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フリーアドレスの導入を成功させるためには、運用ルールの徹底が必要です。フリーアドレス化により自由度の高い働き方を実現しやすいですが、事前準備や計画が不十分なまま進めても導入効果を得られない可能性があります。
本記事では、フリーアドレスのメリット・デメリットを踏まえて、フリーアドレス導入時によくある課題の解決方法や運用ルールのポイントについて解説します。オフィスのフリーアドレス化により理想のオフィス環境を構築するためにぜひお役立てください。
【メリット】フリーアドレスオフィスを取り入れる意義
フリーアドレスとは、オフィスの座席を固定するのではなく、日替わりで自由に選べるというシステムです。主に、以下のようなメリットがあります。
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1.社内のコミュニケーションが活性化する
座席が固定されていると、自発的に交流するのは近くに座っている社員に限定されがちです。同じオフィスにいながら、部署が違うと交流がないというのも珍しくありません。
フリーアドレスにすると、部署に関係なく、偶然近くに座った社員と交流が生まれやすくなります。働き方や業務内容が異なると、物事の捉え方や価値観は異なるものです。交流しているうちにお互い刺激され、新しい発想が沸き起こるかもしれません。上司との距離も近くなるので、上下関係を超えた交流も容易になります。
このようにコミュニケーションが盛んになれば、社内での情報共有や意思決定を速やかに行えるでしょう。
2.業務効率が上がる
フリーアドレスでは、必要に応じて、一緒に作業したい社員同士が近くに座れます。たとえば、会議や打ち合わせをしたいときは、あらかじめメンバーを近くに座らせておけばよいだけです。誰かを指導するときも、簡単に隣同士になれます。
固定席の場合は、別の場所で仕事をしているとき、空の座席は基本的に誰も使えません。営業職のように外回りの社員が多いと、非効率に感じることもあるでしょう。フリーアドレスなら、効率良く座席を使えるので、オフィスのスペースを節約できたり、違う用途で活用できたりします。
ほかにも、他部署の仕事の進め方を間近で見られるので、業務を効率化したいときの参考になるでしょう。
3.環境美化につながる
フリーアドレスでは、その日に使った座席を、翌日に使う社員のため、その日のうちに片付けて掃除しなければいけません。デスクに物が置きっ放しになったり、書類が散乱したままになったりするのを防げます。自然と社員一人ひとりに整理整頓する習慣が身につくので、常にオフィスをきれいな状態に保つことができます。
【デメリット】フリーアドレスオフィスで発生する課題
一方で、フリーアドレスにはデメリットもあり、運用するときの課題にもなっています。
うまく運用できない
先述のとおり、フリーアドレスでは、自由に座席を選べるのがメリットです。しかし、毎日同じところへ座る社員がいると、ほかの社員も次第に同じところへ座るようになり、結局、座席が固定化します。特に管理職が同じところへ座り続けると、その部下をはじめ、ほかの社員も固定化しがちです。
さらに、先述の「使った後に片付けて掃除する」という習慣が定着しないと、座席に物が置きっ放しになり、固定化に拍車をかけてしまいます。
同じ席に座り続けるのは、そこが快適だったり、単に毎日選ぶのが面倒だったりするからです。環境の整備が不十分だと、座席によっては仕事しづらいかもしれません。
帰属意識が低下する恐れがある
座席が固定化していれば、社員は自分の居場所を確保し、会社や部署の一員であると自覚できます。フリーアドレスでは、自分の居場所と認識するのが難しいため、こうした帰属意識が低下するかもしれません。
