【オフィス】有効なセキュリティ対策とは。ゾーニングの必要性を紹介

オフィスのセキュリティ対策は、企業が取り組むべき重要な課題です。オフィスでは機密情報や個人情報を扱うため、万全なセキュリティ対策を行う必要があります。また、社員が安心して働ける環境を整えるには、不審者の侵入も防がなければなりません。 本記事では、オフィスを守るために必要なセキュリティ対策の考え方や有効なセキュリティ対策を紹介します。

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オフィスにはどんなセキュリティリスクがある?

オフィスにセキュリティリスクがあると、どのような問題が生じるのでしょうか。オフィスで想定される主なリスクを踏まえて紹介します。

【情報リスク】情報漏洩やデータ流出

情報リスクとは、情報漏洩やデータ流出のリスクです。企業は顧客情報をはじめ多くのデータを保有しています。情報漏洩やデータ流出は、社会からの信用を大きく損なうおそれがあり、取引先や顧客離れにもつながります。また、法的な問題や損害賠償請求などの損失リスクも生じます。

【人的リスク】社員への危害

人的リスクとは、社員へ危害を被るリスクです。オフィスに不審者が侵入するリスクを考慮することは、安全な環境で社員に働いてもらうために必要な観点です。

【物的リスク】資産の盗難や破損

物的リスクとは、不審者の侵入により、オフィスの資産が盗まれたり破損したりするリスクです。金銭はもちろん、PCなどの備品や社員の所有物などもリスク対象になります。

オフィスセキュリティに必要な「ゾーニング」

ゾーニングとはオフィスをエリアごとに分けることです。セキュリティ対策を考える際には、オフィスのエリア毎にどのような人物が出入りできるかを考慮することが大切です。

具体的には以下の4つに分類し、ゾーンに応じて必要な対策を講じることが重要になります。

【レベル1:パブリックゾーン】

パブリックゾーンはエントランスホールやエレベーター、オフィス外の廊下など、不特定多数の人が出入りできるエリアです。大がかりなセキュリティ対策は不要ですが、一般的な不審者対策として防犯カメラの設置や入退ゲートの設置などが望まれます。

【レベル2:共有ゾーン】

共有ゾーンは受付やロビー、応接スペースなどの社外関係者が利用するエリアです。不審者や部外者の侵入を防ぐ必要があるため、入退室の管理や防犯カメラの設置、パーティションなどによる物理的遮断などの対策が必要になります。

【レベル3:ワークゾーン】

ワークゾーンは、デスクスペースや会議室、休憩スペースなどのエリアです。基本は社員が利用しますが、社外関係者が利用する可能性もあるエリアのため、情報漏洩に注意する必要があります。入退室を管理可能な電気錠の設置が望ましいです。

【レベル4:機密ゾーン】

機密ゾーンは、役員室や金庫、サーバールームなど高いセキュリティ対策が必要なエリアです。特定の社員のみがアクセスできるようセキュリティ錠や複数の認証システムを用いた管理が求められます。また、トラブル発生時に備えて防犯カメラを設置しておくことも必要です。

オフィスでできるセキュリティ対策

これからオフィスのセキュリティを高めるには、どのような施策に取り組んだら良いのでしょうか。オフィスでできるセキュリティ対策を紹介します。

防犯カメラを設置する

防犯カメラは人の目が届かないエリアの監視に有効です。映像の記録により、万が一トラブルが生じた際の証拠能力も持ちます。

また、防犯カメラが設置されていることにより、「見られている」といった意識を与えることもでき、不審者を抑制する効果も期待できることもメリットです。

入退室管理システムを導入する

入退室管理システムを導入すれば、オフィスへの人の出入りを管理し、許可されていない人の立ち入りを制限できます。部外者のオフィス侵入防止に有効です。現在、主に活用されているシステム認証の種類と特徴を紹介します。

