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社員の健康を増進するオフィスづくりが必要
近年、多くの企業で問題視されているのが、社員の「プレゼンティーズム(presenteeism)」です。直訳すると「疾病就業」という意味で、心身の不調を抱えながら勤務している状態を指します。
かつては、「アブセンティーズム(absenteeism)」といって、心身の不調による欠勤のほうが問題視されていました。しかし、企業へのダメージはプレゼンティーズムのほうが大きいことが分かりました。そういった事情から、社員に健康な状態で働いてもらうよう、各企業が取り組みを始めたのです。
最初から欠勤していれば、ほかの社員の負担にはなりますが、誰かがカバーして、ある程度の生産性は維持できます。
しかし、出勤していれば、おいそれと誰かにカバーしてもらうわけにはいきません。それでも心身が不調であることは変わらないので、ミスが多くなったり、モチベーションが上がらなかったりするなどして、生産性は下がってしまいます。
職場によってはプレゼンティーズムだと気づかれず、単にやる気がないだけと見なされる場合もあります。
実際に、プレゼンティーズムによる企業の損失は、医療費の負担よりも、生産性の低下が大半を占めています。ほかの社員に悪影響をおよぼせば、さらなる損失につながりかねません。だからといって、退職されるのも、やはり企業にとっては大きな損失になります。培われたノウハウが失われたり、採用のコストがかかったりするからです。
心身が不調になる原因は、ストレスや運動不足、食生活の乱れなどがあります。プレゼンティーズムによる損失やアブゼンティーズムを防ぐためにも、社員が健康に働けるオフィスづくりが必要といえるでしょう。
健康経営オフィスで得られるメリット
「健康経営」とは、社員の健康を保持したり、増進したりするための投資をして、将来の収益を増やす取り組みです。
健康経営を反映したオフィスにすると、どのような効果を得られるのか、具体的なメリットを紹介します。
社内を活性化できる
すべての社員が身体的にも精神的にも良好な状態で働くと、社内全体が活性化します。社内全体が活性化すると生産性が向上するため、業績アップも期待できるでしょう。
活性化した企業では、離職率も下がります。人材の長期保有が可能になり、安定して企業を持続できるようになります。採用コストの削減や、企業のイメージアップにもつながるでしょう。
経費削減につながる
社員が健康になれば、経費も削減できます。最も反映されやすいのは社員の健康保険料です。
社員の健康保険料は、会社が半分以上を負担しています。病気の社員が増えて医療費が上昇すると、翌年度の保険料率が上がってしまうため、各企業にとっては大きな負担です。
逆に健康な社員が増えて医療費が少なくなれば、保険料率も下がって健康保険料の負担が軽減します。同様に、勤務中のケガによる労災補償の費用も少なくなるでしょう。
また、先述のとおり採用コストの削減にもつながります。病気やケガで離職されると、企業は新たな社員を採用しなければいけません。募集広告を出したり、面接したり、入社後教育をしたりすると、手間もコストもかかります。しかし健康経営によって離職を防げれば、どちらも削減できるでしょう。
経費を削減できれば、その分だけ収益を増やすことができます。
企業のイメージアップを図れる
健康経営を実現している企業では、社員が活き活きと働いています。ひとり一人が最大限のパフォーマンスを発揮できているため、仕事に対する充実感が高まりやすく、心身の不調による離職はありません。
社員の健康維持への取り組みが社外に認知されれば、企業のイメージアップにつながるでしょう。
イメージアップによって、顧客の信頼を得られたり、優秀な人材が集まったりすることも期待できます。
【社員が健康になるオフィスづくり】7つのポイント
では、健康経営を実現するためには、具体的にどのようなオフィスづくりをすれば良いのでしょうか。
経済産業省では、平成27年に公表した「健康経営オフィスレポート」の中で、健康を保持・増進する行動をA~Gの7つに分類しています。