上司にとっては、誰がどこに座っているのか把握しづらいので、部下のマネジメントが難しくなったり、部署内でのチームワークが乱れたりするという影響もあるでしょう。
また、コミュニケーションが苦手な社員は、ほかの社員とは離れたところに座りがちです。次第に孤立して、意思の疎通すら難しくなる恐れがあります。
課題を解決するポイント1.社員の意識改革
社員が何のためにフリーアドレスを導入するのか目的を理解していないと、以下に記載するルールを設けても、うまく運用できずに失敗する恐れがあります。
フリーアドレスを実際に運用するのは社員です。会社がフリーアドレスによって何を期待しているのか、フリーアドレスにはどのようなメリットがあるのか、まずは社員一人ひとりが納得するよう丁寧に説明しましょう。
課題を解決するポイント2.ルールを作る
フリーアドレスの失敗を避けるためにも、運用ルールを策定しておくことが大切です。フリーアドレス化の効果を得るためには、導入して終わりではなく、継続的に運用していく仕組みが必要です。
私物の管理方法やセキュリティリスクへの対策、エリアごとの適切な使用方法などの決まりを明確にして、社員に周知・徹底することでスムーズな導入と運用につながります。
具体的なルールについては後半で詳しく解説します。
課題を解決するポイント3. 設備を整える
フリーアドレスを導入するには、従来の事務用デスクや椅子から、誰でも気軽に座れるデスクや椅子に切り替えなければいけません。社員の居場所を把握するには、在席管理ツールを活用するとよいでしょう。
また、パソコンを使う作業が中心になるので、どこでもインターネットや社内ネットワークに接続できるように、Wi-Fi環境の整備も必要になります。もちろん、パソコンは持ち運びが簡単なノートパソコンが望ましいでしょう。
オフィスのフリーアドレスの運用に必要な10のルール
それでは、フリーアドレスを成功させるために、運用ルールを決めていきましょう。
・固定席化の防止
・情報共有の機会の設定
・社内環境の美化
・セキュリティの強化
・紙の書類の管理・ペーパーレス化
・郵便物や電話の取り次ぎ
・Web会議・集中ブースの利用
・リフレッシュブース・休憩室の利用
・備品の利用
・運用ルールの徹底
ここでは、特に重要な以下10のポイントについて解説します。
固定席化の防止
座席が固定するのを防ぐには、週または月に何度か自分で選べない日を設けるとよいでしょう。例えば、管理者がランダムに決めたり、座席管理システムの機能を使って抽選にしたりするなどです。
部署内での分散を防ぐのであれば、日によってエリアを決め、その中でフリーアドレスにするという方法があります。いわゆる「グループアドレス」です。グループアドレスについては、以下の記事も参考になるでしょう。
関連記事:グループアドレスとは?オフィスに導入する流れとメリットを解説
情報共有の機会の設定
フリーアドレスでも、部署内のコミュニケーションや情報共有をスムーズにするには、ミーティングの機会を増やすのはもちろん、チャットツールを導入するのが効果的です。
メールを送るよりも気軽にやり取りできますし、SNSに慣れていれば、簡単に使いこなせるでしょう。目的に応じて1対1やグループ内でのやり取りが可能なので、大勢に知られたくない話もできます。
社内環境の美化
整理整頓や清掃などのルールを決めることで、きれいな社内環境を維持できます。デスクの使い方に関して「翌日デスクを使う人のために、退社時にはデスク上に物を残さない」「片付けの後にはお掃除シートでデスクを拭き取る」といった決まりが有用です。
また、毎週の清掃時間を決めて定期的に実施することで、掃除の習慣化に役立ちます。加えて、私物や備品が散らからないよう、鍵付きの個人ロッカーや共有ファイルの置き場所など収納スペースを十分に設置しましょう。
関連記事:フリーアドレスオフィスで私物を上手に管理する方法&便利な収納グッズを紹介!
