オフィス移転チェックリスト完全ガイド|総務タスクをWBS・工程表で管理する段取りとtodo

オフィス移転チェックリストの作り方を総務担当者向けに解説します。やること、総務タスク、WBS・工程表、エクセルでのtodo管理方法まで分かり、抜け漏れのない移転準備に役立ちます。

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目次

オフィス移転は、総務担当者にとって通常業務と並行して進める大きなプロジェクトです。現オフィスの解約通知や原状回復、新オフィスの物件選定、レイアウト・内装工事、インフラ手配、社内外への周知、行政手続きなど、やることは多岐にわたります。

そのため、オフィス移転をスムーズに進めるには、チェックリストを使ってタスクを整理するだけでなく、「いつまでに」「誰が」「どの順番で」対応するのかを明確にすることが重要です。無料のエクセルテンプレートを活用する場合も、自社の規模や移転目的に合わせて、WBSや工程表、todoとして管理できる形に整える必要があります。

本記事では、オフィス移転チェックリストに入れるべき総務タスクや、エクセルで管理する際の項目、段取りを可視化するポイントを解説します。初めて移転を担当する方はもちろん、既存のチェックリストをより実務で使いやすくしたい方も、ぜひ参考にしてください。

この記事のまとめ

【この記事の結論】

オフィス移転チェックリストは、やることを一覧化するだけでなく、期限・担当者・関係部署・依存関係まで整理して運用することで、総務タスクを実行可能な計画に変えられます。特に、現オフィスの解約や原状回復、新オフィスの工事、インフラ整備、社内外への通知は並行して進むため、WBSや工程表の考え方を取り入れて管理することが重要です。

【3つの要点】

  • オフィス移転では、現オフィス、新オフィス、工事、引越し、手続き、移転後対応まで、複数のタスクを同時に進める必要があります。
  • エクセルの無料テンプレートは便利ですが、自社の規模、移転目的、工事範囲、関係部署に合わせてカスタマイズすることで、実務で使いやすいチェックリストになります。
  • WBSや工程表として整理し、todoを「誰が何をいつまでに行うか」まで具体化すると、抜け漏れやスケジュール遅延を防ぎやすくなります。

【この記事で解決できる悩み】

  • オフィス移転で何から始めればよいか分からない。
  • 総務タスクをどのように整理・管理すればよいか知りたい。
  • 無料のエクセルチェックリストを、自社の移転プロジェクトに合わせて活用したい。
  • 移転当日だけでなく、移転前後の段取りまで含めてtodoを見える化したい。

1.オフィス移転チェックリストはなぜ必要なのか

1.1.オフィス移転は総務だけでは完結しない全社プロジェクト

オフィス移転は、単に荷物を新しい場所へ運ぶだけの作業ではありません。現オフィスの契約確認、解約通知、原状回復、新オフィスの物件選定、レイアウト検討、内装工事、通信・電話回線の手配、社内外への案内、行政手続きなど、複数の業務が同時に進みます。総務部門が中心となるケースは多いものの、実際には経営層、情報システム部門、人事、経理、各部署の責任者、外部業者など、多くの関係者との連携が欠かせません。

そのため、オフィス移転チェックリストは、総務担当者だけが確認するメモではなく、関係者全員で移転プロジェクトの進捗を共有するための管理ツールとして活用することが重要です。特に、移転の目的やスケジュール、社内外への通知タイミング、必要な手続きまで整理しておくことで、関係部署との認識のズレを減らせます。

1.2.やることの抜け漏れがスケジュール遅延につながる

オフィス移転では、ひとつのタスクの遅れが後工程に影響することがあります。たとえば、現オフィスの解約通知が遅れると、退去日や原状回復工事のスケジュールに影響します。レイアウト確定が遅れれば、什器の発注や電源・LAN配線の計画も後ろ倒しになりかねません。さらに、取引先への案内やWebサイト上の住所変更が遅れると、請求書や重要書類が旧住所へ届いてしまう可能性もあります。

こうしたトラブルを防ぐためには、オフィス移転でやることを時系列で整理し、期限と担当者を明確にしておく必要があります。チェックリストを作成する際は、「移転6か月前」「移転3か月前」「移転1か月前」「移転当日」「移転後」といった時期ごとにタスクを分けると、段取りが把握しやすくなります。ただし、時系列で並べるだけでは不十分です。各タスクの前後関係や、完了しなければ次に進めない作業もあわせて確認しておくことで、工程表として実務に活かしやすくなります。

