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オフィスのレイアウトを手軽に変更できる家具の1つに、パーテーションがあります。パーテーションは高さや素材、機能などの種類が豊富で、用途や目的に合わせて取り入れることで、快適なオフィス環境づくりを後押しします。
本記事では、オフィスのパーテーションの種類やメリット、選び方や注意点などについて解説します。パーテーションを設置するために必要な基本情報を網羅していますので、ぜひご覧ください。
パーテーション(パーティション)とは
「パーテーション(Partition)」とは、英語で物や空間を仕切ること、または分割するための構造物を指す単語で、日本語では間仕切りの意味で使われます。正式表記は「パーティション」ですが、「パーテーション」の表記で浸透しています。
建物や部屋の内部を仕切る役割という視点で見れば、壁や家具、カーテンなどもパーテーションといえます。完全に独立した部屋を作るのか、あるいは目隠し程度に仕切りを設置するのかなど、目的によって適した種類や配置が変わります。
オフィスパーテーションの使用用途
オフィスパーテーションは、空間を区切ることが主な用途ですが、細かく分けると次のような使用用途が考えられます。
- 社員用の集中ブースを設ける
- 遮音性の高い応接室や会議室を作る
- エントランススペースを設ける
- 部署ごとのエリアを区切る
- リフレッシュエリアや休憩スペースを作る
パーテーションを使うことで、オフィス移転や大掛かりな工事を行うことなく、実用的なオフィス空間の構築が可能になります。
パーテーションの種類
パーテーションの種類は、高さや素材、機能などによって分けられます。パーテーションの種類は非常に多いため、初めて選ぶときは迷ってしまう方も少なくありません。
この章では、「高さ」「素材」「機能」の3つの要素からパーテーションを分類し、それぞれの主な用途と特徴をまとめます。おおまかに全体像をつかみ、パーテーション選びの参考にしてみてください。
1.高さによる分類
パーテーションの高さによる分類では、主に「ハイパーテーション」と「ローパーテーション」の2種類に分けられます。それぞれの概要や特徴について解説します。
ハイパーテーション(欄間オープン・クローズ型)
ハイパーテーションとは、パネルや仕切りの枠組みが天井まで届く高さの間仕切りです。床から天井までの壁ができるため、デザイン性や機能性に富んだ空間を作りたい場合に向いています。
パーテーションと天井の間の開口部分は「欄間(らんま)」と言い、欄間が空いている「欄間オープン型」と、空きのない「欄間クローズ型」の2タイプに分けられます。欄間オープン型は、通気性を確保できるため基本的に空調は増設不要です。また、照明をまたいで設置できますが、遮音性や機密性は下がるでしょう。
一方、欄間クローズ型は天井まで完全にパネルで区切られており、欄間オープン型よりも遮音性や機密性に優れています。ただし、独立した密閉空間となるため、消防法に従って空調や照明、消防設備の増設が必要な場合があります。
いずれのハイパーテーションでも設置には専門業者による施工が必要で、完成まで時間を要します。また、費用も高額になる傾向です。
天井までしっかり区切れるパーテーションについては、下記記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
『天井まであるパーテーションの特徴やメリット・設置の際の注意点とは』
ローパーテーション
ローパーテーションとは、高さが天井までない低い間仕切りのことです。一般的には、高さが約1,200mm(120cm)以上、最大で約2,100mm(210cm)の高さのパーテーションを指します。
ハイパーテーションと比べてコンパクトで、移動や撤去が簡単で、レイアウトの変更を行いやすい傾向があります。また、組み立てや設置も専門業者への依頼は不要なため、手軽に導入できるでしょう。
ローパーテーションは、製品のバリエーションが豊富で、多くのカラーや素材、サイズから選ぶことが可能です。デスクまわりのパーソナルスペースの確保には、高さ約1,200mm(120cm)のものが適しています。立ち上がった状態で視線を遮断したい場合は、1,800mm(180cm)ほどの高さが目安です。
2.素材による分類
パーテーションの素材にもさまざまなものがあります。
- ガラスパーテーション
- アルミパーテーション
- スチールパーテーション
- アクリルパーテーション
- その他(ファブリック・フェイクグリーン等)
ここでは、パーテーションに使われる不燃性の素材について、概要や特徴を解説しますので、用途や目的に合ったものを選ぶために参考にしてください。
ガラスパーテーション
ガラスパーテーションは、ガラスパネルを用いたパーテーションです。デザイン性が高く、開放感のあるオフィス空間を構築できます。
パーテーションの上面部分のみガラスになっているタイプや、全面がガラスのタイプなどがあり、採光などの条件によって適したものを選べます。プライバシーや機密性を確保したい場合は、すりガラス(曇りガラス)がおすすめです。
