目次
- 2025年最新のオフィストレンドと傾向
- 【最新版】オフィスデザイン・レイアウト事例17選
- 春夏秋冬を各フロアで演出「株式会社キタムラ・ホールディングス」
- 不動産ショールームとして活用「ジェイアールセントラルビル株式会社」
- オープンな社風を体現「スペースシャワーSKIYAKIホールディングス株式会社」
- 大規模拠点の創造「株式会社Grand Central」
- 従業員の快適さを追求「JFEミネラル株式会社」
- 新たな価値を生み出す研究拠点「株式会社ミルボン イノベーションセンター」
- 日経ニューオフィス賞受賞「JFE商事株式会社」
- ブランディングを加速させる「株式会社パラドックス」
- 緑との調和が落ち着く「旭化成エンジニアリング株式会社」
- 発展的かつ先進的「株式会社クレディセゾン」
- 創業50周年でリブランディング「株式会社新東通信」
- ”あこがれ”を感じさせる「株式会社ギフトホールディングス」
- 交流とイノベーションを推進「株式会社LegalOn Technologies」
- 新たな働き方を実験する「Axvircle株式会社」
- 視界を切り開く開放感「ブロードマインド株式会社」
- 交流を生むライブラリー「きわみホールディングス株式会社」
- 宇宙船で旅する「Aiロボティクス株式会社」
- オフィスデザイン・レイアウトにこだわるメリット
- オフィスの内装づくりで重要な要素
- 【参考】オフィスづくりで取り入れたい工夫・アイデア
- まとめ
「オフィスデザインを見直したいが、どこから手をつけていいのかわからない」「他社の成功事例について具体的な情報が不足している」そうした悩みを抱える総務担当者や経営者もいるのではないでしょうか。理想のオフィス空間を実現するために、他社の成功事例を参照しつつ、自社ならではのこだわりや最新トレンドを効果的に取り入れることが大切です。
本記事では、2025年最新のオフィスデザイン・レイアウト事例を17社を紹介するとともに、オフィスづくりで押さえるべきポイントや実践的な工夫も詳しく解説します。快適に働くことができる企業オフィスの実例を参考に、自社のオフィスづくりにぜひお役立てください。
2025年最新のオフィストレンドと傾向
2025年のオフィストレンドは「コラボレーションエリアの構築」です。明確な定義はありませんが、コラボレーションエリアとは、全社会議や納会・勉強会などの社員向けイベントだけでなく、外部セミナーやプレゼンテーションなどの社外向けイベントなど多目的に活用できる交流空間を指します。
働き方や働く場所が多様化している現代において、打合せスペースや執務スペースとしての機能を両立できるコラボレーションエリアがあれば、空間を有効に活用できます。なかでも、社内外のイベントの際には、目的に合ったネットワークインフラの充実と音響設備の計画的な構築、可動式パーティションや昇降テーブルなどの家具選びが重要です。
限られたスペースで多様な働き方に見合うオフィスを構築するために、柔軟性と機能性を兼ね備えた空間づくりの需要が拡大しています。
【最新版】オフィスデザイン・レイアウト事例17選
ここからは、最新のオフィスデザイン・レイアウト事例を紹介していきます。さまざまな業界・企業のオフィスについて、特徴やコンセプトを解説するので、自社オフィスの構築に向けて参考にしてください。
春夏秋冬を各フロアで演出「株式会社キタムラ・ホールディングス」
「カメラのキタムラ」でおなじみの株式会社キタムラ・ホールディングスは、写真事業のルーツを活かした独創的なオフィスをデザインしました。
各フロアは、春夏秋冬をテーマに季節の移ろいを表現し、シャッターで切り取る物語が交差する様子を投影しています。また、メインエントランスのある15階では、フィルムカメラをモチーフとしたデザインを取り入れ、LEDビジョンでブランドストーリーを発信しています。ヴィンテージカメラの実物展示により、自社ブランドを効果的に演出している点も特徴です。
執務スペースは白と淡いグレーを基調とし、木材と布素材で温かみを演出。通常業務エリアと予約不要のタッチダウンスペースを組み合わせることで、多様な働き方に対応した機能的な空間を整備しています。
