目次
オフィス移転のチェックリスト①オフィスの現状を確認する
新しいオフィスへの移転を考えたとき、まずやるべきことは現在のオフィスにおける以下の3点を確認、検討することです。
・課題の洗い出し
・解約の手続き
・原状回復について調べる
それぞれ順番に解説します。
1.オフィスの課題を洗い出す
最初に、現在のオフィスが抱えている課題を洗い出します。新しいオフィスにおける理想のイメージが明確になり、物件選びやレイアウトプランをスムーズに進めやすくなります。
たとえば、現在「狭くて社員が休憩したり、急遽打ち合わせをしたりするスペースがない」という課題があるとします。こういった場合、充分に休憩スペースをとれる物件を選ぶことで、解決できるでしょう。
ほかにも、「テレワークを活用するようになって、オフィススペースが広すぎる」「新年度には新入社員が多く入社するが、現在のオフィスに受け入れる余裕がない」といった課題を抱えているかもしれません。現在のオフィスが抱えている課題をすべて出し合い、解決するためにはどのような方法があるのかを考えることで、新しいオフィスの選び方が見えてきます。
2.現在のオフィスの解約について確認する
次に、現在のオフィスを解約するために、契約内容の確認を行いましょう。以下の2点について確認が必要です。
・解約通知の時期
・預託金の返還時期
一般的に、解約通知は退去日の半年前までに貸主に出す必要があります。ただし、物件によっては3ヶ月前でも問題がないケースもあるので、契約時の書類を確認しておきましょう。解約通知が遅れてしまうと、希望する日に退去ができなくなってしまうだけでなく、家賃を余分に支払わなければなりません。
上記に加えて、解約によって戻ってくる預託金がどのタイミングで返還されるのかも確認しておきましょう。預託金とは、賃料の債務に対して担保となるお金のことです。物件によっては「保証金」「敷金」といった名目で預託している場合もあります。おおよそ退去から3ヶ月~半年ほどで返還されますが、返還された預託金の使い道があらかじめ決まっている場合は、いつ返還されるのかをしっかりと確認しておきましょう。
3.原状回復について確認する
最後に、現在のオフィスの原状回復について確認します。
現在のオフィスを引き渡す際、借主側は物件を借りる前の状態に戻さなくてはなりません。もしも適切な原状回復をしないで引き渡しをしてしまうと、貸主とのトラブルに発展することがあるので注意しましょう。
原状回復については、確認すべき3つのポイントがあります。
1つ目のポイントは、「原状回復を行う業者を自社で依頼できるか」です。貸主の指定した業者が原状回復を行う場合、想定より高い金額を請求されるケースもあります。しかし、テナント側で依頼した業者であれば、見積もりの段階から打ち合わせができるため、予想外な請求を防ぐことができるでしょう。
2つ目のポイントは、「原状回復をどこまですべきか」です。 物件や契約内容によって、どこまで原状回復をすべきかが異なるため、事前に貸主に確認しておくことが大切です。
3つ目のポイントは、「原状回復にかかる費用」です。原状回復を行う業者が決まったら、実際にオフィスに来てもらい、どのくらい費用がかかるのか見積もりを取ってもらいましょう。費用の目安が分かることで、移転準備のための予算が組みやすくなります。
オフィス移転のチェックリスト②新オフィスを選定する
現在のオフィスに関する確認が終わったら、次は移転先となる新しいオフィスを探します。
1.場所を決める
オフィスの立地は、会社や商品のブランディングにも関わってきます。
たとえば、若い女性をターゲットにしている商品やサービスを提供している企業であれば、おしゃれなイメージのエリアが適しているといえます。富裕層向けの商品を展開している企業であれば、高級感のあるエリアを選択することで、企業だけでなく商品のイメージアップを図れるでしょう。
自社に合ったオフィスビルを選定するには、オフィスの最適な場所やサイズ、働き方をプログラミング分析し、シミュレーションしたデータを参考にすることをお勧めします。
ライトサイジングプログラムの『wit』を活用すれば、独自のデータ分析により最適な不動産情報やオフィスのロケーションを知ることができます。
詳しくはこちらよりお問い合わせください。
オフィスの場所選びにおける注意点は以下の記事でも詳しく説明しています。
「【オフィス移転】期待できるメリットと、注意すべきデメリット」
2.築年数を確認する
築年数は、建物の耐震性を判断する重要な基準となります。
現在の建物には、新耐震基準と旧耐震基準が定められています。万が一地震が発生した場合、被害を最小限に抑えるためにも、新耐震基準をクリアしている物件を選択しましょう。
3.駐車場の有無を確認する
営業担当者やお客様が自動車を使用することが多い会社は、駐車場の有無を確認します。物件によっては駐車場の利用時間が限られている場合もあるので、利用条件もチェックしておきましょう。
4.周辺施設を確認する