ガラスパネルは基本的に1枚ずつの受注生産となるのに加え、施工に高度な技術を要するため、比較的高額です。また、厚みのあるガラスパネルは施工現場でサイズを微調整できないため、専門業者の精密な採寸が必要な点に注意しましょう。
ガラスパーテーションについて詳しくは下記記事もあわせてご覧ください。
『ガラスパーテーションの種類やメリット・注意点を解説|導入事例付』
アルミパーテーション
アルミパーテーションは、アルミ製フレームのパーテーションです。パネル部分には製品によって異なる素材が用いられます。
軽量なため移動や設置、撤去が手軽にでき、レイアウト変更も自分たちで行えます。価格も比較的安価で、多くの間仕切りを必要とする際に使われる場合もあります。
ただし、軽量素材である分、遮音性や密閉性はさほど高くなく、機能性に弱い傾向があります。また、多くのアルミパーテーションはフレーム部分がむき出しになっており、高級感のあるオフィス空間づくりではあまり使用されません。
スチールパーテーション
スチールパーテーションとは、スチール(鉄)と石膏ボードで作られたパーテーションです。フレームとパネルのつなぎ目がないフラットなデザインが多く見られます。パネルの素材によっては遮音性や耐火性といった機能が備わっていて、高い機密性や安全性が得られるのが特徴。機密性を高めやすいため、会議室や応接室をつくる際におすすめです。
一方、重量があるため、導入・運搬のコストがかかる可能性があります。また、スチールパーテーションを用いて独立した部屋を作った際に、火災報知機や空調の設置が新たに必要になるケースもあるので注意が必要です。
アクリルパーテーション
アクリルパーテーションは、透明なアクリル板でできたパーテーションです。コロナ禍に設置箇所が急増した飛散防止パネルも、アクリルパーテーションに分類されます。デスク上に設置するタイプの他、パネル下部にくぼみがある対面用タイプ、折りたたみタイプなどさまざまな種類があります。
他の素材に比べて安価であり、導入や設置も自分たちで完了できる手軽さがあります。ただ、遮音性や耐久性が低く、空間を区切るための間仕切りとして使うことは難しいため、活用シーンは限られるでしょう。
その他
上記以外にも、ファブリックやフェイクグリーンなどのパーテーションがあります。ファブリックタイプは軽量で、つっぱりポールなどで吊るすだけで簡単に設置できます。色や柄、サイズなどの種類が豊富で好きなデザインを選べますが、間仕切りではなく、目隠しとして使われることが多いでしょう。
フェイクグリーンを設置すれば、空間を仕切りつつ癒やしの効果も得られます。本物の観葉植物のようにお手入れが不要で、手間がかからない点もメリットです。ミーティングスペースやエントランスなどさまざまな場所で活躍します。
3.機能による分類・可動式パーテーション
パーテーションの機能性による分類には、可動式パーテーションが挙げられます。可動式パーテーションとは、パネルにキャスターが付いたパーテーションです。必要なときだけ設置し、使わないときは撤去しておけるため、柔軟にスペースを活用できます。
2〜3枚のパネルが連結した折りたたみ式などバリエーションがあり、使用人数によって空間の広さを手軽に変えられます。
ただ、ハイパーテーションだと可動域がレール沿いに限られる場合がある上、オフィスレイアウトの自由度が下がる可能性があります。また、基本的に設置には工事が必要です。
オフィスパーテーションを設置するメリット(効果)
パーテーションは、オフィス空間を区切る目的で使用されますが、他にも生産性やセキュリティの向上などのメリットが期待できます。ここでは、パーテーションの活用によって得られるメリットについて解説します。
集中力をアップさせる
パーテーションを設置することで、集中して作業できるスペースを作ることができます。いずれのパーテーションタイプでも、一定の隔離された空間をつくるのに有効です。個室のように完全には隔離されていなくても、周囲からの視線や騒音が気にならないスペースであれば、空間を間仕切ることでパーソナルスペースを確保できます。 集中力アップにつながるため、業務効率の向上が期待できます。
着席した状態で集中したい場合はローパーテーションでも機能しますが、より防音性のブースを構築するならハイパーテーションがおすすめです。
防音対策ができる
オフィスでは、会議や商談などを行う際に話し声が漏れないよう配慮する必要があります。
ハイパーテーションの欄間クローズタイプを施工することで、遮音性の高い個室ができあがり、周囲の音に影響を受ける可能性も少なくなります。スチールパーテーションのようなに、防音素材を使用したパネルを設置すると良いでしょう。
オフィスのデザイン性をアップする
パーテーションには、間仕切りだけでなく、空間デザインの一部という役割があります。無機質な印象になりがちなオフィスでも、パーテーションのデザインや素材次第では雰囲気をがらりと変えられます。
例えば、休憩スペースやカフェエリアにフェイクグリーンや観葉植物を装飾すると、色彩によるリラックス効果が生まれるため、リフレッシュできる空間を構築できます。また、エントランスに設置するパーテーションの色や柄を変えることで、来訪者に印象付けるといった使い方も。自社のイメージや目的に合わせたパーテーションを選ぶと効果的です。