1.3.チェックリストをWBS・工程表として使う視点が重要

無料のエクセルチェックリストを使えば、オフィス移転のtodoを手軽に整理できます。しかし、項目にチェックを入れるだけでは、実際のプロジェクト管理としては不十分な場合があります。移転業務では、「何をするか」だけでなく、「誰が担当するか」「いつまでに完了するか」「どのタスクが終わらないと次に進めないか」を見える化することが大切です。

そこで有効なのが、WBSや工程表の考え方です。WBSとは、プロジェクト全体を作業単位に分解して整理する方法です。たとえば「新オフィスの準備」という大きな項目を、「レイアウト確定」「什器選定」「内装工事」「LAN工事」「サイン工事」などに分けることで、必要な作業が具体的になります。さらに、エクセル上で開始日・期限・担当者・進捗状況を加えれば、チェックリストを工程表としても活用できます。オフィス移転チェックリストは、単なる一覧表ではなく、総務タスクを実行に移すためのプロジェクト管理表として設計することがポイントです。

2.オフィス移転チェックリストに入れるべき総務タスク

2.1.現オフィスに関するタスク

オフィス移転チェックリストを作成する際、最初に整理したいのが現オフィスに関する総務タスクです。新オフィスの検討に意識が向きがちですが、現在入居しているオフィスの契約条件を確認しないまま進めると、解約通知の遅れや原状回復工事の調整不足によって、余計な費用やスケジュールの遅延につながる可能性があります。

現オフィスに関する主なやることは、賃貸借契約書の確認、解約予告期間の確認、貸主や管理会社への解約通知、原状回復範囲の確認、原状回復工事の見積もり取得、什器や備品の転用・廃棄判断などです。

チェックリストに落とし込む際は、「原状回復」や「解約」といった大きな項目名だけで終わらせず、「契約書で解約予告期間を確認する」「管理会社へ解約通知書を提出する」「原状回復工事の範囲を貸主に確認する」「不要什器の廃棄・転用方針を決める」のように、todoとして実行できる粒度まで分解することが大切です。現オフィス側の工程は、新オフィスへの入居日や引越し日とも密接に関わるため、工程表の起点として早めに整理しましょう。

2.2.新オフィスに関するタスク

新オフィスに関するタスクでは、まず「なぜ移転するのか」を明確にすることが重要です。増員への対応、働き方の見直し、採用力の向上、コストの最適化、ブランディング強化など、移転の目的によって選ぶべき物件やレイアウト、必要な設備は変わります。

新オフィス側のチェックリストには、移転目的の整理、必要面積の算出、候補エリアの検討、物件内覧、契約条件の確認、レイアウト方針の決定、内装デザイン、什器選定、会議室やリフレッシュスペースの計画、電源・LAN・電話回線の設計、セキュリティ計画などを入れておきます。特にレイアウトや内装は、社員の働きやすさだけでなく、企業の印象やコミュニケーションにも関わるため、単なる移転作業ではなく、働き方を再設計する工程として考えることが大切です。

また、新オフィスの準備は複数の業者が関わるため、タスクの依存関係が多くなります。たとえば、レイアウトが確定しなければ什器の発注や電源位置の検討が進みにくく、工事範囲が決まらなければ見積もりや工期も確定しません。チェックリストには、各タスクの期限だけでなく、「このタスクが完了しないと次に進めない」という前後関係も記載しておくと、WBSや工程表として実務で使いやすくなります。

2.3.インフラ・設備に関するタスク

オフィス移転で見落とされやすいのが、インターネット回線、LAN、電話、複合機、サーバー、入退室管理などのインフラ・設備関連のタスクです。内装や引越しの段取りが整っていても、移転初日にネットワークや電話が使えなければ、業務に大きな支障が出ます。

参考記事:事務所の移転で失敗しないために|手続き・費用・原状復帰まで総務担当者が押さえるべきポイント。

インフラ関連のチェックリストでは、現状の回線・電話番号・ネットワーク機器・複合機・サーバー・セキュリティ機器の棚卸しから始めます。そのうえで、新オフィスで継続利用するもの、更新するもの、廃棄するものを早めに判断します。特にインターネット回線は、建物側の引き込み可否や工事可能時間、開通までの期間に左右されるため、レイアウトや内装工事と並行して早期に確認する必要があります。