さらに、最新トレンドであるコラボレーションエリアも設置。普段から社員同士でリラックスして交流することも、ソロで仕事をすることもできるフレキシブルな設計になっていますが、デスクやソファを動かすことで大規模な会議やイベントも開催可能です。
事例の詳細はこちら:株式会社キタムラ・ホールディングス
不動産ショールームとして活用「ジェイアールセントラルビル株式会社」
ジェイアールセントラルビル株式会社は、駅ビル37階の眺望を最大限に活かしたオフィスを構築しています。訪れた人に「ここで働きたい」と感じてもらえるような空間づくりを目指し、遊び心を取り入れたデザインを導入しました。「第38回日経ニューオフィス賞 中部ニューオフィス奨励賞」も受賞しています。
窓面には、ファミレス風ブースや執務エリアなど多様なフリーアドレス席を設置。また、来客エリアには円形ベンチやカウンターを設けて、執務スペースとのメリハリを付けています。
白やベージュ、グレーを基調としたシンプルな配色と植栽が、ナチュラルで優しい空間を作り出しています。時間帯によって照明とBGMを変化させるなど、社員の心身の健康や快適性を重視している点もポイントです。
事例の詳細はこちら:ジェイアールセントラルビル株式会社
オープンな社風を体現「スペースシャワーSKIYAKIホールディングス株式会社」
スペースシャワーSKIYAKIホールディングス株式会社は、2社の経営統合を機に多様性と創造性を重視したオフィスを構築しました。渋谷のスクランブル交差点をイメージした「X-ing(クロッシング)」というコンセプトのもと、さまざまな部門が互いに刺激し合い、シナジーが生まれやすい空間を実現しています。
中央のガラス張りの大スタジオを介して視線が抜けるレイアウトは、開放感があります。また、内装は木材とコンクリート風モルタルを用いた無機質でモダンなデザインで、本物志向を表現している点も特徴です。柱の多い部分は倉庫エリアとすることで、スペースを有効活用しています。
事例の詳細はこちら:スペースシャワーSKIYAKIホールディングス株式会社
大規模拠点の創造「株式会社Grand Central」
株式会社 Grand Central は、東京と名古屋の2本社制へ移行する際に、中心拠点となるブランディングオフィスをデザインしました。企業ブランドを体現するために、ロゴマークの核となる「ゴールデンポイント」をオフィス全体に反映。高級感と洗練さを表す黒を基調とした内装に、壁面に企業コンセプトを体現する大型アートを施すことで、社員の帰属意識の向上も期待できます。
執務エリアは固定席制で、各席にWeb会議システム用機器を完備。独自の昼寝文化をふまえて、リクライニング可能なフリップフラップチェアを導入するなど、ブランディングと機能性を両立させています。
事例の詳細はこちら:株式会社Grand Central
従業員の快適さを追求「JFEミネラル株式会社」
JFEミネラル株式会社は、オフィスレイアウトの見直しやスペースの有効活用を目的として、本社改装プロジェクトを実施しました。事前に社員の意見をリサーチした上で、「Mineral Park」というコンセプトを掲げ、さまざまな部署の社員が自由に情報交換できる「憩いの場」のようなオフィス空間を構築しています。
ゾーンアドレス運用やアーチ型のデスクレイアウトは、コミュニケーションの促進につながっています。また、オープンミーティングスペースやリフレッシュエリア、集中エリアなど多様な空間を点在させることで、集中力アップや生産性の向上といった効果も期待できます。
事例の詳細はこちら:JFEミネラル株式会社
同プロジェクトに関しては、実際にオフィスの再構築に取り組んだ企業担当者のインタビュー記事も参考になります。旧オフィスの課題や社員からの意見をどのように新しいオフィスに反映したのか確認してみましょう。
インタビュー記事:WDPでコミュニケーションと愛着度を数値化。企業ビジョンとデータに沿ったオフィス改装とは。
新たな価値を生み出す研究拠点「株式会社ミルボン イノベーションセンター」