銀行や郵便局、役所などがオフィス周辺にあると、そこに行くまでの移動時間を短縮できるため、事務業務などを効率良く行えます。
また、オフィスの周辺に飲食店やコンビニがあると、社員が昼食を取りやすくなります。周辺施設もあわせて確認しておくと良いでしょう。
5.費用を確認する
新しい物件にかかる費用について、契約前に確認します。 事業用不動産の契約においては、以下の費用がかかります。
・賃貸料
・敷金、礼金
・保証金
・預託金
そのほかにも、契約や支払いに関する項目も確認しておくことが大切です。
・更新時期
・更新料
・原状回復の条件
・家賃や共益費の支払い方法
物件によっては、家賃や共益費以外にも月々に費用が発生する場合もあります。費用面に関する確認は忘れずに行いましょう。
6.エントランス、共用部分を確認する
建物のエントランスや共用部分は、会社の顔ともいえる重要なエリアです。ビルにテナントとして入居する際は、エントランスやエレベーター、トイレなどの共用部分の清潔さや使い勝手などを確認しましょう。
また、来客が多い企業の場合は、給湯室の有無もチェックしておきます。
7.広さを確認する
物件の広さも重要なポイントです。十分な広さがないと書類を保管できなかったり、業務スペースを確保できなかったりと、さまざまな面で業務の妨げになります。
オフィス移転のチェックリスト③新オフィスのレイアウト計画を立てる
物件選びと並行して、オフィスのレイアウトや内装のイメージを具体的にします。新しいオフィスのコンセプトを定め、それを軸に進めていくことがポイントです。
1.レイアウト計画を立てる
新しいオフィスのレイアウトは、デザイン会社にアドバイスをもらいながら、自社の特徴にあった空間デザインを目指します。移転する際、新たにデスクや什器を購入する場合は、メーカーにより異なりますが移転する4ヶ月前までにレイアウトを決めておくと余裕を持った手配ができるでしょう。
2.レイアウトを考える
オフィスレイアウトには、従来の島型のほか、スクール型、背面型などさまざまな型があります。現在のオフィスが抱えている課題や、社員の働き方を踏まえてレイアウトを選ぶことが大切です。
このとき、社員の意見を参考にし、自社に最適な配置になるよう意識しましょう。現在のオフィスに関して動線や距離、希望する設備環境などについてアンケートを取ると、社員が満足できるオフィスのイメージを具現化しやすくなります。
また、オフィスレイアウトを考えるには、用途別に全体のスペース配分を決めるゾーニングが重要です。以下のような必要なスペースを洗い出し、導線やセキュリティに配慮して具体的な配置を検討します。
・執務スペース
・役員スペース
・共有スペース(ミーティングスペースなど)
・多目的スペース(リフレッシュスペースなど)
・情報管理スペース
ゾーニングは業務効率だけでなく、社員の働きやすさの向上やコミュニケーション促進にも関係するため、十分に時間をかけて検討する必要があります。
3.内装を考える
オフィスの内装は企業理念や理想の働き方を意識して検討しましょう。床・壁・照明を選ぶポイントは以下のとおりです。
【床】
床の色は、オフィスの印象を決める重要な部分です。社員の心理状態にも影響を与えるため、使用用途に応じたカラーを選びましょう。床のカラーを変えることで、ゾーニングの役割も果たせます。
例えば、落ち着きのある青系のカラーは執務スペースに向いています。また、緑や木目カラーはリフレッシュスペースに良いとされています。
また、素材は音の反響や掃除のしやすさなどに影響します。足音を響かせたくない執務スペースではカーペット系、人の往来が多い場所は耐久性に優れたフロアタイルを選ぶことが多くあります。
【壁】
壁も床同様に面積が広く、スペースの印象を決める重要な要素です。オフィスでは明るく清潔感のある白が採用されることが多いですが、近年ではスペースのコンセプトに合わせて選ぶケースも少なくありません。
白をベースに壁の一部にコーポレートカラーを取り入れたり、素材感の異なるアクセントクロスを用いたりするのもおすすめです。
【照明】
照明の種類や明るさは、それぞれのスペースの用途に合わせたものを選択します。
執務スペースでは作業効率を考えて明るい昼白色や昼光色の照明が適しています。一方で、リフレッシュスペースには明る過ぎない温白色・電球色の照明がおすすめです。
また、近年では調光にも着目されています。夜まで明るい光を浴び続けていると、気持ちが落ち着かない状態になるといわれています。時間帯によって照度やカラーを変更可能な照明を導入するのも有効です。
オフィス移転のチェックリスト④各種入居工事を進める
新オフィスに入居する前には設備や内装などに関する工事が必要です。
1.工事依頼先を選定する
入居工事は、「分離発注方式」と「ワンストップ方式」があります。
分離発注方式は、個別に専門業者に依頼する方式です。一方、ワンストップ方式は、移転に関わる手続きや入居工事などを、すべて専門業者に委任する方式です。