また、インフラタスクは情報システム部門との連携が不可欠です。総務だけでtodoを作成すると、LANポート数やWi-Fiのカバー範囲、複合機のネットワーク設定、サーバー移設時の停止時間など、専門的な確認が漏れる可能性があります。チェックリストには、総務担当、情報システム担当、外部業者の役割を分けて記載し、移転当日の確認項目まで含めておくと安心です。インフラ移転の詳細な段取りを確認したい場合は、以下の記事も参考になります。

2.4.社内外への周知・手続きタスク

オフィス移転では、社内外への周知も重要な総務タスクです。社内向けには、移転の目的、新オフィスの場所、引越し日、荷造りルール、移転当日の動き、新オフィスの利用ルールなどを共有する必要があります。社外向けには、取引先、金融機関、士業、リース会社、郵便局、行政機関など、住所変更を知らせるべき相手を整理しなければなりません。

社外通知では、メール、Webサイト、移転案内状、ハガキなど、相手との関係性に応じて手段を使い分けます。特に継続的な取引先や重要な関係先には、移転日・新住所・電話番号・業務開始日などを正確に伝えることが大切です。

参考記事:【保存版】事務所移転のお知らせハガキ|挨拶・文面テンプレート・マナー・宛名・郵便の基礎知識

チェックリストに入れる際は、「取引先へ連絡する」だけではなく、「送付先リストを作成する」「新住所と電話番号を確定する」「案内文を作成する」「社内承認を取る」「発送日を決める」「Webサイトの会社概要を更新する」のように、実際のtodoへ分解しましょう。移転通知の文面や送付マナーに迷う場合は、以下の記事をあわせて確認すると、周知タスクの精度を高めやすくなります。

2.5.移転当日・移転後のタスク

オフィス移転チェックリストは、移転当日で終わりではありません。当日は、搬出入の立ち会い、エレベーターや搬入経路の確認、什器配置の確認、ネットワーク開通確認、電話・複合機の動作確認、旧オフィス側の残置物確認などが発生します。これらは当日の判断が必要になるため、担当者や緊急連絡先を事前に明確にしておくことが大切です。

移転後には、行政機関への届出、銀行口座やクレジットカード登録情報の変更、Webサイトや各種サービスの住所変更、旧オフィスの原状回復工事完了確認、費用精算、社員からの不具合・改善要望の回収などが続きます。

移転後のtodoまでチェックリストに含めておくことで、「引越しは終わったが手続きが残っている」「社員からの不具合対応が属人的になっている」といった状態を防ぎやすくなります。特に移転後1か月程度は、想定していなかった使いづらさや設備面の課題が出やすい時期です。社員アンケートや問い合わせ窓口を設け、必要に応じてレイアウトや運用ルールを見直すことで、移転後の定着まで含めたプロジェクトとして完了できます。

2.6.チェックリスト項目の整理例

オフィス移転チェックリストを作成するときは、タスクを時系列だけでなく、カテゴリごとにも整理しておくと管理しやすくなります。特に総務担当者は、現オフィス、新オフィス、インフラ、社内外周知、移転当日、移転後対応を横断して確認する立場になるため、エクセル上でも分類しておくと抜け漏れを防ぎやすくなります。

以下は、オフィス移転チェックリストに入れる項目の整理例です。

区分主なタスク管理のポイント
現オフィス契約確認、解約通知、原状回復、什器整理契約書を確認し、退去日と原状回復完了日から逆算して進める。
新オフィス物件選定、レイアウト、内装工事、什器発注移転目的や働き方に合わせて、判断基準を明確にする。
インフラ・設備回線、LAN、電話、複合機、セキュリティ情報システム部門と連携し、移転初日に業務を止めない設計にする。
社内外周知社員説明、取引先案内、住所変更、Web更新誰に、いつ、どの手段で知らせるかをリスト化する。
移転当日搬出入立ち会い、配置確認、動作確認当日の責任者と緊急連絡先を明確にしておく。
移転後行政手続き、費用精算、不具合対応、振り返り移転後の改善対応までtodoとして管理する。