出典:「健康経営オフィスレポート」(経済産業省)
上記の中でも「A.快適性を感じる」は、オフィスづくりで大幅に改善することができます。
たとえば、照明は作業によって適切な明るさ(照度)が異なります。単純な作業であれば70ルクス、普通の作業であれば150ルクス、精密な作業であれば300ルクス以上が適しているといわれています。
特にオフィスの机上の明るさについてはJIS規格が基準を定めており、JIS Z91110の「事務所の照度基準」は、パソコンのキーボードを操作するような事務所では、机上の照度は750lx(ルクス)以上でなければならないと定めています。
照度は作業効率にも影響してきますので、注意して照度設計をしましょう。
照明の色によっても快適性は変わります。オレンジ色が強くなるほどリラックスした状態になり、青白くなるほど集中力が高まるといった具合です。作業に合わせて明るさや色を選ぶのが快適性のポイントです。
パーソナルスペースの確保は、ストレスを軽減したり、集中力を高めて生産性を向上させたりするためにも重要です。あまりにも隣の席との距離が近いと、パーソナルスペースが侵害されてしまうので、十分に確保できるようレイアウトを考えなければいけません。
オフィスの広さによってパーソナルスペースの確保が難しいようであれば、部分的にフリーアドレスを導入するなどして、社員全員が快適に働けるようにしましょう。
具体的な快適なオフィスづくりの手法やポイントについては、以下の記事をご覧ください。
そのほか、「B. コミュニケーションする」や「C. 休憩・気分転換する」などの行動を誘発する場所として、リフレッシュスペースを設けるのも有効です。オフィスと明確に区切られていれば、仕事と休憩のメリハリがつきますし、くつろぎながらコミュニケーションや気分転換ができます。
リフレッシュスペースや休憩室を設置するときのポイントについては、以下の記事をご覧ください。
「オフィスの休憩室はどうデザインする?4つのポイントを解説」
社員を健康にするオフィスをつくるなら
健康経営に配慮したオフィスづくりを実施するためには、さまざまな改善点を検討したうえで、自社に最適な方法を選び出す必要があります。
ヴィスでは、企業の特徴や社風などを反映しながら、目的に合ったオフィス空間を提案できます。レイアウトからオフィス家具までトータルにデザインできるのはもちろん、オフィス移転のサポートも可能です。
オフィスの快適性を高めるアイデアとしては、以下のようなご提案が可能です。
・バイオフィリック(グリーン・音響)
・オフィスアロマ
バイオフィリックとは「バイオ=生命・自然」と「フィリア=愛好・趣味」を表す造語です。「人は自然と関わることによって、本能的に幸福感が得られる」という考え方で、バイオフィリックを取り入れたオフィスデザインは世界的にも注目されています。
ヴィスでは、植物や自然光などのグリーンを取り入れたオフィスや、「R-LIVE」という音響システムを配置し、五感で自然を感じられるオフィスをご提案いたします。
高周波の音を再現しているため、より自然を身近に感じることができ、自律神経のバランスを整える効果があるとの実験結果も得られています。
(出典:自然と共存するオフィス『バイオフィリックデザイン』)
バイオフィリック(グリーン)やコミュニケーションエリア、リラックススペース等、健康経営オフィスの参考になるオフィストレンド資料は下記リンクよりダウンロードできます。
また、オフィスアロマのご提案も可能です。快適に感じる香りを取り入れることによって、心を落ち着かせたり、気持ちをリフレッシュできたりと、ストレスの軽減にもつながります。
空間や用途に合わせた香りもご提案できますので、ご検討中の方はヴィスへご相談ください。
まとめ
社員が健康になると、社内が活性化したり、経費を削減できたり、イメージアップを図れたりするなど、さまざまなメリットがあります。社員の健康を高めるためには、健康経営に向けた会社主導の取り組みが重要です。
パーソナルスペースの確保や休憩できるスペースの設置など、オフィス環境の改善は特に有効な取り組みです。自社に最適な方法を選び、全社員が健康的に働けるオフィスづくりを目指しましょう。