ワンストップ方式は費用が高くなりますが、面倒な手続きや業者とのやり取りなどの手間が省けるため、忙しい会社や、移転までに時間がない会社におすすめです。
2.工事の可否をオフィスの貸主に確認する
オフィスビルにおいて、防災や空調・電源の増設などのビル全体に影響する工事は、一般的にビルの管理会社が指定する業者の利用が契約で定められています。
どの工事が指定業者に依頼しなければならない工事に該当するか、事前にオフィスの貸主に確認しておきましょう。
入居工事に関する確認事項は、以下のとおりです。
・ビル管理会社への申請
・作業時間/EV占有時間
・養生方法
・搬出/搬入経路/方法 など
これらの項目を貸主に確認しながら、入居工事を進めていきます。
オフィス移転のチェックリスト⑤移転準備を進める
オフィス移転日が決定したら、移転手続きや届け出、取引先への連絡が必要です。あわせて社員への情報共有も進めていきましょう。
1.移転に必要な手続きや届け出を行う
オフィスを移転する場合に必要になる主な手続きや届出は以下のとおりです。
手続き | 届出先 | 提出期限 |
移転登記 | 移転前の管轄法務局 | 本店:移転後2週間以内 支店:移転後3週間以内 |
異動届出書 | 移転前の管轄税務署 | 移転後速やかに |
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 | 移転前の管轄税務署 | 移転後1ヶ月以内 |
健康保険・厚生年金保険適用事務所名称/所在地変更(訂正)届 | 移転前の管轄年金事務所 | 移転後5日以内 |
労働保険名称・所在地等変更届 | 移転先の管轄労働基準監督署 | 移転後の翌日から10日以内 |
雇用保険事業主事業所各種変更届 | 一元適用事業所:移転先の管轄労働基準監督署 二元適用事業所:移転先の管轄ハローワーク | 移転後の翌日から10日以内 |
自動車保管場所証明申請書(車庫証明) | 移転先の管轄の警察署 | 移転後なるべく速やかに |
防火対象物使用開始届出書 | 移転先の管轄消防署 | 新オフィス使用開始7日前まで |
防火対象物工事等計画届出書 | 移転先の管轄消防署 | 新オフィス使用開始7日前まで |
防火・防災管理者選任(解任)届出書 | 移転先の管轄消防署 | 新オフィス使用開始7日前まで |
消防計画作成(変更)届出書 | 移転先の管轄消防署 | 新オフィス使用開始7日前まで |
2.取引先に連絡する
オフィス移転の際には、取引先への連絡も必要です。
・移転案内状の作成
・送付先リスト作成、送付
・郵便局の移送手続き
・取引銀行への連絡 など
移転先の住所や電話番号が決まったら、移転案内状を作成します。移転案内状は、主に取引先やお客様に送るお知らせで、2週間前までには届くように手配すると良いでしょう。
新しいオフィスに移転するために、必要な手続きを行いましょう。
3.社員に情報を共有する
移転作業をスムーズに行うため、社員向けに「オフィスの移転説明会」を実施します。
移転作業に関するスケジュールや手順を事前に伝えておくことで、当日の混乱を避けられるでしょう。
移転後の業務をスムーズに行うためにも、以下の項目が記載された「新オフィスのマニュアル」を作成します。
・館内規則の説明
・ビルの安全管理システム
・運用管理書類作成
・防火管理者(選定しておく) など
移転準備がうまく進まないときは
新しいオフィスへの移転は、時間と手間を要する大きなプロジェクトです。
大きなプロジェクトだけに、通常の業務と併行して移転準備を行う場合、自社のメンバーだけではスムーズに進まないこともあります。
もしも移転準備がうまく進められない場合は、先述したワンストップ方式の移転サービスを利用するのがおすすめです。
移転コンサルティングを手がけるヴィスでは、オフィス移転に必要な手続きをワンストップ方式でサポートしています。
新しいオフィスのデザインやレイアウトも、企業ブランディングと働きやすさの両面からご提案します。現在オフィス移転を検討されている企業様は、お気軽にヴィスまでご相談ください。
ヴィスでは、オフィス移転のチェックリストや、移転の流れが一目でわかるマニュアルなどを無料で提供しています。資料は以下のページからダウンロードできますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
本記事では、オフィス移転のためにやるべきことや、移転の流れについて解説しました。
新しいオフィスへの移転は、単に引っ越しという目的だけでなく、企業イメージや生産性の向上に影響を与える重要なプロジェクトです。
とはいえ、移転準備や手続きなどに不備があった場合、移転後の業務再開が遅れたり、移転前より生産性が落ちてしまったりするおそれがあります。
移転準備をスムーズに進めるためにも、信頼できる専門業者にサポートを依頼しましょう。
ヴィスであれば、経験豊富なスタッフがワンストップ方式で移転準備を全力でサポートしますので、いつでもお問い合わせください。