3.エクセルでオフィス移転チェックリストを作る方法

3.1.無料テンプレートをそのまま使うだけでは不十分

オフィス移転チェックリストを作成する際、まず無料のエクセルテンプレートを探す方は多いでしょう。テンプレートを活用すれば、ゼロから項目を洗い出す手間を減らせるため、初めて移転を担当する総務担当者にとって心強い入り口になります。特に、移転6か月前、3か月前、1か月前、移転当日、移転後といった時系列で整理されたチェックリストは、全体の段取りを把握するうえで役立ちます。

ただし、無料テンプレートをそのまま使うだけでは、自社の実務に合わない場合があります。たとえば、社員数が少ない企業と数百名規模の企業では、関係部署の数も、内装工事の範囲も、移転当日の搬出入計画も大きく異なります。また、フリーアドレスを導入するのか、固定席を維持するのか、サーバーを移設するのかクラウド化するのかによっても、必要なtodoは変わります。

そのため、エクセルのチェックリストは「完成された資料」として使うのではなく、自社のオフィス移転に合わせて編集するための土台として捉えることが大切です。不要な項目は削除し、自社特有の総務タスクや承認フロー、関係部署との確認事項を追加することで、実際に使える工程表に近づきます。特に、担当者、期限、進捗、関係部署、備考を入れられる形に整えておくと、移転プロジェクト中の確認や共有がしやすくなります。

3.2.エクセルに入れるべき管理項目

オフィス移転チェックリストをエクセルで作る場合、タスク名だけを並べるのではなく、プロジェクト管理に必要な情報をあわせて入力できるようにしておきましょう。総務タスクは、担当者が複数に分かれたり、外部業者との確認が必要になったりするため、「やること」だけではなく「誰が」「いつまでに」「どの状態まで進めるか」を管理できる形式が望ましいです。

特におすすめなのは、タスクを時期・カテゴリ・担当者・期限・ステータスで整理する方法です。たとえば、同じ「住所変更」というタスクでも、Webサイトの更新、名刺・封筒の変更、取引先への案内、銀行やリース会社への連絡など、対応先によって担当者や期限が異なります。これらをひとつの項目にまとめてしまうと、完了状況が分かりにくくなります。

以下のような項目をエクセルに用意しておくと、オフィス移転チェックリストをtodo管理だけでなく、WBSや工程表としても活用しやすくなります。

管理項目入力内容の例管理する目的
フェーズ6か月前、3か月前、1か月前、移転当日、移転後時期ごとのやることを整理し、作業の集中を防ぐため。
カテゴリ現オフィス、新オフィス、インフラ、社内周知、手続きタスクの種類を分け、関係部署との確認をしやすくするため。
タスク名原状回復工事の見積もりを取得する実際に行う作業を明確にし、担当者が迷わず動けるようにするため。
担当者総務、情報システム、人事、経理、外部業者責任の所在を明確にし、確認漏れを防ぐため。
期限2026年〇月〇日移転日から逆算して、遅延を早期に把握するため。
ステータス未着手、進行中、確認待ち、完了進捗状況を共有し、todoの滞留を見つけやすくするため。
関連タスクレイアウト確定後に什器を発注する前後関係を把握し、工程の遅れが連鎖しないようにするため。
備考管理会社確認中、見積もり取得済みなど判断の経緯や注意点を残し、引き継ぎしやすくするため。

このように、エクセルの列を少し工夫するだけで、チェックリストは単なる一覧表から、移転プロジェクト全体を管理する実務ツールに変わります。特に総務担当者が複数の業者や部署とやり取りする場合は、備考欄を活用して「誰に確認中か」「次に何をするか」を残しておくと、確認作業の手戻りを減らせます。

3.3.WBSと工程表に落とし込むと管理しやすい

オフィス移転のタスクは数が多く、ひとつひとつの作業が関連し合っています。そのため、チェックリストを作る際は、WBSの考え方を取り入れると管理しやすくなります。WBSとは、プロジェクト全体を大きな作業から小さな作業へ分解していく管理方法です。オフィス移転でいえば、「新オフィス準備」という大項目を、「レイアウト決定」「内装工事」「什器選定」「通信回線手配」「社内説明会」などに分け、さらに必要に応じて細かなtodoへ落とし込んでいきます。