株式会社ミルボン イノベーションセンターは、オープンイノベーションを推進する研究拠点を新たに羽田イノベーションシティに構築しました。「HUMAN PORT LAB」をコンセプトとし、新たな価値を生み出すこの研究所プロジェクトは「日本空間デザイン賞2024 Shortlist」および「iF DESIGN AWARD2025」を受賞しています。
最先端研究を行う拠点として、ミニマムかつ清潔感のあるデザインに仕上がりました。また、白い壁とガラスをメインとする開放的な空間は、ステンレス鋼材を組み合わせて研究所らしさと先進性を表現している点も印象的です。
事例の詳細はこちら:株式会社ミルボン イノベーションセンター
日経ニューオフィス賞受賞「JFE商事株式会社」
JFE商事株式会社の大阪支社オフィスは、「つながり、つたわり、つらなるオフィス」をテーマとした新しいワークプレイスで、「第37回日経ニューオフィス賞 近畿ニューオフィス奨励賞」を受賞しました。
従来のグループ会社間の間仕切りを撤去し、エントランスから一周できる回廊を設置しています。足元にはスチールカラーを採用し、会議室名に鉄にまつわる元素記号を使用。壁面や机には鉄の素地材をあしらうなど、鉄鋼商社としてのアイデンティティを表現しつつ、遊び心が感じられる空間に仕上がっています。
また、WORK DESIGN PLATFORMによる分析データを基に、座席数や会議室を最適化し、多くのコミュニケーションスペースを確保。観葉植物を随所に配置することで、快適性を向上させています。
事例の詳細はこちら:JFE商事株式会社
ブランディングを加速させる「株式会社パラドックス」
株式会社パラドックスは、企業理念の実現とブランディング加速を目的とし、「志が共生する森」をコンセプトとした新オフィスを設計しました。社員1人ひとりを異なる1本の木として捉え、さまざまな植物が共存する森をイメージした空間に仕上がっています。
壁の撤廃やボーダーレスなゾーニングにより、コミュニケーションやアイデア創出の活性化を演出。また、自然由来の素材や家具を取り入れつつ、緑を積極的に配置することで、持続可能な自然空間を表現しています。
事例の詳細はこちら:株式会社パラドックス
緑との調和が落ち着く「旭化成エンジニアリング株式会社」
旭化成エンジニアリング株式会社は、コミュニケーションの活性化や生産性の向上を目指し、新しいオフィスプロジェクトを実施。フリーアドレスを導入し、働く場所を自由に選べる環境を整備しました。
中央に設置された「スマイルライン」と呼ばれる動線でエリアを区切ることで、集中とコミュニケーションのバランスを両立しています。また、リフレッシュエリアには植栽を配置し、自然と人が調和する開放的な空間を作り上げています。
事例の詳細はこちら:旭化成エンジニアリング株式会社
発展的かつ先進的「株式会社クレディセゾン」
株式会社クレディセゾンは、「OPEN LABO」というコンセプトのもと、従来の枠を超えた先進的なオフィス空間を構築しました。社員1人ひとりが活き活きと働ける柔軟な環境づくりを追求し、集中エリアとリフレッシュエリアを明確にゾーニングすることで、メリハリのある働き方をサポートしています。
また、コーポレートカラーの緑と青を壁や床などに取り入れ、企業が持つ信頼と革新のイメージを反映している点も特徴です。入居後はワークスタイルに変化が生まれ、日々の業務に応じてエリアの使い分けにより生産性と満足度の向上につながっています。
事例の詳細はこちら:株式会社クレディセゾン
創業50周年でリブランディング「株式会社新東通信」
創業50周年を迎えた株式会社新東通信では、事業拡大とグループ連携の強化に向けてオフィスのリブランディングを実施。コロナ禍で希薄になった対面コミュニケーションの再構築や、地域社会やビジネスパートナーとのつながり強化を目的として、オフィス環境の再整備に取り組みました。
社内外の交流を促すために、来客スペースや打ち合わせスペース、図書コーナーを設置しています。また、バルセロナ営業所にちなんだグエル公園風のキッチンカウンターや、壁に張り巡らされた植栽が、遊び心と活気のある空間を作り出しています。
事例の詳細はこちら:株式会社新東通信
”あこがれ”を感じさせる「株式会社ギフトホールディングス」