セキュリティの強化
席が自由に選べるフリーアドレスでは、情報漏洩を防ぐために十分なセキュリティ対策を講じる必要があります。
たとえば、パソコンののぞき見防止シートを貼付することで、機密情報が漏れるリスクを軽減できます。紙の書類を一時保管する際は、セキュリティ仕様のクリアファイルがおすすめです。社員用のスマートフォンは画面ロックや二段階認証をルール化することで、データの流出回避に役立ちます。
さらに、社外の人の入退出管理も重要です。スマートフォンやICカードで解錠できる入退出管理システムを導入するとともに、部外者の侵入を防ぐためにセキュリティゲートの設置も検討しましょう。
紙の書類の管理・ペーパーレス化
フリーアドレスでは、紙の書類の管理方法・管理基準を決めて、ペーパーレス化するためのルールも必要です。可能な限り書類を電子化し、ペーパーレス化を進めることでスペースを節約できるだけでなく、書類を紛失してしまうリスクの解消にもつながります。
データファイルの共有方法を決めて、席によらず社員が必要なタイミングで閲覧、編集できるよう社内データベースを構築することが重要です。どうしても紙で保管しなければならない場合は、1人当たりの書類量や収納場所を設定し、ファイリングのルールと合わせて運用することをおすすめします。
郵便物や電話の取り次ぎ
郵便物や電話の取り次ぎに関する社内フローを設定する必要もあります。フリーアドレスでは誰がどこにいるのかわかりにくく、ルールが決まっていなければ、郵便物の配布や電話の取り次ぎが困難になります。
部門ごとに「郵便物の共有ボックスを設置する」「郵便受けの付いた個人ロッカーを導入する」などスムーズにやり取りできる仕組みを検討しましょう。
電話の取り次ぎには、クラウドPBXやデジタルコードレスフォンなどのツールが便利です。クラウドPBXは、社員用のスマートフォンで固定電話からの内線を受け取れるシステムです。デジタルコードレスフォンでは、相手の端末番号宛に連絡できます。
他にも、社内用スマホの配布や、アプリ上で社員の座席を可視化できる座席表システムの導入、といったオフィス全体での取り組みも効果的です。
WEB会議・集中ブースの利用
フリーアドレスは固定席に比べて開放感がある分、細かなことが気になって集中しにくい場合もあるでしょう。また、ビデオ通話やWEB会議を行う際には、話し声や人の通行などが妨げになる可能性もあります。
Web会議用スペースや集中ブースの設置と共に、利用時のルールを策定・周知しておきましょう。
たとえば、集中ブースの利用は「週に○日/○時間まで」、Web会議用スペースは「予約制の専用スペースを利用する」「イヤホンを必ず付けて行う」などのルールが有効です。社員が共有で使うスペースについては、「飲み物はOKでも、食べ物はNG」といった飲食のルールも検討するとよいでしょう。
リフレッシュスペース・休憩室の利用
執務エリアや集中ブースとは別に、気分転換できるリフレッシュスペースや休憩室を設けることで、メリハリが生まれ作業効率の向上につながります。また、ドリンクやお菓子を設置すれば、社員のモチベーションアップも期待できます。
リフレッシュスペースはくつろぐためのエリアなので、無秩序になりやすいため、オフィスのメンバー全員が有効に活用するためにルールを決める必要があります。
たとえば、利用時間やパソコンの持ち込みの制限は、無駄に長居する・必要以上に騒いでしまうといったケースを防ぐために有用です。加えて、アルコール飲料の持ち込みを禁ずるなど、飲食に関するルール化も検討し、誰もが気持ちよく利用できるようにしましょう。
備品の利用
備品を会社側が一括管理して、共有することが多いフリーアドレスでは、備品利用に関するルールも求められます。備品の管理担当者だけでなく。一般社員もルールに基づいて使用・管理できることが重要です。マニュアルなどを作成して社員に周知しましょう。
たとえば「文房具や消耗品の使用・返却時は、必ず管理台帳に入力する」「新しい備品の購入や既存物品の廃棄は承認を得て行う」などです。
定期的に棚卸しを行い、備品の状態をチェックして必要があれば交換やメンテナンスを依頼することも重要です。備品管理用のITツールやソフトウェアを活用することで、備品の分類からリアルタイムでの在庫管理まで効率的に行えます。
運用ルールの徹底
フリーアドレスの導入に有効なルールを決めても、現場で実行されなければ意味がありません。オフィスの運用ルールをまとめたルールブックやデータベースを作成して、運用ルールを形骸化させないための仕組みを構築しましょう。
現場の社員にルールを浸透させるためには、各部署での読み合わせやルール、マナーに関する研修の実施が効果的です。このとき、管理職だけ・新入社員だけといったルールを設けず、例外を認めないことも大切です。
運用ルールを設定して終わりではなく、社員の声を定期的にヒアリングして、必要に応じてアップデートしていく必要があります。ルールを改善する際には、経営層や特定の部署だけで決定せず、さまざまな立場の意見を聞いて判断しましょう。
まとめ
フリーアドレスの導入を成功させるためには、運用ルールの作成と周知が重要です。フリーアドレスにより、コミュニケーションの活性化や業務効率化といったメリットが期待できるものの、適切に導入・運用されなければ効果は見込めないでしょう。
フリーアドレスオフィスのスムーズな運用に必要なルールは多岐にわたります。快適に利用できるオフィス環境を維持するために、自社に適したルールを検討しましょう。
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