たとえば、「内装工事」という項目だけでは、実際に何をすればよいのかが分かりにくくなります。これを「工事範囲を決める」「見積もりを取得する」「ビル管理会社へ工事申請を行う」「施工日程を確定する」「引き渡し前に確認する」と分解すれば、担当者が行動しやすくなります。WBSは、タスクの抜け漏れを防ぐだけでなく、社内で役割分担を決める際にも役立ちます。

さらに、WBSで分解したタスクに開始日と期限を設定すれば、工程表として活用できます。エクセル上でフェーズごとに並べたり、簡易的なガントチャートのように期間を見える化したりすると、移転日までにどの作業が重なっているかを確認しやすくなります。特に、原状回復工事、新オフィスの内装工事、インフラ工事、引越し準備は並行して進むため、工程表で全体像を見ながら調整することが重要です。

3.4.todo化するときは「動詞」で終わるタスク名にする

オフィス移転チェックリストを実務で使いやすくするには、タスク名の書き方も重要です。たとえば、「原状回復」「社内周知」「インフラ」などの名詞だけで項目を作ると、担当者によって解釈が分かれやすくなります。実際に何をすれば完了なのかが曖昧なままだと、進捗確認の際に「着手しているが、どこまで終わったのか分からない」という状態になりがちです。

todoとして管理する場合は、「契約書で原状回復範囲を確認する」「社員向け説明資料を作成する」「通信回線の開通希望日を業者に伝える」「移転案内状の送付先リストを作成する」のように、動詞で終わるタスク名にするのがおすすめです。行動が明確になることで、担当者がすぐに動きやすくなり、完了条件も判断しやすくなります。

また、ひとつのタスクに複数の作業を詰め込みすぎないことも大切です。「取引先への連絡を行う」という項目だけでは、送付先リストの作成、案内文の作成、社内承認、送付、送付後の確認まで含まれているのかが分かりません。これらを分解してtodo化することで、工程のどこで止まっているのかを把握しやすくなります。

エクセルで管理する場合は、タスク名の横に「完了条件」を記載する欄を設けてもよいでしょう。たとえば、「管理会社から原状回復範囲の回答を受領したら完了」「全社員に移転説明資料を配信したら完了」といった形です。完了条件を明確にしておくことで、チェックリストの運用が属人的になりにくくなり、総務タスク全体の進行管理がしやすくなります。

4.オフィス移転チェックリストを運用するときの注意点

4.1.移転日は最初に決めず、営業開始日から逆算する

オフィス移転の工程表を作るときは、「引越し日」だけを起点に考えないことが大切です。実務上、本当に重要なのは、社員が新オフィスで通常業務を開始できる日です。引越しが完了していても、ネットワークがつながらない、電話が使えない、複合機の設定が終わっていない、座席や収納の運用ルールが共有されていない状態では、スムーズな業務再開は難しくなります。

そのため、オフィス移転チェックリストを運用する際は、まず「新オフィスで業務を開始する日」を設定し、そこから逆算して、引越し日、内装工事完了日、施主検査日、インフラ開通日、什器搬入日、社内説明会、現オフィスの原状回復完了日を整理しましょう。

特に注意したいのは、工事や手続きには自社だけではコントロールできない工程が含まれることです。ビル管理会社の承認、通信回線の開通工事、消防関連の確認、引越し業者の繁忙期対応などは、想定より時間がかかる場合があります。工程表には、各タスクの期限だけでなく、確認待ちや承認待ちの期間も見込んでおくと安心です。予定どおりに進む前提ではなく、多少の遅れが発生しても営業開始日に影響が出ないよう、余裕を持った段取りを組みましょう。

4.2.総務だけでチェックリストを作らない

オフィス移転チェックリストは、総務担当者が中心となって作成することが多いものの、総務だけで完結させないことが重要です。移転には、情報システム、人事、経理、広報、各部門の責任者など、多くの部署が関わります。たとえば、情報システム部門に確認せずにレイアウトを決めてしまうと、LAN配線やWi-Fi環境、サーバー移設、複合機設定に支障が出る可能性があります。人事や各部署への確認が不足すると、座席数や会議室数、ロッカー数などが実際の働き方に合わないこともあります。

オフィス移転では、総務、IT、人事など各部署からメンバーを選出し、プロジェクトチームを立ち上げることが推奨されています。関係部署を早い段階で巻き込むことで、必要な総務タスクの抜け漏れを防ぎ、意思決定や承認の流れも整理しやすくなります。