複数の人気ラーメン店を展開する株式会社ギフトホールディングスは、ブランディング強化とグローバル展開に向けて、「あこがれを感じさせる」新オフィスを整備しました。
エントランスから伸びるレッドカーペットのような通路は、社員には誇りを感じさせ、来訪者には歓迎の気持ちを表現する演出です。また、ラーメンの具材をモチーフにした会議室など、遊び心に溢れた空間づくりにより、創造的な会話の促進にもつながっています。執務エリアにはフリーアドレスを導入し、多様な働き方に対応できる環境を構築しています。
事例の詳細はこちら:株式会社ギフトホールディングス
交流とイノベーションを推進「株式会社LegalOn Technologies」
株式会社 LegalOn Technologies は、事業の拡大と人員増加に伴い、本社機能を拡張・集約した新オフィスを構築しました。部署を超えた交流とイノベーションの加速を目指し、偶発的なコミュニケーションを生む「アゴラ(広場)」や共用スペースを多く配置しています。
また、島型のレイアウトや眺望を活かした集中ブース・ソファ席・カウンターなど多様な席を設けて、自由度の高い働き方をサポートしています。白と木目を基調とした落ち着いたトーンで全体を統一しつつ、会議室名に契約書の用語を採用するなど独自の要素を取り入れている点も特徴です。
事例の詳細はこちら:株式会社LegalOn Technologies
新たな働き方を実験する「Axvircle株式会社」
Axvircle 株式会社は、「Expérience(エクスペリエンス:経験・実験)」をテーマに、既存の枠にとらわれない挑戦的なオフィス空間を構築しました。ラウンジと執務エリアの間にはガラス壁を設けて、視線の抜けを確保することで、開放感と眺望を楽しめるレイアウトになっています。
また、グループ会社との共用オフィスとして機能させるために、緩やかにエリアをつなげることで自然なコミュニケーションの促進を図っています。ジュエリーブランドとしての世界観を反映し、虹色に輝くダイヤモンドを彷彿とさせる素材やカラーを取り入れて、洗練された雰囲気を演出している点もポイントです。
事例の詳細はこちら:Axvircle株式会社
視界を切り開く開放感「ブロードマインド株式会社」
ブロードマインド株式会社は、人員増加とリブランディングを機に、閉鎖的だった従来のオフィスを一新。社員の声をヒアリングして、開放感とつながりを重視したオフィスに生まれ変わりました。
執務エリアは回遊性のあるレイアウトで、内側には集中ブースとしてのデスク、外側はフレキシブルなミーティングスペースを配置。社員同士の自然なコミュニケーションが生まれやすい環境に仕上がっています。
事例の詳細はこちら:ブロードマインド株式会社
交流を生むライブラリー「きわみホールディングス株式会社」
きわみホールディングス株式会社は、東京ミッドタウン八重洲への移転に伴い、「人が集い、交流が生まれる場」としての新オフィスをデザインしました。コンセプトは「KIWAMI TERRACE」で、オフィス区画全体をテラスに見立てた設計です。
中央には、本棚に囲まれたカフェ風ライブラリーを配置。社内外の交流を促すだけでなく、多様なアクティビティスペースとしても活用されています。また、来客スペースや執務エリアは明るく開放的な雰囲気で、社員が明るく、誇りを持って働ける環境が整備されました。
事例の詳細はこちら:きわみホールディングス株式会社
宇宙船で旅する「Aiロボティクス株式会社」
Aiロボティクス株式会社は、「未知の宇宙を旅するようなワクワク感」をテーマとし、六本木ヒルズの高層階に宇宙船のようなオフィス空間を構築しました。
白い内装に変色ライティングが映えるエントランスは、未来への出発を感じさせる演出です。また、会議室は部屋ごとに異なる宇宙の世界観を表現することで、訪れる人に驚きを与え、想像力を刺激します。執務エリアは従来の固定席を活かしつつ、オン・オフを切り替えやすいように、ワークスペースとフリースペースを柔らかく区切り、快適で集中しやすい環境を実現しています。
事例の詳細はこちら:Aiロボティクス株式会社
オフィスデザイン・レイアウトにこだわるメリット
