「つくって終わりではない」
オフィス移転後に見えてきた、ワークプレイスでの「体験」の重要性

伊藤忠商事グループの一員として、デザインマネジメントを軸に、企業の価値創造を支援する商社型コミュニケーションを行う伊藤忠インタラクティブ株式会社。単に空間を新しくするだけではなく、働き方やコミュニケーション、企業文化にも影響を与えるオフィス移転プロジェクトにおいて、今回、ヴィスのエクスペリエンスデザイン(XD)を体験いただきました。取り組みを通して感じた変化について、代表取締役社長の三輪様、そしてプロジェクトをご担当されたコミュニケーションプランナー の泰良様に、お話を伺いました。
取材対象:伊藤忠インタラクティブ株式会社 代表取締役社長 三輪様 コミュニケーションプランナー 泰良様

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この記事のまとめ

結論

オフィス移転は、空間を一新して終わる一度きりのイベントではなく、移転前後の変化を数値でとらえ、社員のはたらく「体験」を継続的にアップデートしていく取り組み。伊藤忠インタラクティブ様への取材から見えてきたのは、「オフィス移転」を経営に関わる大きなアジェンダの一つとして捉え、注力していくという視点でした。

3つの要点

  • 数値で「変化」を確かめる
    ワークデザインサーベイで移転前後を「ワークプレイス」「ワークスタイル」「カルチャー」「ウェルビーイング」「エンゲージメント」「やりがい」の6項目で調査したところ、ほぼすべての項目でスコアが向上。「良くなった気がする」という感覚を、具体的な数値として確かめられた。
  • 「つくって終わり」にしない
    ワークショップを通じて、社内コミュニケーションやオフィスコンセプトの浸透不足といった課題が表面化。オフィス移転が「スタート」であることにメンバーが向き合うきっかけとなった。
  • オフィスを“戦略”として考える
    採用力の強化、離職率の改善といった経営課題と、オフィスを切り離さずにとらえる発想。

この記事で解決できる悩み

  • オフィスプロジェクトの意義や課題を可視化できない
  • 移転前後の効果を定性的に評価してしまっている
  • オフィスづくりを「ゴール」と捉えてしまい、その後の運用イメージまで結びつけられない

「良くなった感覚」を数値化し、移転の効果を可視化する

──ワークデザインサーベイを利用したきっかけと感想を教えてください。

まず、移転プロジェクトを進めるにあたって、自分たちが移転前後の数値をしっかりと把握したかったという背景があります。オフィス移転の意義を明確にすることやブランディング強化も含めて、まずは Before/Afterを可視化したかったんです。

実際、ほぼ全てのスコアが上がっていました。出社率自体はそこまで大きく変わりませんでしたが、「良くなった気がする」という感覚だけではなく、実際にどのくらい変化したのか、中身が数値でわかるのは大きかったですね。

また、一度きりで終わらせるのではなく、年次ごとなどで継続的に見ていくべきだとも感じました。どこまで施策が進み、アクションを起こせているのか。その過程を追う上で、ワークデザインサーベイでの調査は重要だと思います。

「つくって終わり」にしない。経営課題に直結するワークプレイスでの「体験」設計

──エクスペリエンスデザインとは、オフィスデザインだけではなく「体験」を通して社内交流等の計画を立て、文化を醸成するサービスです。その必要性についてはどのように感じられましたか?

「つくって終わりではない」という点が印象的で、浸透・改善をどう進めていくのかが非常に重要だと感じました。

オフィス移転が採用活動や人材の定着に効果を発揮することは想像できますが、一般的に総務部門が「移転の実務」を担うことが多く、インナーブランディングなどの踏み込んだ施策まで並行して進めるのはハードルが高いケースもあると思います。

そこをエクスペリエンスデザインによってサポートしていただけると、いろいろな可能性が見えてくると感じました。

──本来エクスペリエンスデザインはプロジェクトの初期から伴走するサービスです。初期からエクスペリエンスデザインを利用できていたらより良かったと感じますか?

