データ分析を働く環境作りの原動力に。 数値化から始まった「フェイラー」の世界観を体現するオフィスプロジェクト

ドイツを代表する高級織物ブランド「フェイラー」の輸入・企画・販売を行うフェイラージャパン株式会社。2018年度の分社化による組織体制の変更をきっかけに、働く環境の整備とブランド力強化の両面からオフィスを見直すこととなりました。コロナ禍における働き方の変化を経て取り組んだオフィスプロジェクトについて、データ活用の観点から取締役の宮﨑様と総務人事部ディレクターの庄司様にインタビューを行いました。
取材対象:フェイラージャパン株式会社 取締役 宮﨑様 総務人事部ディレクター 庄司様

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企業ブランドにふさわしいオフィスの追求

──オフィスを見直すことになったきっかけを教えてください。

きっかけは、実はコロナ禍以前にさかのぼります。2018年度の分社化にともない、人員構成が大きく変わり、「今のオフィスをどうするか?」という課題が浮上しました。2019年頃からは他社のセミナーに参加するなどの情報収集を始めていましたが、コロナ禍に突入したこともあり、出社率は低く、各社がオフィス縮小や分散化を進めるような状況になっていました。

そんな中で「我々も働き方を再考しよう」という動きが生まれます。さらに2022年以降は、業績回復も順調に進み、会社は右肩上がりの成長ステージへ向かう勢いがありました。リブランディングも行い、若い世代からの支持を獲得する中で、「旧来型のオフィスで良いのか?」という課題意識が高まっていきました。こうした背景から、アフターコロナの新しい働き方を見据えたオフィス改革が本格的に動きだしました。

──プロジェクト前に抱えていた課題について教えてください。

課題は大きく二つありました。

まずひとつ目は、ブランドイメージとの乖離です。リブランディングで会社の世界観が刷新されましたが、従来型のオフィスはそのイメージを反映できていませんでした。社員からも「ブランドにふさわしい環境で働きたい」という声が集まっていました。

ふたつ目は、コミュニケーション不足と縦割り文化です。業務がバリューチェーンで流れる中、それぞれの組織で役割が明確化されているため、業務が縦割りになりやすく、部門間の横連携が生まれにくい状況でした。島型のデスクレイアウトもその要因のひとつであり、フリーアドレス化などの仕組みで改善したいという想いがありましたね。

現状把握をきっかけに動き出したオフィスプロジェクト

──フェイラージャパン様には、『WORK DESIGN PLATFORM』の前身サービスである『wit』と、『WORK DESIGN PLATFORM』内のワークデザインサーベイの両方をご利用いただきました。どのような背景で導入いただいたのでしょうか。

課題は定性的なものが多く、オフィスの課題を経営会議で伝えようにも「コミュニケーションを取りづらい」という感覚だけでは説得力が弱いと感じていました。そこで、witで現状を数値化し、客観的なデータとして提示するためにサービスを導入しました。

また、ワークデザインサーベイは、図面がある程度決まった状態で実施したので、設計に活かすためにというよりは、現状把握が主な目的でした。移転前に数値を取っておかないと後から比較することはできないので、プロジェクトを定量的に評価するなら移転の前後でサーベイを実施することが重要だと考えていました。

──サーベイの結果はどのように活かされましたか。

空間分析や稼働分析、各種シミュレーションといった現状把握を行って数値化したデータを提示することで、「なんとなくオフィスを変えよう」という提案から、ファクトに基づいた具体的な計画にシフトチェンジしていけたと感じています。会社としても移転や改装は大きな出来事なので、オフィスプロジェクトを進める上で判断材料は必要ですね。

また、サーベイの結果ではコミュニケーションの仕組み作りに改善の余地があったので、コミュニケーションエリアを意識的にしっかり作り込んでいきました。床の高さを上げてワークエリアと雰囲気を画したのも、リフレッシュの場所として強調する意図がありました。壁位置が決まった後でもこのひと工夫はできましたね。

──実際に空間分析や稼働分析を実施した感想を教えてください。

結果を見て腑に落ちたというか、日頃感じていることの裏付けになりましたね。空間分析のデータを見ると、執務デスクが続く空間に対して、コミュニケーションエリアが全体の1%しかなく、「これじゃあコミュニケーションが活性化されないよね」と客観的に現状を把握できました。また、稼働分析を行うことで、部署ごとの出社率のばらつきを定量的に可視化できたことは、大きな成果でした。