テンキー

テンキーは、暗証番号の入力で入退室を管理するシステムです。物理的な鍵やカードが不要なため、低コストで導入や運用を行えます。

ただし、共通の暗証番号を使用する場合、個人の入退室を記録することはできません。また、番号が流出すると簡単に侵入できてしまうので、定期的な番号変更やほかのセキュリティ対策との併用が必要です。

ICカード認証

ICカード認証は、カードリーダーにICカードをかざして入退出を管理するシステムです。個人にそれぞれカードを発行するか、個人が保有しているICカードを登録して利用することができるため、個人ごとの入退室や権限を管理できます。

ICカードの偽造は困難でセキュリティレベルが高く、入退室もカードをかざすだけなので容易に運用できます。

ただし、ICカードが紛失・盗難に遭った場合、第三者に悪用されるリスクがある点に注意が必要です。

スマートフォン認証

スマートフォン認証は、個人や会社のスマートフォンを認証に用いるシステムです。アプリを使用するためICカードの発行は不要となり、比較的低コストでの導入が可能です。

また、スマートフォンは使用時にセキュリティ認証が実装されているので、紛失による第三者の不正使用のリスクも大きく抑えられています。

生体認証

生体認証は、指紋や顔、虹彩、静脈などを用いた認証システムです。第三者が偽造することが困難なため、高いセキュリティを確保できますが、導入や運用にかかるコストも大きくなります。

セキュリティソフトを導入する

不正アクセスやウイルス感染によるサイバー攻撃や情報漏洩対策としては、セキュリティソフトの導入が有効です。

セキュリティソフトを選ぶ際は、ファイアウォールやメール監視、有害サイト規制など複数の機能を持つ総合型ソフトの導入がおすすめです。

ただし、セキュリティを強固にするほどPCの動作は重くなります。また、社内で使用しているアプリケーションが利用できなくなる場合もあるため、必要な機能を確認して自社に合ったものを選ぶことが大切です。

金庫や鍵付き収納棚を設置する

金銭や機密書類などの保管には、金庫や鍵付き収納棚を利用するのも有効です。オフィスに不審者が侵入しても、アクセスを遮断できます。 ただし、鍵は厳重に保管しなければなりません。誰でもアクセスできるところにあると、セキュリティ性は低下します。

セキュリティ対策に有効なオフィスレイアウト

セキュリティ対策の効果はオフィスレイアウトの工夫によっても高められます。ここではエリアごとにセキュリティ観点でのレイアウトのポイントを紹介します。

エントランス

オフィスのエントランスは不特定多数の人が出入りするため、求められるセキュリティ対策のレベルは低いです。しかし、不法侵入を防ぐための工夫は行っておくことをおすすめします。

まず活用したいのがパーティションです。パーティションを設置すれば、視線を遮ることができます。エントランススペースとワークスペースをしっかり分けられるのでセキュリティレベルの向上を見込め、来訪者の印象アップも期待できます。

また、ワークスペースまでの動線に曲がり角を作ることも有効です。角があると歩行速度が落ちるため、不法侵入した人物が防犯カメラに映りやすくなります。

ワークスペース

ワークスペースには社外の関係者が立ち入ることもあるため、情報漏洩に対して注意が必要です。

作業中のモニターから情報が漏洩することもあるので、通路からモニターが見えないように工夫しましょう。デスクの位置を調整したり、仕切りを設けたりすることをおすすめします。

応接スペース

来訪者が利用する応接スペースは、セキュリティ上受付エリアのすぐ隣に設けることが大切です。

応接スペースに行くまでにワークスペースを通る必要があると、移動中に作業中のPC画面や机上の書類などを盗み見られるリスクがあります。また、会議室が隣接していると、内容を聞かれるおそれもあります。

応接スペースはパーティションで仕切りを設け、ワークスペースから距離を置くことが大切です。

まとめ

オフィスのセキュリティ対策は、自社の資産や社会的信頼を守るだけでなく、社員が安心して働くためにも必要なものです。今回ご紹介したゾーニングを参考に、オフィスのエリアと役割に応じて適切なセキュリティ対策を講じましょう。