デザインやレイアウトにこだわったオフィスの設計・構築により、多くのメリットが期待できます。ここでは、以下3つの項目について解説します。
・生産性の向上
・社内コミュニケーションの活性化
・企業ブランディングの強化
見た目が良くなるという外観的なメリット以上の効果が期待できます。
生産性の向上
快適なオフィスは、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めやすく、生産性の向上に貢献します。業務と休憩のメリハリをつけやすいレイアウトを構築することで、仕事に集中しやすくなり、業務効率の向上も期待できます。
例えば、個室ブースやパーテーションのある集中スペース、リフレッシュ用のカフェスペースなどによって、メリハリある働き方を促します。また、観葉植物や温かみのある照明を活用すれば、社員同士の交流が活発化するとともに、新しいアイデアの創出も生まれやすくなるでしょう。
社内コミュニケーションの活性化
オフィスのデザインは、社内コミュニケーションを促す重要な役割を果たします。具体的には、オープンなミーティングスペースや、リラックスできる休憩エリアを設けることで、部門間の垣根を越えて自然に会話が発生しやすくなります。
また、人の流れを意識したレイアウトによって、偶発的なやり取りや情報共有の促進にもつながります。社員同士の交流が活性化されれば、日々の業務が円滑に進むだけでなく、新たなアイデアを生むきっかけになり、問題の早期解決やイノベーションにも寄与するでしょう。
加えて、社員同士の関係性を深めることができ、チームワークの強化や定着率の向上といった効果も期待できます。
企業ブランディングの強化
オフィスのデザインは、企業ブランディングにも直結します。デザイン性と機能性を兼ね備えたオフィスを構築することで、オフィス空間そのものが企業のミッションや価値観を明確に伝える「広報」として機能します。
例えば、洗練されたエントランスや応接室は、取引先や顧客に先進的で信頼できる印象を与えます。また、コーポレートカラーやロゴモチーフを取り入れることで、企業ブランドを自然にアピールすることが可能です。
加えて、おしゃれなオフィスで働けることは、採用活動においてもプラスに働きます。快適に働ける洗練された職場環境を構築すれば、優秀な人材の確保にもつながります。
オフィスデザインは、社外に向けた「アウターブランディング」と、社員の帰属意識を高める「インナーブランディング」の両面で、企業の魅力を自然に発信するツールといえるでしょう。
オフィスの内装づくりで重要な要素
オフィスの内装づくりでは、以下の要素について適切に整備することが重要です。
・照明
・動線
・空気環境
・音環境
・カラー
各項目のポイントを詳しく解説します。
照明
オフィスの照明は、作業効率や快適性に加え、空間の印象や社員の健康にも影響を与えます。利用者や業務内容に応じた明るさや光の色を選ぶことで、集中しやすい環境やリラックスできる空間を構築できます。
具体的には、執務スペースには昼白色の照明を、休憩エリアには電球色など温かみのある照明を設置すると、メリハリが生まれます。また、照明選びによって洗練された空間を演出することも可能です。ただし、内装との調和や年齢による光の感じ方の違い、配線器具との相性なども考慮する必要があります。
動線
業務中のストレスや無駄な動きを軽減するためにも、オフィス内をスムーズに移動できるように動線を設計する必要があります。移動のしやすさは、日々の業務効率や社内コミュニケーションにも影響します。
余計なパーティションを撤去して適切な通路幅を確保するとともに、メインとサブの動線を分けるなど、ストレスなく移動できるよう設計することが重要です。
また、近年は部署間を越えた交流を促す「コミュニケーション動線」が注目されています。ジグザグや回遊型のレイアウトを取り入れることで、偶発的なやり取りや立ち話により、他部署との円滑な連携を促進します。
さらに、コピー機やロッカーなどの設備の配置や、通りがかりに人が集まれるマグネットスペースといった工夫も、オフィス全体の活気を生み出すでしょう。
空気環境