セキュリティを強化する
パーテーションを使って個室を作ることで、セキュリティ強化にもつながります。ハイパーテーションにより独立した個室を構築できるため、社外秘情報がそばを通りかかった人の目についてしまう事態を避けられます。
また、ドアパネルにカードキーやパスコードなどの鍵を付けられるものを用いることで、セキュリティが担保された個室が完成します。
オフィスパーテーションの選び方
パーテーションは、用途や目的に合わせて選ぶことが大切です。また、防音性の高いパーテーションが求められる傾向にあり、デザイン性と機能性のバランスも確認しておくと良いでしょう。ここでは、パーテーションの選び方を3ステップに分けて紹介します。
目的に応じて高さを検討する
最初に、目的に応じてパーテーションの高さを検討します。設置場所や用途によって、適した高さが異なります。
用途や活用シーンごとのパーテーションの高さは、以下表の通りです。
用途・活用シーン | パーテーションの目安高さ |
個人デスクの間仕切り | 1,135mm(113.5cm)〜1,235mm(123.5cm) |
集中用ブース・コピー機の仕切り | 1,335mm(133.5cm) |
打ち合わせ・ミーティングブース | 1,535mm(153.5cm) |
応接室・会議室・更衣室 | 1,835mm(183.5cm)〜2,135mm(213.5cm) |
工事の有無を確認
パーテーションの高さが決まったら、工事が必要かどうかを確認します。欄間クローズタイプなどの設置や撤去に工事が必要なものは、専門業者に施工を依頼する必要があります。設置完了までの工期や施工費用について改めて確認し、導入可能かどうかを判断します。
業者による作業は不要でも、パーテーションの固定に簡単な作業が発生する場合もあるので、事前に確認が必要です。
素材を選ぶ
用途や工事の有無を確認したら、続いてパーテーションの素材を選びます。素材の種類は、先述したガラスやスチールといった選択肢に加えて、色やテイストなども考える必要があります。好みだけで選ぶのではなく、パーテーションを設置する目的を本当に果たせるのか、効果が出るのかという目線で選定することが大切です。
ただ、機密性や遮音性といった機能性と、デザイン性のバランスも考慮すると、組み合わせが多く迷うこともあるはずです。目的や空間全体の要件定義と合わせて、オフィスレイアウトに詳しいプロに相談するとスムーズです。
オフィスパーテーションの金額目安
パーテーションの設置に工事が伴う場合は、導入費用が高額になります。また、ハイパーテーションの欄間オープンタイプは1枚あたり25,000円~30,000円前後であるのに対し、欄間クローズタイプは1枚あたり30,000円~35,000円と、クローズタイプの方が若干高めです。
また、素材によっても費用が変わります。目安としては、ガラスパーテーションは1枚あたり約70,000円~80,000円ですが、アルミパーテーションは1枚15,000円〜16,000円前後と比較的安価です。
コストを抑えたい場合は、価格の低いアルミなどの素材を選ぶとともに、必要な箇所以外は欄間オープンタイプにするなどの方法が有用でしょう。
オフィスパーテーション設置の注意点
ここで、オフィスにパーテーションを設置する上で気をつけたい注意点を2つ紹介します。パーテーションの導入や選定の段階で知っておきたいポイントですので、参考にしてください。
安全性の確認
パーテーションを設置する際には、安全性をしっかり確認しましょう。可動式パーテーションは移動しやすいですが、固定している間に倒れる可能性があります。人通りが多い通路沿いなど、設置場所によっては固定できるものを選んだ方が無難です。
また、パーテーションの組み合わせや高さ、素材の重さなどの条件次第では、転倒のリスクが出てきます。パーテーションの連結可能な長さやレイアウトの制限、法的基準をクリアできているかなど、設置に関する条件を事前に確認するのが大切です。
施工工事の有無
パーテーションの設置に施工が必要な場合、工事前にオフィスの管理会社の許可が必要なケースもあります。施工後のトラブルを避けるためにも、入居時の契約書に記載がないときは、パーテーションの設置について管理会社に相談しておきましょう。
また、パーテーションの種類によっては、天井設備や消防法などの専門知識を要することがあります。安全性の高いオフィスレイアウトを包括的な提案が受けられるため、パーテーションを含めたオフィス空間のデザインについて、専門家に相談するのがおすすめです。
パーテーションの種類や特徴をおさえてオフィスをデザインしよう
パーテーションは、設置するだけで空間を区切ることができる便利な家具です。高さや素材、機能など多くの種類があり、用途や目的に応じて適したものを取り入れることでオフィスレイアウトや雰囲気を変えられます。
快適に働けるオフィスを作るためには、デザイン性と機能性のバランスを考慮し、予算の範囲内でパーテーションを選ぶ必要があります。とはいえ、自社だけで進めるとなると難しいため、オフィスレイアウトの施工実績が豊富な企業に相談してみてください。
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