ユニバーサルレイアウトの特徴とは。事例をもとに導入時のポイントを解説

オフィスの「席」のレイアウトといえば、いわゆる「島型対向レイアウト」をイメージする方も多いのではないでしょうか。島型対向レイアウトは、部や課の責任者が全体を見渡せる位置の席につく形式です。 近年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、オフィスの席のレイアウトが変化しています。 今回は、ユニバーサルレイアウトを導入するときのポイントとともに、メリットや注意すべき点、取り入れるコツを解説します。

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汎用性の高い「ユニバーサルレイアウト」

ユニバーサルレイアウトとは、デスクやイスを均一に配置するレイアウトです。社員の役職や業務の違いが席配置に反映されないため、どの社員でも好きな席を使用できます。

日本企業では長い間、「島型対向レイアウト」が主流でしたが、近年では「ユニバーサルレイアウト」が広がり、「個室+オープンスペース」を採用する企業も多くなっています。ここでは、ユニバーサルレイアウトの特徴やフリーアドレスとの違いを解説します。

デスク配置を均一にするのが特徴

ユニバーサルレイアウトの特徴は、責任者の席がなく、横並びの席になっていることです。

一方、「島型対向レイアウト」は部署やチーム「机の島」を作り、責任者が全体を見渡せる位置にいるデスク配置のことです。プライバシー意識が高まるメリットがありますが、他部署とのコミュニケーションがとりづらくなる可能性も考慮する必要があります。さらに机移動の際、電話線の入れ替えやレイアウト変更に時間がかかるというデメリットもあります。

ユニバーサルレイアウトを導入すると、席を横並びにすることで無駄なスペースをなくし、什器の統一でコストダウンも期待できます。さらに組織変更の際も席替えスタイルであるため、席移動の手間を最小限に抑えられるのも嬉しいポイント。また、紙の書類などを減らし文書管理システムなどで保管すれば、さらなるコストカットが見込めます。

メリットの多いユニバーサルレイアウトの注意点は、個人のプライバシーの確保が困難になることです。個人用の収納をなくし、共有の書庫を社員全員で使うスタイルが主流です。

フリーアドレスとの違い

ユニバーサルレイアウトは、「デスクの並べ方」を指し、フリーアドレスは「オフィスの運用方法」を意味します。具体的な違いは、下記の通りです。

ユニバーサルレイアウト(デスクの並べ方)

・デスクの数や配置を横並びにして「均一」にするレイアウト

・組織変更や人員増加に伴うレイアウト変更がしやすい

・時間やコストの削減が可能

フリーアドレス(運用方法)

・一人ひとりの机が用意されていない

・席を固定せず自由に席を選べる運用方法で、グループ作業や個人作業も好きなデスクでできる

・ソーシャルディスタンスが確保できる

ユニバーサルレイアウトでも、席を固定しなければフリーアドレスとして運用することも可能です。それぞれの特徴を理解して、会社に合うレイアウトを選ぶようにしましょう。

フリーアドレスの運用方法については、以下の記事で解説しています。

フリーアドレスオフィスのルールとは?スムーズな運用に必要なこと

ユニバーサルレイアウトは流動性の高いオフィスにおすすめ

組織変更が多かったり、他部署と連携する業務が多かったりなど、企業では、ユニバーサルレイアウトを採用するのがおすすめです。ここでは、ユニバーサルレイアウトをおすすめする理由を3つ解説します。

レイアウトを変更する必要がない

ユニバーサルレイアウトは、急な組織変更や働き方の変化に対応しやすいのが特徴です。社員が移動するだけの席替えスタイルなので、身の回りの物だけを移動させれば良く、時間やコストも削減できます。

備品・私物の管理がしやすい

備品や私物の管理にかかる手間も削減できるのが、ユニバーサルレイアウトです。同じデザインのデスクや椅子を使うため、補充しやすいメリットもあります。

キャスター付きのサイドワゴンやキャビネットを使用すれば、私物を管理しやすくなります。本体の移動のみで済むため、時間の短縮にもつながるのです。

他部署とのコミュニケーションが円滑になりやすい

部署ごとに座席が区切られていないので、配置を柔軟に変更できます。例えば、プロジェクトに応じた座席配置にすることで、生産性の向上が期待できます。「今月は○○課のプロジェクトと一緒だから隣の席にしよう」といったように、業務に応じて環境を変えられるため、他部署との連携が取りやすくなります。