オフィスの空気環境は、社員の集中力や生産性だけでなく、心身の健康にも影響を与えます。一般的に、オフィスの室温は25℃前後、湿度は40〜60%が理想的とされており、温度や湿度を一定に保つことで快適に働ける空間を構築できます。
例えば、個別空調の導入やサーキュレーターを活用して、空気の循環と温度のムラを解消しましょう。また、コロナ禍を経て換気の重要性が高まっており、定期的な窓の開閉や換気扇の活用も必要です。
空気清浄機や消臭剤を設置することで、オフィス内のニオイ対策やスメルハラスメントの防止にもつながります。加えて、観葉植物の配置により、湿度調整や空気の浄化に役立つ上、自然な快適さを演出できます。
空気の質が下がると、思考力の低下や疲労感の増加につながりやすいため、清潔な空気を保つ工夫を取り入れることが大切です。
音環境
オフィスでは、音への配慮が欠かせません。外部からの騒音対策はもちろん、社内の音漏れや反響を抑えることは、業務効率やセキュリティの観点からも重要です。会議室や応接室、社長室など、特に防音性が求められるスペースは、吸音パネルや防音カーテン、サウンドマスキングなどを導入して、反響音や雑音を軽減する必要があります。
また、Web会議が主流となっている現在、クリアな音声でやり取りできるかどうかは生産性にも直結するため、防音対策とともに設備の機能性も事前に確認しておくと安心です。適度な環境音や自然音を取り入れることで、集中力やリラックス効果の向上が期待できるでしょう。
関連記事:オフィスにおける防音対策の重要性・対策方法をわかりやすく解説
カラー
オフィスの色使いは、空間の印象を左右するだけでなく、企業ブランディングや働きやすさにも影響します。コーポレートカラーを取り入れることで、来訪者に企業の理念やイメージを自然に伝えられます。
また、色の心理的な効果を活かし、スペースの用途や目的に応じて色を使い分けると効果的です。例えば、集中力を高める青を執務エリアに、リラックス効果を与える緑は休憩スペースに取り入れるといった方法です。
床や壁、家具でゾーニングすれば、仕切りがなくても空間の役割を直感的に認識させることが可能です。複数の色を使う場合、「ベースカラー」「メインカラー」「アクセントカラー」という3つの配分に配慮すると、心地よい色彩バランスを実現できるでしょう。
【参考】オフィスづくりで取り入れたい工夫・アイデア
おしゃれで快適に働けるオフィスを作るために、以下のような工夫やアイデアが参考になります。
・ファミレス席
・フリーアドレス席
・カフェブース
・リフレッシュスペース(休憩スペース)
・タッチダウンスペース
・個室ブース
・ライブラリー
・オフィスグリーン
全て取り入れる必要はありませんが、複数取り入れることでより働きやすいオフィスになるでしょう。
ファミレス席
ファミレス席とは、向かい合うソファとテーブルで構成されたミーティングスペースで、ファミレスのソファ席のような座席のことです。空いていればすぐ使える気軽さと親しみやすさがあり、ちょっとした打ち合わせや1人での作業、来客対応など柔軟に活用できます。
また、オープンなスペースで自然な会話が生まれやすく、社員同士の交流や情報共有の促進にもつながります。パネル付きソファやブース型のレイアウトを活用することで、周囲の視線や雑音を程よく遮れるため、緩やかな空間の区分が可能です。
フリーアドレス席
フリーアドレス席とは、固定席を持たず、業務内容や気分に応じて社員が好きな席を自由に選んで働く座席のことです。働き方の多様化やリモートワークとの併用が進む中、柔軟な働き方を実現するための仕組みとして注目されており、導入する企業も増加しています。
フリーアドレスを導入することで、快適に働けるだけでなく、部門や職種を越えたコミュニケーションが生まれやすくなります。また、日々の席の変化により、偶発的に会話が発生し、アイデアの共有やチーム間の連携が促される効果も期待できます。
さらに、オフィス内の稼働率を最適化しやすく、限られたスペースの有効活用にもつながるでしょう。導入時には、私物の保管や席選びの負担といった課題も想定されるため、個人ロッカーの設置や予約システムの導入など運用ルールを整備することが重要です。
フリーアドレス席の詳細や導入事例は、下記記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