チェックリストを作る際は、まず総務がたたき台を作成し、その後に関係部署へ確認を依頼する流れがおすすめです。情報システム部門にはインフラ・セキュリティ関連、人事には社員周知や働き方に関する項目、経理には費用精算や資産計上、広報にはWebサイトや社外告知の項目を確認してもらうと、実務に即したチェックリストになります。また、エクセル上で担当部署の列を設けておくと、誰に確認すべきタスクなのかが明確になり、todoの滞留を防ぎやすくなります。

4.3.期限だけでなく依存関係を管理する

オフィス移転のタスク管理では、期限を設定するだけでは十分ではありません。多くの総務タスクには、前の工程が終わらないと着手できない依存関係があります。たとえば、新オフィスの住所が確定しなければ、移転案内状や名刺、Webサイトの住所変更は進められません。レイアウトが確定しなければ、什器の発注、電源・LAN配線、サイン計画、収納計画も具体化しづらくなります。

この依存関係を見落とすと、一見期限に余裕があるように見えても、前工程の遅れによって後工程が一気に詰まることがあります。特に、内装工事、インフラ工事、什器搬入、引越しは相互に関係しやすいため、工程表上で前後関係を見える化しておくことが重要です。

エクセルで管理する場合は、「関連タスク」や「前提条件」という列を追加すると便利です。たとえば、「什器発注」の前提条件に「レイアウト確定」と記載し、「移転案内状発送」の前提条件に「新住所・電話番号確定」と入れておけば、担当者がタスクの順番を理解しやすくなります。WBSで作業を分解したうえで、工程表で依存関係を確認することで、オフィス移転チェックリストはより実践的な管理ツールになります。

4.4.移転後の振り返りまでチェックリストに入れる

オフィス移転は、荷物を運び終えた時点で完了ではありません。移転後には、行政手続き、旧オフィスの原状回復確認、費用精算、社内からの不具合報告対応、新オフィスの運用ルールの見直しなど、引き続き対応すべきtodoがあります。移転後のタスクをチェックリストに入れていないと、移転当日までは順調に進んだものの、住所変更や届出、社内対応が後回しになってしまうことがあります。

また、新オフィスは実際に使い始めてから初めて分かる課題も少なくありません。会議室の予約が取りづらい、集中できる席が足りない、収納場所が分かりにくい、来客導線と執務エリアの区分が曖昧など、運用面の改善が必要になることがあります。移転後の評価やアフターフォロー、資産計上などは、移転後の重要な実施項目としても挙げられています。

そのため、オフィス移転チェックリストには、移転後1週間、1か月、3か月といったタイミングでの振り返り項目を入れておくとよいでしょう。社員アンケートを実施する、問い合わせ内容を集計する、レイアウトや備品配置を見直す、運用ルールを更新する、といった項目をtodo化しておくことで、新オフィスの定着を促しやすくなります。オフィス移転を単なる引越しで終わらせず、働き方の改善につなげるためにも、移転後の振り返りまでをプロジェクトの一部として管理しましょう。

5.オフィス移転をスムーズに進めるためのワークプレイスづくり

5.1.チェックリストは「移転作業」だけでなく「働き方の見直し」にも使う

オフィス移転チェックリストは、解約通知や引越し、住所変更などの実務を漏れなく進めるために役立ちます。ただし、チェックリストを「作業を終わらせるための管理表」としてだけ使ってしまうと、移転の本来の目的が見えにくくなることがあります。オフィス移転は、単に場所を変えるだけではなく、働き方や組織課題を見直す大きな機会でもあります。

たとえば、会議室が足りない、部署間の交流が少ない、Web会議の音環境が悪い、出社率に対して座席数が合っていないといった課題がある場合、移転を機にレイアウトや運用ルールを見直すことで、働きやすさを改善できる可能性があります。オフィス改装は単なる内装工事ではなく、企業が抱える働き方や組織運営の課題を空間づくりによって解決する施策として位置づけられています。

そのため、オフィス移転チェックリストには、実務的なtodoだけでなく、「現オフィスの課題を整理する」「社員アンケートを実施する」「新オフィスで実現したい働き方を言語化する」「必要な席数や会議室数を検討する」「集中・交流・休憩のゾーンを整理する」といった項目も入れておくとよいでしょう。これらを早い段階で整理しておくことで、物件選定やレイアウト、内装、什器選びの判断基準が明確になります。