チームの一体感が生まれにくい課題もある

ユニバーサルレイアウトを導入する際の注意点は、チームの一体感が生まれにくくなる可能性があることです。例えば、以下のような環境に不便さを感じる場合がないか、十分に検討してみましょう。

・部署ごとに区切られていない

・役職の席が作れない

ユニバーサルレイアウトは、誰がどの部署に所属しているか分かりづらく、マネジメントが難しくなる可能性を考慮しておきましょう。

同じ部署でも席が離れている場合では、島型対向レイアウトのようにチームメンバーとすぐにコミュニケーションが取れなくなることも。例えば急な打ち合わせを必要とするとき、チームメンバーを探して相手の席まで移動するといったシーンが想定されます。

部署や業務内容によっては、スムーズにコミュニケーションが取れないことで、運用後に業務効率が悪くなるケースがあるのも事実。これらを改善するために「日ごろからコミュニケーションをとる」「他に打ち合わせを行う場所を確保する」といった対策が必要です。

導入事例からみる!ユニバーサルレイアウトを取り入れるコツ

ここでは、ユニバーサルレイアウトを取り入れるときのコツを2つ紹介します。デザインプランをイメージしやすいように、導入事例を踏まえて解説します。

オフィス家具は同じデザインに統一する

デスクや椅子は、可能であれば同じデザインに統一するのがおすすめです。誰が使っても同じ作業環境を維持できるのに加え、キャスター付き収納を使用すれば移動もスムーズです。

某ガス会社のオフィスで、某オフィス家具メーカーの商品を活用した事例では、大型の長机を複数人で使用することで全体的にデザインを統一しつつ、椅子のみ3色展開しています。

赤・オレンジ・グリーンの椅子がオフィスを明るい雰囲気にまとめ、活気づく印象のオフィスに仕上がっています。各社員の荷物は移動可能なワゴンに収納できるため、席替え時はワゴンのみを移動させれば済む手軽さがポイントです。

ミーティングスペースを設ける

ユニバーサルレイアウトにする場合は、デスクから近い位置に「ミーティングスペース」を設けるのもおすすめです。某ガス会社の事例では、リフレッシュスペースやミーティングスペースを異なるテイストのオフィス家具でまとめ、空間の雰囲気にメリハリをつけています。

島型対向式レイアウトのようにまとまっていれば、着席したまま緊急のミーティング対応も可能です。一方、あまりにもメンバー同士の席が離れていると、スムーズなミーティングが難しくなることも。あらかじめ専用のミーティングスペースを確保しておくことで誰の席に集まるか決める手間もなく、スムーズにミーティングを始められます。

そのほか、オフィスレイアウトの変更は、事前に社員の理解を得ておくことが大切です。業務上、使い勝手が悪くなるようであれば、レイアウト変更時に考慮する必要があります。

オフィスレイアウトにはさまざまな種類がありますが、導入する際にはメリット・デメリットを考えておくことが大切です。明確な目的がある場合には、それに応じたレイアウトを採用しましょう。

オフィスレイアウトについてお悩みの方は、ヴィスへご相談ください。ワークデザインカンパニーとして、企業理念やカルチャーに適した働きやすい環境づくりをお手伝いします。

まとめ

今回はユニバーサルレイアウトについて解説しました。今まで主流だった「島型対向レイアウト」から「ユニバーサルレイアウト」に移行することで様々なメリットを得ることができます。

ただし注意点として、部署ごとに区切られていない場合や、役職の席が作れない状況は、コミュニケーションや部署の管理がしにくいケースもあります。ユニバーサルレイアウトにすることで直面するメリットやデメリットを理解し、社員の意見をしっかりと反映させることが良い職場作りのポイントです。