関連記事:フリーアドレスとは?メリット・デメリットから失敗を防ぐ方法、事例まで紹介
カフェブース
ドリンクバーやコーヒーマシンを設置したカフェブースは、オフィスにリラックスと交流の場をもたらす空間アイデアです。まるでカフェのようにゆったりと過ごせる環境を整えることで気分転換ができ、集中力の向上やストレス解消といった効果が期待できます。
また、社員同士が自然に集まれる場所があれば、部署を越えた交流や雑談から新たなアイデアが生まれることも考えられます。
リフレッシュスペース(休憩スペース)
リフレッシュスペース(休憩スペース)は、社員が一時的に業務から離れて心身を整えるための空間です。出社する価値を高めるオフィスづくりの一環として、リフレッシュスペースを充実させる企業も増えています。
また、カジュアルなミーティングや雑談にも活用できる多目的スペースとして設計されることが多く、自社らしさを演出できる点も特徴です。例えば、小上がりや仮眠室、ゲームコーナー、フィットネスエリアなど多様なスタイルが採用されています。
適切なレイアウトで配置し、視線や音への配慮を行うことで、社員の満足度やエンゲージメントの向上が期待できます。
タッチダウンスペース
タッチダウンスペースとは、外出先から戻った社員や出張中のスタッフが、一時的に作業するためのワークエリアです。部署を越えた自然なコミュニケーションや情報共有を促進でき、空きスペースの有効活用としてもおすすめです。
エントランス付近や通路沿いなど人が行き交う場所に配置すると、利用率が高まり、社内の情報共有やチーム連携の活性化にもつながります。
タッチダウンオフィスについて、詳しくは下記記事をご覧ください。
関連記事:タッチダウンオフィス(スペース)とは?導入のメリットと活用方法
個室ブース
テレワークの普及やWeb会議の増加により、個室ブースのニーズが高まっています。周囲の視線や音を遮る個室ブースは、社員が集中して業務に取り組める上、機密性の高い会話や打ち合わせにも対応可能です。
また、1人用の他に、複数人が利用できるタイプなど用途に応じて柔軟に設計できます。オフィスの多機能化にも役立ちますが、運営時には公平な利用を促すために予約ルールを整備する必要があります。
ライブラリー
オフィスのライブラリースペースは、読書や学びの目的だけでなく、リラックスや交流を促す場としても活用できます。選書や本棚、空間のデザインにこだわることで、企業カルチャーを体現するブランディングとして機能させることも可能です。
本をきっかけに生まれる会話は、コミュニケーションの活性化や新たなアイデアの創出にもつながります。快適に過ごせるライブラリーが出社の動機となり、従業員エンゲージメントの向上にもつながるでしょう。
オフィスグリーン
オフィスグリーンのように自然を感じられる要素があることで、目の疲れやストレスが和らぎ、気分転換や集中力の回復に効果的です。また、乾燥対策にも役立つため、健康経営の一環としても有用です。インテリアとしても映えるグリーンは開放感を演出でき、来客時の印象もアップするでしょう。
お手入れが不安な場合は、日陰でも育ちやすく、葉が落ちにくい品種や成長の遅い植物を選べば手間を軽減できます。フェイクグリーンを活用すれば、管理の負担を大幅に軽減しつつ、本物の植物に近い視覚的効果が期待できます。
まとめ
心地よく過ごせるおしゃれなオフィス空間を構築するためには、照明や動線、音環境など各要素をバランスよく考慮することが重要です。今回紹介した最新のオフィス構築事例や、限られたスペースを有効活用するためのアイデア・工夫は、自社オフィスの見直しやリニューアルを検討する際のヒントになるでしょう。
デザイン性と機能性を両立し、柔軟な働き方を可能にする最適なオフィスを作るには、実績の豊富なプロに相談するとスムーズです。
ヴィスは、空間づくりにおける知見を用いて、オフィスづくりにとどまらず、企業のニーズに合わせて「はたらく」を包括的に考慮したワークデザインを提供しています。ワークデザイン、オフィスデザイン、オフィス移転・改装・設計についてのお悩みは、お気軽にお問い合わせください。