また、働き方に関する項目は、総務だけで決めるのではなく、経営層や各部署、実際にオフィスを使う社員の声を取り入れることが重要です。移転後に「思っていたより使いづらい」「必要なスペースが足りない」といった不満が出ないよう、チェックリストの中にヒアリングや社内共有の工程を組み込んでおくと、納得感のあるオフィスづくりにつながります。

5.2.自社事例紹介:オフィス移転・ワークプレイスデザインの支援

オフィス移転チェックリストを作成する際は、実際のオフィス移転事例を参考にすることも有効です。どのような課題を背景に移転を行い、どのような空間設計によって働き方や採用、コミュニケーションの改善につなげたのかを知ることで、自社のチェックリストに入れるべき項目も具体化しやすくなります。

株式会社サーバーワークス

近年、新潟市では企業のDX化に向けた取り組みが推進され、IT企業の進出や人材育成の環境が整っています。サーバーワークス様も、IT企業が集まる新潟の地で、エンジニアが集中して働けるオフィスでありながら、社員の方々が出社したいと思えるオフィスを設けたいという思いからプロジェクトがスタートしました。採用力向上・デジタル人材の育成力向上につながる空間の構築を目指し、エンジニアがクリエイティブに輝ける場所として「CLOUD STUDIO」をコンセプトにしたオフィスをデザインしています。

来客時にも使用する会議室と執務室をガラスでつなぎ、働く様子が自然に伝わる設計としたほか、ワークエリアとオペレーションルームの間にはリフレッシュエリアを設け、社員同士のコミュニケーションを促進しています。パントリー機能やベンチソファ、ハイテーブルなどを備えることで、立ち話から休憩まで多様な使い方ができる空間となっています。

このような事例を見ると、オフィス移転チェックリストには、物件契約や工事だけでなく、「採用力を高める空間になっているか」「社員が出社したくなる場所になっているか」「集中と交流のバランスが取れているか」といった観点も入れておくことが大切だと分かります。

事例の詳細はこちら:株式会社サーバーワークス

まとめ

オフィス移転チェックリストは、単にやることを一覧化するためのものではありません。現オフィスの解約や原状回復、新オフィスの物件選定、レイアウト・内装工事、インフラ整備、社内外への通知、行政手続き、移転後の改善対応まで、複数の総務タスクを抜け漏れなく進めるための実務ツールです。

特に重要なのは、チェックリストを「確認用の一覧」で終わらせず、WBSや工程表、todo管理として使える形に整えることです。タスク名、担当者、期限、ステータス、関係部署、前提条件をエクセルで整理しておけば、総務担当者だけでなく、情報システム部門や人事、経理、外部業者とも進捗を共有しやすくなります。

また、オフィス移転は作業を完了させることだけが目的ではありません。移転を機に、現オフィスの課題を見直し、社員が働きやすい環境や、企業らしさを伝えるワークプレイスをつくることも大切です。チェックリストの中に、社員ヒアリング、働き方の方針整理、レイアウト検討、移転後の振り返りまで含めることで、移転後の満足度や運用のしやすさにもつながります。

無料のエクセルテンプレートを活用する場合も、自社の規模や移転目的、工事範囲、関係部署に合わせてカスタマイズしましょう。「原状回復」「社内周知」といった大きな項目だけでなく、「契約書で原状回復範囲を確認する」「社員向け説明資料を作成する」のように、具体的な行動単位までtodo化することで、担当者が迷わず進めやすくなります。

オフィス移転は、総務担当者にとって負担の大きいプロジェクトですが、段取りを可視化し、関係者と共有しながら進めることで、トラブルや手戻りを減らせます。移転当日をゴールにするのではなく、新オフィスでの業務開始、運用定着、働き方の改善までを見据えたチェックリストを作成し、自社にとって最適なオフィス移転を実現していきましょう。

株式会社ヴィスは、『はたらく人々を幸せに。』というパーパスのもと、働く場を設計する「ワークプレイスデザイン」と、そこで生まれる体験を設計する「エクスペリエンスデザイン」という二つのアプローチを通して『ワークデザイン』を実現し、人と組織のエンゲージメントを高めながら、企業価値の持続的な向上に貢献します。
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