今後の働き方を見据えたプロジェクト

──オフィスを見直すことになった背景を教えてください。
ヴィスさんとは、オフィス改装の背景や課題を共有するところからお付き合いが始まりました。従来は、什器メーカーとレイアウトを組むようなやり方でしたが、今回はヴィスさんの提案でデザインやコンセプトを取り入れたオフィスづくりを検討しました。座席の固定化や在宅勤務の浸透によるコミュニケーションの希薄化などを受け、今後の働き方に合わせた環境へ変えていく必要性を感じていたのです。
また、社員からも「固定化された座席を見直してほしい」という声が上がっており、課題が顕在化していたというより、先を見据えた取り組みとして始めたのが本プロジェクトでした。
データを活用し実現した自律と協働
──サーベイの導入に対する社内の反応はいかがでしたか?
すでに大阪オフィスでオリジナルのサーベイを行っていたため、抵抗感は全くありませんでした。むしろ定量的なデータに基づいて判断する文化が根付いているので、ヴィスさんの『WORK DESIGN PLATFORM』も自然に受け入れられました。東京オフィスでは毎日出社する社員もいれば、週に数回のみという人もおり、さまざまな働き方の実態を反映できたことが価値ある点だったと思います。
──サーベイの結果を受けて、どのようにオフィス作りを進めましたか?
魅力・愛着のスコアが低かったので、愛着を持てるような「出社したくなるオフィス」作りを心掛けました。
ゾーニングを検討する際は、「入ってすぐにコミュニケーションエリアがある構成」を重視しました。空間を通じて会社の方向性を感じられるようにしたかったのです。また「自律と協働」をテーマに、社員が「今日はここで働こう」と自ら選択できる環境づくりを意識しました。
在宅勤務は許可制としていますが、強制的なルールは設けず、社員の自律性を尊重。対面コミュニケーションの重要性は社内でも共有されており、特にメンタル面のケアやチームの状況把握が必要という考えがありました。結果として、出社することが義務ではなく「来たいから来る」オフィスが実現しました。

──プロジェクトを終えて、反響はありましたか?
リニューアル後は、集中ブースの人気が非常に高く、予約で常に埋まっています。集中ブースを多く設けたことにより、集中したい時に自宅よりもオフィスを選ぶ社員が増え、出社のきっかけにもなっているようです。中央のコミュニケーションエリアでは、自然と人が集まり、オープンミーティングや雑談が活発に行われています。

また、全体的に落ち着いたトーンの空間も社員に好評です。以前は固定席だったメンバーも、フリーアドレス化を受け入れ、柔軟な働き方が浸透しつつあります。
──プロジェクト前後でサーベイを行ったことにより、どのような効果がありましたか?
改装後のサーベイでは「魅力・愛着」のスコアが特に向上し、社員に愛されるオフィスをつくることができたと実感しました。
プロジェクトの成功を客観的に評価するという点においても、やはりビフォー・アフターでサーベイを実施してよかったと思います。あまりスコアが上昇していない項目については、今後継続してオフィス改善に取り組むためにも分析を続けていきます。
良かった点、悪かった点の両面から働き方の現状分析を行えるのは、前後でサーベイを行うことのメリットですね。

──今後の取り組みについて教えてください。
今回のリニューアルではミーティングエリアに着手しなかったので、どう拡充していくかを次の課題として取り組んでいきたいです。また、社員が気軽に利用できるような、本社近くのサテライト拠点を設けることも検討しています。
──ワークデザインサーベイを検討している企業へメッセージをお願いします。
サーベイを使うことを目的にせず、オフィスを変える目的を果たせたかどうかを可視化することに意味があると考えています。
自分たちの行った施策が本当に良かったのか、プロジェクトの前後で効果測定をしなければ、感覚でしかわからないのではないでしょうか。
オフィスのリニューアルが片手落ちにならないためにも、数値から分析することは非常に重要だと思います。
最後に
今回、プロジェクトの前後でサーベイを実施したことで、投資効果を定量的に可視化することができました。
結果として、「魅力・愛着」のスコアが大きく上昇。「自律と協働」をテーマに掲げてきた中で、このスコアの向上は、社員が自然とオフィスに足を運びたくなり、対面でのコミュニケーションが活発化するという好循環につながっています。
一方で、今後スコアの向上が期待される項目や、維持していくべきポイントも明らかになりました。これらの結果は、移転後オフィスの運用・改善を進めていく上での重要な指針となります。
これからも、鈴与シンワート様の「はたらく」に寄り添う良きパートナーとして、共により良い環境づくりを支えていければと思います。
お忙しい中、インタビューを受けていただいた大川様、石川様には、心より感謝申し上げます。