても紹介します。

雑談タイムの導入

テレワークでインフォーマルコミュニケーションをうながすのに役立つ方法のひとつが、雑談タイムの導入です。テレワークの際には、ビジネスチャットツールやWeb会議ツールでコミュニケーションを取ることが多いでしょう。

こうしたツールでのやり取りは、相手の顔が見えない、業務に必要なことしか話さないなど淡々としたものになりやすく、コミュニケーション不足につながりやすいのです。

雑談タイムを設けて業務外のことも話せる環境を作れば、テレワークでも社員同士の信頼関係が築きやすくなり、社員の孤立を防ぎやすくなるでしょう。

ただし、雑談タイムに制限がないと仕事との切り替えがしにくくなるおそれがあります。10分、15分など雑談タイムの時間制限を設けて、オンオフを切り替えられるようにしておきましょう。

オンラインランチ・飲み会の実施

オフィスに出社しているときは、自然にほかの社員とランチに行ったり、飲み会を開催したりすることもあるでしょう。しかし、テレワーク下でのランチは一人で取ることが多く、社員同士で誘い合って飲み会を開催する機会も少なくなります。

出社している社員とテレワークの社員が入り混じっている場合、出社している社員だけでランチや飲み会に行き、テレワークの社員が孤立することもあるかもしれません。

このような状態を防ぎ、インフォーマルコミュニケーションをうながすには、オンラインランチやオンライン飲み会など、仕事以外のコミュニケーションを取る場所を作るのが効果的です。何らかのオンラインイベントを開催するのも良いでしょう。

コミュニケーション不足はメンタルヘルスの問題や、社員の離職につながることがあります。テレワークだからとあきらめず、テレワークの社員が孤立しない方法を考えてみましょう。

まとめ

雑談や食事、部活動といった業務に直接関係のないインフォーマルコミュニケーションは、人によっては無駄なことに思えるかもしれません。

しかし、インフォーマルコミュニケーションは社員の人間関係構築に必要なものであり、業務効率化や生産性アップ、メンタルケアなどに役立つ可能性があります。何気ない会話のなかから、新たなアイデアや課題の解決策が生まれることもあるでしょう。

新型コロナウイルス感染症の拡大以降、インフォーマルコミュニケーションの機会が減り、孤立する社員や必要以上にストレスを抱える社員も出てきています。

特にテレワークをしている社員は質問しにくい、だれに相談したら良いのかわからないなどの悩みを抱えがちです。

社員と信頼関係を築き、不安を解消するためにも、企業側が積極的にインフォーマルコミュニケーションをうながす環境を整えてみてはいかがでしょうか。