──サーベイについての感想はいかがでしょうか。

率直に、スコアが全体的に上がったことが嬉しかったです。プロジェクトメンバーにとっても、移転プロジェクトをやってよかったという実感につながりました。元の状態よりスコアが下がることはないだろうとは思いつつも、予想以上に上がったことは非常にポジティブに受け入れられましたね。結果を受けて、プロジェクトメンバーが「もっとオフィスを良くしていこう」と更にやる気を出してくれていて、移転して満足するのではなく「次は何しよう」という議論にも発展しています。

ただ一方で、移転するだけでは変わらないこともあるという気づきも得ました。これはカルチャーを今後どう変えていくかといった、長期的な目線での議論につながっています。

人とオフィスの相乗効果

──ご移転後、社内に変化はありましたか。

印象的なところでいうと、社員同士の挨拶の回数が増えましたね。自然と人が交差する動線になったからか、ロッカーに行く、エリアを移動するという動きにともなって、偶発的なコミュニケーションが生まれるようになりました。シンプルなことですが社員の距離が縮まったと感じています。

逆に、意外と変化がなかったこともありました。移転を機に、個人キャビネットを廃止することに対して一部から不満の声が上がっていたのですが、移転してみたら案外不満の声は聞かないんですよね。そしてサーベイ結果を見ても、「不足を感じる場所」としての数値は横ばいなんです。運用方法が変わっても慣れることができるという気づきを得ました。

──今後取り組んでいきたいことを教えてください。

新しく検討していることとして、リフレッシュエリアでのランチ会やバーイベントがあります。開催してほしい時間帯についての意見は社員によって昼・夜と分かれていますが、「まずはいったんトライしてみよう」という風潮が出来つつあります。また、年末には毎年納会を行ってきましたが、年に一度のイベントというハードルを下げて、ライトに参加できるイベントを定期的に実施したいですね。社内イベントで仲良くなった社員同士が、業務中にも話しやすくなるという相乗効果に期待できるだろうと考えています。

今後の課題としては、グループアドレスの運用改善について取り組んでいきたいですね。グループごとに交流が固定化してしまいがちなので、業務効率の確保とコミュニケーションの活性化のバランスを見ながらちょうどいいルールを模索しているところです。

──ワークデザインサーベイを検討している企業へメッセージをお願いします。

どんな議論を行うよりも、まずは自分たちの働き方を数値化してみることが一番納得しやすいと思います。数値化してみて、その結果をどう受け止めるかはあとで決めてもいいと思います。

オフィスの改革は、絶対に今日明日にでも、取り組まないといけないという理由はありません。ただ、どこかで定量化して向き合うことは大切で、そのタイミングを一念発起のきっかけにするのは良いと思います。

『WORK DESIGN PLATFORM』は現状を変える原動力になります。

最後に

どのようなビジネスにおいても、「なんとなく」で進めることは大きなリスクを伴います。オフィスリニューアルも例外ではなく、「なんとなくこんな課題がある」という曖昧な認識では、プロジェクトの成功は望めません。さらに、オフィスリニューアルには多額の投資が伴います。だからこそ、フェイラージャパン様のように、実行に向けた社内説得や意思決定の裏付けとなる客観的な材料が重要になります。

また、リニューアルの前後で定量的な調査を実施することで、これまで効果が可視化しづらかったオフィスリニューアルにおいても、効果検証や費用対効果の把握が可能になります。加えて、調査を定期的に行うことで、課題の変化を捉えながら、より良い環境づくりに向けた改善サイクルを継続的に回していくことができます。

フェイラージャパン様においても、すでに新たな課題が見え始めています。今後もその解決に向けて、引き続き伴走させていただけたらと思います。

お忙しい中インタビューにご協力いただきました宮﨑様、庄司様に心より感謝申し上げます。

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株式会社ヴィスは、『はたらく人々を幸せに。』というパーパスのもと、働く場を設計する「ワークプレイスデザイン」と、そこで生まれる体験を設計する「エクスペリエンスデザイン」という二つのアプローチを通して『ワークデザイン』を実現し、人と組織のエンゲージメントを高めながら、企業価値の持続的な向上に貢献します。
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