初期から導入して、レイヤーごと、社員層ごと、職種ごとにプロジェクトの目的や狙いを整理できていたら、より理想的だったでしょうね。

また、当社は移転した後にオフィスでの「体験」について考えるというエクスペリエンスデザインのサービスを知ったので、「もっと早く知っていたら良かった」という思いもあります。移転の持つ意味やインナーブランディングの重要性、今回のねらい等々、社員へのアナウンス面などのサポートを別途していただけると、より良かったと感じます。

オフィス環境は企業の顔の一つであり、コーポレートブランディングやインナーブランディングそのものです。だからこそ、単なる引っ越しではなく、企業戦略としても重要なテーマだと考えています。

そのため、プロジェクトの初期段階から「オフィス移転」を経営に関わる一つの大きなアジェンダの一つとして捉え、注力していくべきだと思います。

今回、私たちのオフィスコンセプトを深く理解し、実際に施工まで手がけてくださったヴィスさんが、完成後も「体験」に伴走してくださったことは非常に心強かったです。

ワークショップで浮き彫りになった、組織が抱える「課題」

──エクスペリエンスデザインの取り組みの中でワークショップも体験していただきました。実施してみた感想を教えてください。

ワークショップでは、あえて日頃接点の少ない人たちとチームを組みました。実はそこで初めて知った仲間もいて、メンバーの顔は知っていても、日頃どういう業務をしているのかまでは案外知らないものだなと、あらためて気づく機会になりましたね。

また、オフィスコンセプトについても同様です。コンセプト自体はあっても、それを「これからどうやって活かしていこうか」というところまでは考えきれていなかったことがわかりました。ただ、そういった課題に気づけたこと自体に価値を感じています。

実は私自身、オフィス移転の説明会やお披露目の場を迎えたことで、そこが「完成」でありゴールになっていた気がするんです。でも本当は、そこからがスタートなんですよね。ワークショップを実施していただいたことで「これからどういうオフィスをつくっていこうか」「どう働いていくか」という問いに、自身を含め、社員が向き合う良いスタートになったと思います。

オフィスは単なる“箱”ではない。継続的なアップデートを

──今後、オフィスはどのように運用していきますか?

人事戦略に紐づくものとして、“オフィス戦略”のようなものも考えるべきなんじゃないかと思っています。

オフィス改善は「移転するからやるもの」という単発のイベントになりがちです。

離職率をどう下げるのか、採用力をどう上げるのか、人員スキルをどう計画するのか。そういう経営課題の中に、オフィスでの活動も入れていくべきだと考えます。

──最後に これからオフィスプロジェクトを成功させたい企業にメッセージをお願いします。

まず、オフィスの価値そのものが変化しており、オフィスを単なる“箱”として捉えないほうがいいと思います。在宅ワークも浸透し、企業の「はたらく」の捉え方が変わってきています。

だからこそ、単に空間をつくるのではなく、そこの活用についても向き合うべき経営課題と捉え、継続的にアップデートしていく必要があります。時代とともに変化していかなければ、企業は衰退してしまうのではないでしょうか。

最後に

オフィスは単なる「働くための箱」ではなく、企業の文化を醸成し、経営課題を解決するための重要な「戦略資産」です。今回の伊藤忠インタラクティブ様とのプロジェクトを通じて再認識したのは、物理的な空間を整えるハード面以上に、そこでどのような体験を生み出すかというソフト面(体験設計)の重要性でした。

つくって終わりではなく、移転後の数値化やワークショップを通じて、組織の伸びしろや潜在的な課題を可視化すること。そして、その気づきを次なる改善へと繋げていく継続的なアップデートこそが、インナーブランディングや採用力の強化、ひいては持続的な企業成長へと直結します。

移転という大きな節目を機に芽吹いた、「ここから自分たちの手でオフィスをつくりあげていく」という当事者意識。その想いがより大きな実を結び、伊藤忠インタラクティブ株式会社様のさらなる発展へと繋がるように、私たちはワークプレイスだけでなくそこで生まれる「体験」を支えるパートナーとしてこれからも伴走させていただけたらと思います。

お忙しい中、インタビューにご協力いただきました三輪様、泰良様に心より感謝申し上げます。


株式会社ヴィスは、『はたらく人々を幸せに。』というパーパスのもと、働く場を設計する「ワークプレイスデザイン」と、そこで生まれる体験を設計する「エクスペリエンスデザイン」という二つのアプローチを通して『ワークデザイン』を実現し、人と組織のエンゲージメントを高めながら、企業価値の持続的な向上に貢献します。
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